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クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい4 または私は如何にして心配もそこそこにクレサガを愛するようになったか

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい。(4回目)

crave-saga.jp *1

結局のところネタがなければ書けんのです(謝罪)

ご無沙汰しております。

おかげさまでご好評をいただいた『クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい』シリーズから文章量を減らし、小規模でも地道に定期更新をしよう、と目論んで始めた『クレサガ備忘録』シリーズでしたが、結果はお察しの通り。たったの2回で早くもネタが尽きてしまい、結局そのまま5か月にわたってブログ自体の更新を放置*2することと相成りました。

更新を楽しみにしていた方には大変申し訳ございませんが、以降は再び『クレサガの話』スタイルの長文・不定期更新として、書けるときに書くスタイルで進めていこうと思います。なお、未更新のキャラ紹介については随時更新・追記を行う予定ですので、気長にお待ちいただければ。

それでは、5か月ぶりの『クレサガの話』、ぜひお楽しみください。

ゆく年くる年、クレサガの『今』

DMM/FANZA GAMES初のゲイ向けRPGクレイヴ・サーガX 神絆の導師』がサービスを開始してから、早くも10か月強もの歳月が過ぎた。

それは即ち、本作に大いに期待し課金までしてプレイを開始した私が感じた感動興奮不満失望希望・そのほかどうにも飲み下しづらい思いを当ブログにしたためてからすでに1年近い時間が経過しようとしているということでもある。うーん光陰矢の如し。

開始当初はゲームとしての体裁も整わず、描写不足のメインストーリーはご都合主義に塗れ、お楽しみの寝室=エロイベントもオラついた主人公による恐怖の乳首狩りと化し――と、とても手放しで褒められるような状態ではなかった。その後のこまめな改善によって前者二つについては改善の兆しが見られるが、寝室の質のバラつきについては存置されたまま*3――というのが、これまでの記事で私が書き綴った内容である。

あれから5か月。半年近い月日は、このゲームにどのような変化をもたらしたのか。8月のハーフアニバーサリー以降のアップデートを振り返りながら、自分なりに整理してみたい。

 

なお、今回の記事は実装済みのメインストーリー7章開催終了済みのイベントおよび各キャラクターの寝室イベントなどのネタバレを含む。今回は紹介の都合上、一部寝室イベントの成人向けでない箇所のスクリーンショットも取り上げる*4ため、気になる方はご注意いただきたい。

文芸面、なおも漸進す

まずは、当ブログでもたびたび取り上げている本作の文芸面について、現状を鑑みて改めて整理する。結論から先に言ってしまうと、『かなりマシになってきたが課題は残る』といったところである。

syumitoka.hatenablog.com

振り返ってみると、ゲーム開始当初に実装されていたメイン5章までのストーリーは、正直な話素人目に見ても稚拙な出来栄えであった。説明不足とご都合主義の嵐上滑りの会話劇と要所で発揮される主人公の異常な倫理観に加え、乱発される誤字脱字・不快な改行が読者の体力をゴリゴリと削る心折設計。本作のキモと言える個別のエロイベントさえも、その多くが『やけにオラついた主人公が執拗に乳首を責める』ばかりのワンパターンなものであり、スチルはともかく文章は求められるクオリティを充足したものではなかったといえる。

そもそも、当ブログにてクレサガの記事を書こうと思ったきっかけはこの文芸面の致命的な出来の悪さにこそある。それだけ人の心を(悪い意味で)動かす、乱暴に言ってしまえば『文句をつけたくなるような文章』であったということだ。

syumitoka.hatenablog.com

その後時は流れ、6月に新たに実装されたメインストーリー6章では、上記したような問題点の多くにメスが入った。説明不足とご都合主義は相変わらずだが、退屈だった会話劇には新たな視点と関係性が盛り込まれ主人公は軽薄な言動を控え誤字脱字・不快な改行はほとんど撲滅された。本作屈指の残虐な敵を前に義憤に燃える一行のヒロイックな活躍は、今後の物語展開への期待値を大きく上げるものであった。

そして、本作がリリースから半年を迎えた8月。

ついに実装されたメインストーリー7章は、その期待に見事応えてくれた。

これは真実の愛を問う物語

7章の主題はずばり『愛』である。そもそもタイトルに『絆』の一文字を掲げ、道中いたるところで主人公が様々な相手と(性的な意味で)愛を育みまくる本作において、あえて『愛』をテーマとして掲げ直す意味――それは、本作プロローグにおいて『主人公を愛する者』として現れた聖剣の神器・エクスカリバーの胸に宿る慕情、その真実を問い質すことにこそある。

本作において、エクスカリバーをはじめとする『神器』は主人公のイメージを下敷きとして容姿と人格を与えられた存在であるとされている。――この設定を聞いたプレイヤー諸兄には、少なからずこんな疑念が浮かんだのではないだろうか。『主人公のイメージに沿って生み出されたものならば、神器には自由意志などなく、姿も心もすべて主人公の都合よく操作されたものではないか?』と。

事実、これまで登場した神器の中には主人公のイメージに引きずられて存在しない過去の記憶を刷り込まれてしまった*5者もいる。逆に何故今の今まで本編中で突っ込まれなかったのかと思えるほどの根源的な問いが、リリース半年という節目においてとうとう本格的に取り上げられることになったのである。


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↑ほんの些細な思い出話が思わぬ方向に転がり、自分の導師への愛のルーツに思い悩むエクス。広がってゆく心の隙間に、ゼギドエルの魔手が忍び寄る

 

7章において、エクスカリバーは仲間たちとの何気ない会話の中で不意に『主人公に慕情を抱くようになったきっかけがわからない』ことに気付く。当ブログでもたびたび言及しているように、エクスの存在の大部分を占めるのは深すぎるマスターへの愛であり、その根幹にほんのわずかでも陰りが生じてしまえば、いくら忠勇無双の彼といえども悩みを抱えずにはいられない。その隙を突いた狡猾な罠により、エクスは洗脳され、天使の手駒と化してしまう――というのが、7章の主なあらすじである。

 


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↑これまでは胡散臭い出羽亀ジジイという印象が強かったアルケーだが、ヴァスハーンに向ける父親のような親愛はそのイメージを払拭する。

 

エクスカリバーの心に影を落とす疑念、その真実に迫るにあたって重要な役割を果たすのが、7章のキーマンとなるゲストキャラ・ヴァスハーンである。原神王アルケーがヴェストリア黎明期*6に自身の別宅・天空島の番人を任せるために生み出したゴーレム*7である彼は、『被造物』かつ『心ある存在』であるという点においてエクスら神器と共通する。

 

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↑使命を胸に数千年の孤独に耐えてきたヴァスハーンだったが、アルケーとの再会を機に一気に秘めた感情を表す。情念豊かな表情差分も見逃せない

 

キャラクター性云々の前にまずその露出度高めを通り越して肌が隠れていない面積の方が遥かに多いスパルタンな容姿に目が行ってしまう彼だが、もちろんただのお色気要員ではない。7章における彼はエクス・主人公と並び主役級の扱いをされており、アルケーから与えられた使命に愚直に従う一方で、自分を生み出し愛してくれたアルケーに想いを寄せ『被造物たる自分が創造主への慕情を抱いてよいのか』と葛藤する非常に人間臭いキャラクターとして描写されている。

 


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↑主人公に加え、ハクマをはじめとする旅の仲間たちもエクスに温かい声をかけ、閉ざされていたエクスの心はようやく開く。優しいピアノの旋律が心地よい劇伴も含め、7章最大の見せ場となる必見のシーンだ

 

ヴァスハーンの苦悩を通じ、彼同様『被造物』であるエクスの懊悩を浮き彫りにする構成はクレサガらしからぬほど非常に丁寧で、読み進めるほどにエクスのみならずヴァスハーンへの思い入れも自然と増すようなつくりになっている。ヴァスハーンやアルケーとの交流を経て自分なりの解を得た主人公が洗脳されたエクスを説得するシーンも、そうした描写の積み重ねがうまく作用し、非常に感動的なシーンに仕上がっている。例によって筋書き自体はそう目新しいものではないのだが、描くべきテーマに向けて無駄なく構成された描写の一つ一つが組み合わさることで、プレイヤーの心により深い印象を残すようになっているのである。

 


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↑愛に惑う聖剣、愛に狂い悶える天使たち、そして愛のために奮う青年。それぞれの情動が物語を動かし、一つの結末へと収束させてゆく

 

ヴァスハーン以外の新キャラクターも、7章のテーマを語るために欠かせない活躍を果たしている。疑念から生じた迷いを天使に付け込まれて洗脳された愛心惑うエクスカリバー*8はストーリー内でもかなりの強敵として描写され、神器が敵に回る*9ことの恐ろしさを如実に物語る。

また、エクスを洗脳した張本人・ゼギドエルは、天使の中でも特に有力な『五大天使』のうちの一角である。彼の存在は、悪魔における『悪魔六柱』のように天使側にもいわゆる『大幹部』が複数存在している事実を示し、天使との戦いの激化を予感させる重要な役割を果たしている。似非紳士風褐色マッチョ、という見た目も絶妙で、しかも得物は天使らしからぬガトリング砲。一度見たら忘れられない、なんともインパクトのあるキャラクターだ。

そんなゼギドエルの部下であるミズィヴエルはゼギドエルの愛を盲信し、彼の寵愛を受けるためならばいかなる行為も辞さない過激な天使だが、一方でゼギドエル自身も天使長ザラエルからの愛を受けるためだけに働いている、という点も見逃せない。結局のところ二人とも『愛されるために愛している』者であり、愛に見返りを求めている時点でそれは真実の愛ではないという点が、二度にわたって語り直されることで強調されている。エクスとヴァスハーンといい、7章は『反復』の使い方が非常に巧みである。

そしてもう一人、7章の配布キャラであるキールも重要なキャラである。彼は天使に支配された故郷を取り戻すために奮戦する英雄の末裔*10――と、まるでどこかのRPGの主役のようなパーソナリティを備えたキャラクターとして登場する。劇中には『自らの浅慮が原因でエクスを失ってしまった』と深く思い悩む主人公をキールが励ます場面すらあり、おおよそどちらが主人公なのかわからなくなるほどだ。外見的にはどちらかというと『ゲイにモテそうな見た目』で、性格もやや情けないお人よしかつ好色、武器もいわゆる勇者の剣的なものではない逆手持ちの短剣――と、いちいち一般的なRPGの主役らしからぬ点の目立つ本作の主人公と対をなすようなキールの人物造形は、徹底した『対比』によって主人公の『自分らしさ』を改めて際立たせる役割を担っている。

以上のいずれのキャラクターも7章の語りに必須の活躍をしており、6章のキャラクターの一部に見られた消化不良の感はまったくない。その点において、7章は6章よりもさらに完成度の高い物語であるといえるだろう。

 


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アルケーが語るヴェストリアの基本原則。ともすれば乱倫とも思われる主人公の分け隔てない愛欲ぶりも、このようなルールが敷かれた世界であれば是とされ……いや駄目じゃないかなやっぱり

 

7章の項の締めくくりに、劇中でアルケーが語ったヴェストリアのルールについて触れたい。『ヴェストリアはあらゆる愛が許されることを理想とする世界』『原神王は地上の愛に一切介入しない』という原則は、エクスや主人公の疑問を氷解させる*11のみならず、本作の世界観倫理観を考える上で重要なヒントとなる。誰あろうヴェストリアの創造神自らが『あらゆる愛に一切の障害が存在しない世界』を理想としている以上、それが『愛』である限りいかなる所業も許される。本作のサービス開始当初から度々取り沙汰される『どいつもこいつも(特に主人公)性愛に奔放すぎる』という点について、『そもそも神様がそういう世界を理想としているから』という強烈すぎるアンサーが突きつけられたわけである。プレイヤー諸兄がこれで納得するかどうかはともかくとして、後出しの情報を用いてでも作中の描写に整合性を取ろうとする姿勢自体は評価したい。

 

5章までのメインストーリーの行き届かない部分を改善し、従来にない要素を取り入れた6章に続き、本作の核となる『愛をテーマにドラマチックな語りを見せてくれた7章。現時点*12ではすでに更なる続編となる8章実装済みだが、こちらも7章で見られた描写の反復による強調ゲストキャラの巧みな活用を引き継いでおり、さらに作中の重要用語に関する重大な事実も明かされるなど、ますますドラマ性が強化された仕上がりになっている*13。メインストーリーについては、今後もこの勢いで良質な物語を紡いでいってくれることを期待したい。いっそのことプロローグ~5章についても6章以降の水準で改稿してほしい……

 

ストーリーイベント尺不足問題

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↑7月末〜11月末のイベント。夏祭りや運動会、クリスマスといったお祭り騒ぎから絶体絶命の大ピンチまで、バラエティ豊かなシナリオがてんこ盛りであった

毎月末に展開されるストーリーイベントのシナリオがそれなりに安定したクオリティを保っている件は以前にも取り上げた通りである。現在もその傾向はおおむね変わらず、イベント配布や期間限定のキャラクターの掘り下げ、既存キャラ含む交流の楽しさについては毎度しっかりと担保できている。

また、『クレサガの話3』にて指摘した『展開のスケール感の小ささ』についても改善していこうという気概が見られ、本編顔負けのスケールの物語が展開される例もいくつか見られた――のだが、どうもその展開規模の大きさにイベントシナリオ自体のボリュームが追い付いていないフシがある。その一例として、9月末~10月上旬に開催された『錦秋刀湯-盟友の追憶-』を取り上げたい。

 


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↑どうも総集編のような、過程をすっ飛ばした展開が続く……え?クレサガは全般的にそうだろ、って?

 

同イベントは一部魂友のプロフィールにて存在が匂わされていた和風の地方・キンシューを舞台に、かつて『伝説の三人』と呼ばれた侍・ギンジマルと僧侶・フウヨウ、そして行方知れずのもう一人の仲間*14を中心とした物語が展開される。

同イベントでは国家元首の暗殺に始まる国同士の戦争勃発の危機や、その裏で暗躍する黒幕の存在など、かなりスケールの大きな物語が展開されるのだが、如何せんイベントの尺自体は普段通り*15のため、ただでさえご都合主義の多い当ゲームでも類を見ないレベルのダイジェストじみた高速展開が続く。

ある重要キャラの失われた記憶はかつての仲間との再会を機にすんなり戻ってしまうし、敵の動向の調査や情報伝達はすべて顔も見せない情報屋*16さくっと済ませてしまう。さらに、追い詰めた黒幕はかつて当ブログでも『再登場希望』と記載したあのジー*17なのだが、せっかく復活したにもかかわらずやったことといえばせいぜい巨大な魔物を複数繰り出してきた程度で、結局さしたる活躍もないまま成敗される*18。戦争勃発の危機についても、すべての真実を知ったフウヨウの鶴の一声であっさりと解決してしまうなど、国家単位の一大事を扱ったシナリオにしてはやけに描写が軽い、というのが正直なところである*19

私生活はだらしないが仲間思いで気風のよいギンジマルと、そんな彼に苦言を呈しつつも何かと世話を焼くフウヨウ、そしてもう一人の仲間の睦まじい友情は一貫して丁寧に描かれており、SNS上でも彼らの関係について言及する声がいくらか見られた。このことからも窺えるように、総じてキャラクターの関係性や魅力については十分に描けているが、毎回決められた話数に起承転結をまとめなければならないことによって生じる尺不足が祟り、それ以外の部分についてはどうにも練り込み・描き込みが足りない。この問題は、『錦秋刀湯』に限らずほぼすべてのイベントに当てはまるクレサガの宿痾と言えるだろう。


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↑一見コスプレのような導師たちの格好も、実は過去に死んでいった悪魔たちの遺伝子*20を組み込まれて変異してしまった姿である。恐ろしや。

 

もっとも、そんな尺不足にも負けず骨太のストーリーを展開しきった例もある。10月末~11月上旬開催の『ホーンテイニアへようこそ』は、一見するといかにも秋らしいハロウィン風味のイベント*21なのだが、その実は導師たちが異世界・ホーンテイニアでこれまで倒してきた悪魔たちの霊に身体を乗っ取られかけるというまさかのホラー展開で、プレイヤーの度肝を抜いた。現代日本におけるコスプレ大会としてのハロウィンではなく、現世と別世界(霊界)の境界線が曖昧になる日*22としてのハロウィンにあえて焦点を当てているあたり、なかなか捻りが効いている。

配布キャラのチェシェードとの温かくも切ない交流や、既存ガチャキャラのエンニックが演じる大暴走とまさかの活躍など、キャラ描写についても申し分ない。登場するキャラクター自体は多いものの、異世界ホーンテイニアで活躍するメンバーはわずか4人+α*23と最低限に絞られていることも功を奏し、先述の尺の短さをうまくカバーできている。クレサガの世界観にこれまでにないおどろおどろしい雰囲気を持ち込んだことも含め、総じて2023年下半期のイベントの中では屈指の出来栄えと評しても過言ではないだろう。

ストーリーイベントの開催は今のところ一度も途切れずに続いており、今月*24末にも新イベントとして『謹賀新年-祭夜のキンシューに響く鐘-』が開催予定となっている。おそらく来年も、基本的には毎月ストーリーイベントが開催されるものと思われるが、それらについても話数の増加や文章量の増大など、より物語を深化させるような施策を期待したいところである。

 

寝室の方向転換がもたらす無限の可能性

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↑出会ってすぐに意気投合し、そう日も経たずにすっかり飲み友達となったノーチェとアイギス。嗜虐の気があるノーチェがタチ固定……と思いきや、酔っ払ったアイギスがノーチェを押し倒すこともあるのが面白い

 

文字通り本作の華というべき寝室イベントも、最近はこれまでとは方向性を異とする新たな試みが盛り込まれている。例としては主にプレイ内容の拡充や、導師の性格の軟化*25などが挙げられるが、中でも特に大きな変化といえるのが『導師を抜きにしたキャラ同士の絡みの大量導入』である。

実は、キャラ同士が絡む寝室はサービス開始当初からすでに存在していた*26が、あくまでも例外中の例外であり、基本的に寝室の相手は導師orモブであった。しかし、ここ最近*27SSR魂友の寝室は、導師以外のキャラを相手にするスチルが目に見えて増加傾向にある。

そうしたスチルの多くはイラストレーターが共通のキャラ同士の絡み*28であるが、場合によってはそれぞれ別のイラストレーターが担当しているキャラが共演することもある。特に11月末のイベント『HOHOHO!サンタクロース選抜試験』にて同時に実装された『雪夜の贈師 ノーチェ』と『聖夜白熊 アイギス』はなんとそれぞれ互いの寝室に出演し合うという実質二人一組の魂友・神器であり、イベントで初対面とはとても思えないラブラブぶりを見せてくれる。界隈でも人気のイラストレーター二人*29が互いのキャラクターを交換して描くという点も含め、非常に豪華な寝室であるといえるだろう。

 


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↑有志から『バンリュウさんの寝室にヤツカミズさんが出る』と聞いて即座に石を買いに走りました(実話)

 

もちろん、イラストレーターが同じキャラクター同士の絡みもバラエティに富んでいてとても興味深いのだが、本項ではその中でも個人的な嗜好に基づいて(真顔)SSR魂友のバンリュウを挙げたい。彼の寝室2はバンリュウ同様かまど氏がデザインを務めたSR神器のヤツカミズとの出会いと交流を描くエピソードであり、『年長の巨漢獣人』という共通項を持つ二人のほのぼのとした絆大迫力の重量級性交をこれでもかと堪能できる。『導師と絡まなければならない』という一つの制約から解き放たれたことで、寝室シナリオは従来以上の自由度と、無限大の新たな可能性を得たのである。

 

邪槍狂騒曲(あるいは信者選抜試験)

長々と文芸面について語ってきたが、ここからはクレサガのゲームとしての面に触れて語ってゆく。

本作の基本的なルーティンはサービス開始当初から特に変わらず、『ストーリーイベント⇒レイド周回CP⇒降臨戦⇒競技会』を毎月繰り返すものとなっているのだが、2023年9月はこのルーティンのうち競技会*30に代わって新たなイベント『ギルド団結武闘祭』が開催された。スコアアタックの内容自体は競技会と変わらない*31が、武闘祭においてはゲーム内のギルド*32ごとにスコアが蓄積され、ギルド全体のスコアによってランキングが集計されるほか、報酬獲得もギルドスコアに応じて行われる*33。ギルド団結武闘祭の開催以前は、デイリーボーナスのAP回復以外特に旨味のないシステムだったギルドだが、ここに来て一気に重大な役割を担うに至ったのである。

概要を聞く限りにおいては、同好の士が集うギルド内で文字通り『団結』し、スコアアップの方策や上位入賞・報酬入手のモチベーションを互いに高め合うことを目的としたイベントであると思われるのだが――その初回開催は、誰もが目を覆いたくなるような惨憺たる有様であった。

 

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Googleで『邪槍』と検索すると『クレサガ』とサジェストされる時点でお察しください

 

まず問題になったのは報酬獲得までのハードルの高さである。報酬をすべて獲得するために必要なスコアがとんでもなく高く稼働率の低いギルドではどう頑張っても報酬を取りきれない事態となった。前述の通り、大して旨味のないシステムであったギルドについては『とりあえず作るだけ作って適当に申請してきたプレイヤーを入れておく』だけの消極的な運用をしていたプレイヤーも多い。それがいきなり報酬獲得の可否にかかわる重大な役割を担うようになった上、報酬獲得のハードルがギルドメンバー全員がそれなりに頑張ってようやく全制覇できるほどに高いものであったとあれば、遊ぶ意欲を一気に削がれてしまうのも致し方ないだろう。

さらに、その高いハードルを乗り越えてもイベントの目玉として用意された超強力な武器を確定入手できない*34という点が多くのプレイヤーの怒りに油を注いだ。当時新規実装された新武器2種のうち『魔幻邪槍・狂風(略して『邪槍』とも)』は文字通りゲームを一変させるほどのインフレ上等ド馬鹿性能を誇っていたため、これを入手できるか否かが運次第であるとなれば、ランキング上位を争うような筋金入りのプレイヤーであればあるほど遊ぶことに意義を感じられなくなってしまうことは目に見えている。事実、邪槍を巡る侃侃諤諤の末に本作を引退してしまったプレイヤーも少なくないと聞く。本来であれば上位プレイヤーに熱中して遊んでもらうべきギルドイベントで上位プレイヤーを引退させてしまうとは、どう考えても愚策としか思えない所業である。

そもそも、私個人としてはギルドイベントという構造自体に問題があると考えられる。上記のような事態になってしまったこと自体は初回開催故の調整不足(にしてもあまりに酷いが)であるとしても、ギルド単位でのプレイを半ば強制することでペースについてこられないプレイヤーを篩にかけやり込み(≒課金)に消極的なプレイヤーに圧をかけるようなイベントは、少々運営の都合に偏り過ぎた行いではないだろうか。

確かに、ギルドイベントや競技会でランキング上げに熱中するような熱心なファンをより熱中させることも大切ではあると思うが、そうでないプレイヤーも決して無視すべきものではない*35。その点、ギルドイベントという『信者の選抜』は、運営1年目に振るうにしてはあまりに大きすぎる鉈だったのではないだろうか。どんなに熱心なファンでも、ゲーム内外問わず様々な要因でプレイを辞めてしまう可能性は十分にあり得る。今遊んでくれているプレイヤーを可能な限り繋ぎ止めつつも、新規プレイヤーや復帰プレイヤーを迎え入れるようなサービスを施していかなければ、プレイヤーの数は減少の一途を辿り、長期的な運営は難しくなるのではないだろうか。限定ガチャの復刻*36や過去のイベント限定アイテムの再入手機会など、今始めても追いつけるような仕組みが必要であると考える。

なお、ギルド団結武闘祭は2023年11月に2回目が開催されたが、こちらはハードルの緩和報酬の確定入手(ただし1つのみ)とかなり改善され、後者については件の邪槍もラインナップに含まれていたため、ある程度プレイヤーの溜飲も下がったといえる。私自身も非活性だったギルドを抜け、活動が盛んなギルドに入って十全に遊びつくすことができたのだが、そうでなかった*37プレイヤーにとってはいまだに不満の残るイベントだったのではないだろうか。これはイベントそのものの問題なので、改善云々では解消できないものと思われる。今後、ギルド団結武闘祭およびギルドというシステムそのものがどのように運用されてゆくのか、今後も引き続き注視したい。

 

人はクレサガのみにて生くるものに非ず

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↑何かと出費がかさむ年の瀬を前にこの限定はきつい。どのみち正月にも福袋的なサムシングで搾り取られることはわかりきっているというのに。

 

前述のギルド団結武闘祭と並び、本作についての不評としてよく聞かれるのが『限定ガチャの乱発』である。2023年7月までは原則月末~翌月上旬のストーリーイベント期間のみ限定ガチャ*38が実装され、それ以外の期間に開催されるガチャはいずれも恒常ガチャ*39であったのだが、8月以降はメインストーリー新章*40の新規キャラも限定ガチャに投入されるようになってしまった。さらに先述のギルド団結武闘祭開催時に『悪魔ガチャ*41』が併催され、当然ストーリーイベントの限定ガチャも健在のため、実質ほぼ毎月限定ガチャが月2回開催されることになってしまった。

もちろん、限定ガチャが実装されたところで回す・回さないは個人の自由である。しかし、限定ガチャから排出される魂友・神器は基本的に恒常実装のそれらより強力であるため、前述の競技会やギルドイベントに本気で取り組むユーザーほど限定ガチャの『引かせる圧力』は強くなる。急き立てるような限定ガチャの連発は、熱心なユーザーの課金疲れ・引退を招きかねず、サービスの寿命を縮めるだけに思える。キャラクターの魅力増進恒常キャラも活躍できる特殊クエストの実装など、限定ガチャを続々実装する以外の販促方法もあるのではないだろうか。

 

痒いところに手が届くアップデートの妙


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↑前代未聞の神アプデにハクマも思わず笑顔。

 

しばらく苦言ばかりを述べてしまったので、ここで本作の美点の一つとして『ユーザーの不満への対応が早い』ことを取り上げることにする。先述の通り、ギルド団結武闘祭についても初回で大きく問題となった点は2回目ですべて修正されているほか、『武器のソート順にCRT(クリティカル率)順を追加してほしい』『降臨戦のボックスガチャを開封する際のボタン位置が遠い』など、UIの細かい不満点までしっかりと汲み上げ、可能な限り速やかに修正を済ませてくれている。

特に、2023年12月開催の『オリンディクス降臨戦』から実装されたボックスガチャの自動リセット*42報酬固定化*43の改修は非常に秀逸であった。リセット時に一瞬のロードが挟まるとはいえ、一つのボタンを延々とタップしているだけで瞬く間に数十ものボックスが開封されていく光景は、この手のゲームにありがちな『ボックスガチャ開封が面倒くさい』という問題に対する最高水準の解決法であるといえる。まさしく神アプデと称して過言ではない。

事実、私自身も今回の降臨戦に関しては過去最高となる539箱もの開封を達成した。報酬の獲得に対する喜びだけでなく、ボックスの開封そのものの楽しみを味わうためにイベント周回を行うというのは、私の人生の中でも初めての経験であった。

 


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↑オルトーから見た魂友たちや四大国への印象など、ここでしか聞けない貴重な話がたくさん。つい放置して見ていたくなる。

また、2023年11月末から実装された新コンテンツ『オルトーといっしょ!』もなかなか面白い。毎日オルトーに食品*44を与えることで親密度を上昇させ、最高まで親密度を高めればSSR確定チケットがもらえるという内容で、基本的にはちょっと変わったログインボーナスといった風情の代物であるが、親密度上昇のついでにオルトーのちょっとした動作さまざまな台詞を見ることができるのが特徴である。居眠りしているところをタップすれば慌てて起き上がり放置していれば左右にふよふよと飛び回るオルトーの姿は思いがけない可愛さ*45を醸し出しているし、夢の中でまでミョルニルにハグされて苦しんだり、魂友や各国についてのオルトーなりの見解を述べるなど、多数の台詞パターンにはかなり細かいネタまで盛り込まれているので、ついつい放置してそのまま眺めていたくなる。

以上のように、『オルトーといっしょ!』は総じてプレイヤーからオルトーへの愛着が増す魅力的なコンテンツとして、またログインを促すきっかけとしてしっかり機能しているといえる。もし叶うならば、応用としてホーム画面にお気に入りとして設定しているキャラにもタップ時台詞を設定するなど、各キャラクターの魅力をさらに増すような施策を続けてくれると嬉しいのだが……そのあたりも含め、今後もユーザーの意見を真摯に受け止め、汲み上げてくれることに期待したい。

 

迫り来る1周年に向けて

大手パブリッシャーからのリリース、大胆なプロモーション施策で大きな話題を集める中、開始早々様々な問題を抱えて走り出した『クレイヴ・サーガX』。一時はどうなることかと思ったが、私個人としてはなんやかんや飽きずに楽しませてもらっている。当初はプレイヤーとの倫理観の乖離から魅力が見えづらくなっていた導師一行にも、10か月強にも及ぶ長い旅路の中でだんだんと愛着が湧いてきているし、たとえ失敗したとしてもすぐさま改善し、少しでも良いゲームにしていこうという姿勢が見えるのは相変わらず印象が良い。

あとは少しでも間口を広げるような取り組みや、より幅広いファンの愛着を高めるような盛り上げ方ができれば、今後も安泰ではないだろうか。基本無料・アイテム課金制のいわゆる『ソシャゲ』が下火になっていると言われて久しい今日だが、私自身はこのゲームを可能な限り長く遊んでいきたい。運営の皆様におかれましては、どうか長期運営を見越した舵取りを何卒よろしくお願いしたい所存である。

 

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。倒れても立ち上がり昨日より強くなれクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

(終)

 

おまけ:イカれた推しキャラを紹介するぜ!4 愛・爆発編

何!?『4』より前に『3』の更新を終えるべきではないのか!?

いやそれはまぁごもっともなのだが、それはそれとして。

毎月およそ7人の新キャラクターが絶え間なく増え続ける本作において、(個々人のストライクゾーンの広さに左右されるとはいえ)推しキャラもまた増加の一途を辿るのは自明の理である。まして、前回更新から5か月もの月日が過ぎ去っていればなおのこと。

ということで、今回も私の推しキャラを紹介することにする。今回紹介するキャラの多くは限定ガチャ産であったり終了済みのイベントにおける配布キャラであったりするため、すぐに手に入れることはできないが、今後来るべき復刻に備えてぜひ興味を抱いていただければ幸いである。

 

疾風怒濤祭男 セルドア -だがクサンの司ヤツは……ハジけた-

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納涼男児 シュミエル -あの夏、君が見せた小さな勇気-

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ヴァスハーン -愛知り初めし神造人形ゴーレム-

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アドザ -心優しい処刑人-

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獅子王 ベルガモンド -大統領、乳首ピアスデビュー!-

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チェシェード -幻蒸の申し子は宵闇に踊る-

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グロースレクトロ -そうそうそうそうこういう爺を!!待ってた!!!-

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雪夜の贈師 ノーチェ -サンタが(ボンデージで)ヴェストリアにやってくる-

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聖夜白熊アイギス -頑固で愛らしい酔いどれサンタ-

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バンリュウ -大海原を駆ける白き龍-

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画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:例によってリンクは全年齢版なので、『X』版のプレイは「R-18版はこちら」のボタンからどうぞ

*2:するついでにセルドア様のえっちな本を出したりしていたんですが…… https://booth.pm/ja/items/5209657

*3:あれだけの数のキャラクター全てに寝室を最低1種用意する都合上、どうしても執筆者は多数にならざるを得ず、クオリティを均質にするのが非常に難しい……という事情は理解できるのだが

*4:公式の二次創作ガイドラインに従い、成人向け描写を含まないテキスト・画像のみを使用しております

https://crave-saga.jp/news/detail/9805

*5:グングニルが該当する。彼は主人公のイメージによって、北欧神話の主神・オーディンが『以前の主』であるという存在しない記憶を植え付けられてしまっている

*6:約5000年前であるとされる。この手の異世界にしては案外歴史が浅い

*7:外見は完全に(ほぼ全裸の)人間だが、劇中描写によれば『原神王が土や水、木などに神力を注ぎ込んで創造した生命』であるとのこと。また、不老不死かつ頑強な肉体の持ち主であることも語られている

*8:プレイヤーからの通称は『闇エクス』。闇堕ちしたエクス、という意味のほか、ゲーム内でも闇属性の神器として実装されていることにちなむ

*9:2章、5章など『覚醒前の神器が敵に武器として利用される』ことは何度かあったが、覚醒後の神器が敵になるのは今回が初

*10:先代導師ヴァルナの仲間・天樹十二聖の一人であるファヴの血を継いでいることが作中で明言されている

*11:アルケー同様、導師にも意思を持つ者の絆や愛に介入することはできない=神器の人格や感情を操作することはできない、という理屈である

*12:2023年12月末日

*13:8章はまだ公開されてから日も浅いため、本項では詳しく取り上げないが、今後ブログでの紹介も検討している

*14:すでにガチャで実装されている某キャラクターである。記憶喪失という重大要素のネタばらしにしてはやけに早い気がするのだが……

*15:これまでの全てのストーリーイベントは全10話で固定。各話の文字数はまちまちなので、尺の長さについてはあくまで目安であるが

*16:この情報屋は『伝説の三人』のかつてのライバル・忍者のサビスケであり、『錦秋刀湯』終了からしばらくの後新キャラクターとして実装されている

*17:『クレサガの話3』にて『クソデカチ〇ポは飾りか』と記したアイツである

*18:この時、神器ライキリの能力によって魂を両断され『二度と復活できない』と明言されてしまっているため、三度目の正直はもう巡ってこないことだろう

*19:メインストーリー4章におけるベルガモンド大統領就任の件など、本作における国家レベルの決め事の描写が軽いのは今に始まったことではないので、もうそういうものなのだと諦めるほかないのかもしれないが

*20:なお、人間同士が性交による生殖をしない本作において『遺伝子』という言葉が何を示すものなのかは定かではない

*21:限定ガチャの内容も、悪魔風の扮装をしたベルガモンドと神器アゾットというハロウィンらしいもの

*22:ハロウィンのルーツとされるケルト人の伝承における定義

*23:主人公、ベルガモンド、アゾット、チェシェード、ついでにオルトー

*24:2023年12月

*25:従来からのイキりや異常行動がまったく見られなくなったわけではないが、個人的な観点としてはある程度良識に基づいた言動を行うようになったように見受けられる

*26:SR魂友のヤチルドが該当する。当ブログでも紹介したとあるキャラクターの口車に乗せられて怪しい『治療』を受診させられてしまう、という内容である

*27:10月末実装の『闇獅子王 ベルガモンド』以降。それ以前にも該当例はあるが、闇ベルガモンド以降のSSR魂友はむしろキャラ同士の絡みが実装されていない方が珍しいほどである

*28:公式の二次創作ガイドラインに『公式イラストレーターにコミッションを依頼する場合、依頼できるキャラはイラストレーターがデザインしたものに限る』『許可が得られている場合のみ、他のイラストレーターがデザインしたキャラを依頼してもよい』(いずれも要約)との記述があるため、おそらくデザインが別担当のキャラクター同士の絡みを出すには一定の制約があるものと思われる。もっとも、サンタノーチェ・アイギスの例を考えるに、その制約を突破することはそこまで難しくはないものと思われるが

https://crave-saga.jp/news/detail/10219

*29:『クレサガの話2』のキャラクター紹介でも触れた藤本郷氏と、本作ではほかにユリガノス、クラップスなどを担当している熊谷しん氏。両者はTwitter(現・X)上で互いのキャラを交換して描けたことを喜ぶやり取りを行っており、お二方にとっても今回のコラボは念願のものであったようだ

*30:厳密には『武技研鑽競技会』、3属性のボスを相手にスコアアタックを行う個人戦

*31:ただし、ボスは1属性のみ。また、毎日より上位の難易度(4段階)が解放されていく

*32:ゲーム内でプレイヤー同士が結成するチーム

*33:ギルドスコアによる報酬とは別に個人スコアによる報酬も存在する。こちらは蓄積スコアに応じて獲得できるものと、スコアの最高値に応じて獲得できるものの2種類がある

*34:最高までスコアを稼いでも、入手できるのは『風属性武器確定SSRガチャチケット』であるため、必ずしも新規実装の武器が入手できるとは限らない(初期から実装されている別の風属性SSR武器が排出される可能性がある)

*35:そうしたプレイヤーももちろん本作の顧客であり、キャラクターの魅力などの別要素によって本作に課金を行う可能性はある。また、何かのきっかけで本作への熱を上げる可能性もゼロとは言えないだろう

*36:これについては2023年末に開催されたが、2023年内の限定キャラを上半期/下半期に分けた上で恒常実装キャラも混ぜたガチャとして提供する、というなかなかシビアなものになっていた

*37:移籍先が見つからない、そもそもギルドに所属していないなど

*38:投入されている新規キャラクターが恒常実装のガチャ(プラチナガチャ)に投入されないガチャのこと

*39:厳密は、投入されている新規キャラクターが実装翌月末以降恒常実装ガチャに追加される

*40:2023年8月実装の7章、同12月実装の8章

*41:メインストーリーで戦った悪魔が魂友として投入されたガチャ。基本的に悪魔の魂友は悪魔ガチャからしか実装されない

*42:ボックス内のいわゆる『当たり』を引いた後のリセットを自動で行ってくれる機能。設定でON・OFF可能

*43:ボックスの『当たり』は『ガチャチケット』『武器ガチャチケット』『スタミナ薬(小)』の3種から選べるのだが、これを設定によっていずれか一つに固定化することができるようになり、ボックスリセットごとにいちいち選ぶ必要がなくなった

*44:『ガイの精霊バーガー』と称される、ガイとオルトーが共同開発したハンバーガー。親密度をより高める『ザルクのほろ酔いエール』もあるが、こちらは一度使用するとなくなってしまう

*45:とても下世話かつ肝心な時しか役に立たない導きの精霊(笑)とは思えない

クレサガ備忘録Vol.2 ヤツカミズ爺ちゃんBIG LOVEとか夏祭りの悲喜交々とか。

クレイヴ・サーガXの話をちょびっとだけさせてほしい。(2回目)

crave-saga.jp *1

 

暑いぜ暑いぜ暑くて死ぬぜ

7月も半ばにして早くもおぞましいほどの猛暑が列島を襲った三連休、皆様いかがお過ごしだったでしょうか。クーラーをガンガンに効かせた部屋で寝っ転がっていた方も、炎天下に繰り出してレジャーを満喫した方も、そもそも休みなんかねえよという方も、こぞりこぞってご覧いただきたい今週のクレサガ備忘録の時間がやってまいりました。

 

今回は、毎月後半のお楽しみ・SR神器降臨戦から公式生放送で発表された驚愕&衝撃の次回イベント予告まで、来月に迫るハーフアニバーサリーを前にますます盛り上がる今週(7/11~7/17)のクレサガについて振り返っていく。

 

今週のクレサガ備忘録

いつも以上にしっかり回っておきたいレイドイベント

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↑魔槍千刺水盾は1回しか使用できないが、破格のダメージアップ効果で部隊の火力を瞬間的に底上げしてくれる。レイドでMVPや準MVPを狙うなら必須といえる武器だ

 

7/13(木)から開催中の新イベント『ヤツカミズ降臨戦』。クレサガにおいてはすっかりお馴染みとなった期間限定レイドバトルイベントであり、今回は水属性のSR神器・ヤツカミズの獲得と強化を行うことができる。

イベントの形式や特徴はこれまでのSR神器降臨戦と特に変わりないが、特筆すべきはこれまで開催されてこなかった水属性の期間限定レイドであるという点。レイドの戦果やボックスガチャの景品として獲得できる火・水のレイドスフィア*2を用いてSSR神器のケーリュケイオンゲイボルグを交換できるのはもちろん、部隊全体の火力底上げに有用な武器『魔槍千刺水盾*3』を入手することができるため、普段なかなか恒常レイドを回れていないプレイヤーにとっては特に力を入れて周回すべきイベントといえる。もちろん、プラチナガチャチケットをはじめとするボックスガチャの報酬もいつも通り豪華なので、時間の許す限り救援に入り続けるプレイヤーも多いことだろう。

だが、このブログで重点的に取り上げたいのはそんなゲーム上のあれこれではない。

今回このブログで語り尽くしたいのは、今回のレイドイベントで入手できるSR神器・ヤツカミズ、その有り余る魅力についてである。

祖父になってほしい神器ナンバーワンの男、現る!!


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↑神器なのに超人格者!圧倒的包容力!爆裂尊い笑顔!なんだこの爺かわいすぎるぞ!!

 

ヤツカミズは、ビーチでサンダル飛ばしに興じていた導師一行*4が見つけた杖が覚醒した神器である。白髪を角髪*5に結い、白髭を蓄えた鹿獣人の巨漢で、主に一人称『うち』の訛り口調*6で話す。

本作における神器はエクスカリバーを筆頭に我の強い者が多く、やたら尊大だったり融通が利かないクセのあるキャラクターばかりなのだが、ヤツカミズは神器には珍しくおおらかで優しい性格である。水を操る能力で一行が飛ばしたサンダルを手元に戻す心配り、導師にいきなり特訓を頼まれても『ええよ』の一言で躊躇いなくやってのける気前の良さ。自慢の怪力をひけらかすこともせず、あらゆる事象をどっしり構えて大海の如く受け止めるその姿は、まさしく包容力の塊といってよいだろう。「だんだん*7」の一言で感謝の気持ちを示すのを忘れない謙虚さも、他の神器とは一線を画す。ネタバレになるので詳細は伏せるが、寝室イベントで垣間見せる情熱的な一面も見逃せない。そもそも好感の持てる人格に加え、ギャップ萌えも完備しているとあれば、もはや老け専ならずとも好きにならずにいられなことだろう。

本作初のジジケモ*8だけあって、容姿もかなり魅力的な仕上がりだ。まろび出た太い首、上衣越しにも見て取れるたわわな胸豊かな腹、そして寝室イベントで拝むことができる剛毅な肉……どこをとっても数寄者にはたまらない要素である。さらに目を細め、口を大きく開いた笑顔の可愛らしさには、思わず見ているこちらも笑顔になってしまう不思議な力があるように思われる。人格も容姿もパーフェクト、まさに祖父になってほしい神器ナンバーワン。それがヤツカミズなのである。

これまでクレサガに対し散々文句やら願望やらを吐き散らしてきた私だが、待望の爺キャラをここまで破壊力の高いキャラクターとして送り出してくれたことには、素直に快哉と感謝を叫びたい。ありがとうございます。めちゃくちゃ助かります。

どうしてシュミエルくんはSSRにならないんですか!?(魂の叫び)


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↑この胸板と腹筋ともっこり見せつけられてガチャ引かねえ奴いる!?いねえよなあ!!

 

さて、そんなヤツカミズ降臨の興奮も冷めやらぬ7/15(土)のこと。

新宿二丁目で開催されたイベント『SUMMER BLAST』内で行われたクレサガ公式生放送『ヴェストリア放送局 出張版』内で発表された新規ストーリーイベント『わっしょい!熱気と絆の夏祭り』の情報は、多くのプレイヤーを驚嘆と歓喜の渦へと巻き込んだ。以前当ブログでも紹介したクサンの司・セルドアまさかの限定SSRである。しかも祭装束

以前の紹介時にも書き記した通り、国内外で高い人気を誇るイラストレーター・漫画家の藤本郷氏が手掛けたキャラクターであるセルドアは、クレサガの中でも特に人気の高いキャラクターである。そのセルドアが猛き男の晴れ姿である法被褌の祭装束で登場するとあって、生放送の会場ではひときわ大きな歓声が上がり、SNSでもセルドアに言及する多くの書き込みが観測できた。来月なかばに迫った本作のハーフアニバーサリーを前に、大きなムーブメントを巻き起こすための施策としては、セルドアの別verSSRの実装はこれ以上ない切り札といえるだろう。

私自身としても、セルドア様の新規SSR実装は素直に喜ばしいのだが、一方で心にややしこりが残る。その原因は、当イベントで配布されるSRキャラの人選にある。

これまでのクレサガにおける既存キャラの別verは、いずれもメインストーリーにおける導師一行の同行者から選出されてきた。ここまでの間にエクス・ガブ・ハクマの別verが限定SSRとして実装されており、残るはシュミエルの別verのみとなっていた。

しかし、今回のイベントでは導師一行の同行者ではないセルドアが別verのSSRとして限定ガチャに投入され、シュミエルの別verは配布SRに回されるという異例の事態が発生した*9。導師一行の中でも特にシュミエルを推している身としては、浴衣姿のシュミエルが配布で確実に手に入るのは嬉しいところだが、一方で「シュミエルではガチャが回らない」と判断されたのではないかとついつい邪推してしまう。他の仲間が強力な限定SSRで実装されたところにシュミエルだけ能力的に劣る配布SRで実装されるというのも、何やら格の違いを見せつけられているようで悲しい。レアリティ的に寝室イベントの数も減ってしまうため、浴衣姿で乱れるシュミエルの姿を一種類しか拝めないのもどうにも勿体なく思えてしまう。

シュミくんに……シュミくんに救いはないんですか……!

 

といったところで、今週のクレサガ備忘録は以上となります。

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。いつかシュミエルの限定SSRも実装してくれクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

(終)

画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:今回もリンクは全年齢版なので、『X』版のプレイは「R-18版はこちら」のボタンからどうぞ

*2:恒常レイドバトルの火・水属性共用交換アイテム

*3:いわゆる『水盾』

*4:水着チャックが同行していることもあり、おそらくイベント『盛夏!!潮騒のサバイバルアイランド』後の出来事と思われる。ミョルニルの追加エピソードといい、どうも一行はビーチにかなり長い間滞在していたらしい

*5:みずら。上代倭人の髪型で、中央から髪を二つに分けて耳の横に括って垂らすもの

*6:話し方のベースは島根弁と思われるが、複数の方言を混ぜこぜにしているものと思われる

*7:島根県他にて用いられる方言で、「ありがとう」の意

*8:ヤツカミズ自身は寝室イベント中で自らを「おっさん」と称しているうえ、そもそも神絆覚醒で人格が誕生したばかりの神器に年齢も何もないのだが、ここでは容姿と願望込みで「爺」と称させていただく

*9:生放送内での浅井Pの談によると「さまざまなパターンを試している」とのこと

クレサガ備忘録Vol.1 レイド阿鼻叫喚とかジジケモ降臨とか。

クレイヴ・サーガXの話をちょびっとだけさせてほしい。(初回)

crave-saga.jp *1

 

省力設計にリニューアルです

過去三度にわたって執筆し、ありがたいことに様々な方からご好評をいただいた『クレイヴ・サーガX』についての記事だが、今回からは基本数千字程度の小規模記事不定(可能であれば週一)に更新していくスタイルに改めようと思う。

基本週一のペースで更新される同ゲームの生き急ぎっぷりに可能な限り肉薄したいという目的もあるが、これまでの記事のような分析・評価を特に学のあるわけでもない一個人である私が行い続けることに限界を感じていることも確かだ。

また、私自身あまり筆が早い方でない*2こともあり、前回までのような規模の記事を書き上げるのには少々時間がかかりすぎる。下手な鉄砲も数撃ちゃ――ではないが、単なる事象の記録・感想の羅列に終始する短文だとしても、なるべくコンスタントに公開し続ける方がより資料的価値も高まるのではないか、という算段もある。

……たかが一個人のブログに資料的価値も何もないのでは、と思わなくもないが。

 

さて、前置きはこのあたりにして、今週(7/3~7/10)のクレサガについて軽く振り返ってみよう。

 

今週のクレサガ備忘録

どうしてただでさえ難しいレイドをもっと難しくしちゃったんですか?(電話猫)

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↑期間限定割引といっても、その期間のうちに規定数を集められなければ何の意味もないんですが……

 

7/6(木)から、新イベント『ミョルニル挑戦応援キャンペーン』が開催されている。久々のレイド応援キャンペーンである当イベントは、既存の土属性レイド『ミョルニル』の新難易度『Extra+』の追加に伴い、ミョルニルExtra+への挑戦を後押しする様々な施策を行うものである。

レイド救援時の消費RP半額、Extra+自発回数増加、新規アイテム*3による交換対象の割引・交換対象の追加、更に限界突破時に消費するキーの代わりになる『御魂の解放チャンク』の低確率ドロップ追加*4など、併催の限定ミッション含めキャンペーンの内容自体は非常に豪華なのだが、問題はミョルニルExtra+の難易度である。

そもそもミョルニルは他属性のレイドバトルに比べてやや難易度が高い*5のだが、そのさらなる上位レイドということで、Extra+の難易度は熟達のプレイヤーであっても手こずるレベルで苛烈なものとなっている。

枯渇、麻痺、睡眠など、これでもかと叩きつけられる無数の状態異常。激しさを増した攻撃は追い詰めれば追い詰めるほどに勢いを強め、終盤にはHPの7割ほどを削るような単体攻撃が平然と飛んでくる。ソロ討伐など夢のまた夢、そこそこやりこんでいるプレイヤーが四、五人集まっても苦戦は免れず、長引けば戦闘時間は悠に15~20分を数える。もし運悪く救援が来なければレイドドリンクを蘇生に使ってでも一人で戦い続ける羽目になり、万一時間内に撃破できなければその苦労もすべて無駄に終わる

こんな状況で最低50体*6の撃破を要求されるのだから、なるべく確実に撃破できるように、よりHPが減少したレイドの救援に入る行為が横行している。燦燦と照り付ける真夏の太陽のごとき救援日照りに喘ぎながら参加者数名でようやくHP残り20%以下まで追い詰めたところに、いきなり上限人数*7ギリギリまで救援が押しかけてくることなどザラである。

序盤は待てど暮らせど救援が来ないのに、終盤は呼ばなくとも救援が押しかける。明らかに異常な状態であり、あまりの救援の薄さに一部プレイヤーが自ら『お助け隊』と称して外部SNSで救援依頼を受け付けるような事態にまで発展してしまっている。救援の需要と供給のバランス崩壊は、以前のグラム応援キャンペーンに比してなお悪化しているといってもいいだろう。

レイドバトルという方式を取っている以上、終盤にのみ救援に入るような行為自体は特に咎められるようなものではない。しかし、プレイヤーの多くをこうしたプレイスタイルに走らせるような難易度の高さは正直いただけないものがある救援に入るメリットが薄い*8ことも含め、今後改善していく必要があるのではないだろうか。

せめて追加エピソードだけでも見てほしい

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↑相変わらずオルトーが好きすぎるミョルニル。追加エピソードは彼の純情が砂漠を突き抜けビーチにまで届く感動の純愛物語である。

 

あまりに苛烈な難易度のミョルニルExtra+だが、何も悪いことばかりではない。専用アイテムを用いて解放できるミョルニルの新エピソードの完成度が非常に高いのだ。

ミョルニルが愛しの精霊オルトーに会うため、ラピマニアから導師一行が滞在中のビーチ*9に向けて突っ走るだけのお話なのだが、なんと(ネタバレなので内訳は伏せるが)ガチャ産キャラが一気に3人も登場し、ミョルニルと旅路を共にすることになる。劇中では彼らの性格や特徴もしっかり活かされており、時には酒場や寝室では見られなかったような一面の掘り下げも差し挟まれる。旅路の果てにミョルニルとオルトーが交わすやり取りも非常にほのぼのとしており、本作には珍しく不快な展開性的な匂わせが一切存在しない異色のハートフルストーリーとなっている。こういうのもできるんだったら初めからそう言ってくれ。

神器とその他キャラクターの掘り下げをまとめて行い、新たな魅力の発見にも繋がる秀逸な新ストーリー。交換のために少々の周回が必要*10である点は難儀だが、相も変わらずいろんな描写が足りない本作にとっては待望のストーリーである。ミョルニルのファンのみならずとも、ぜひ交換してみていただきたい。

 

ついに!!爺が!!来ます!!

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↑ひえっ 衣袴姿の白髪長髪白髭鹿爺 ひえっ

 

さて、今週7/13(木)からは新イベント『ヤツカミズ降臨戦』が開催される。なかなか開催されなかった*11水属性の降臨戦であり、新規SR神器『ヤツカミズ』が配布される。

――上の画像を見てもらえばわかると思うが、爺である

これまでおじさん』『ロマンスグレー程度で留まっていた本作に、(比較的外見から年齢が類推しづらい獣人とはいえ)ついにいよいよ満を持して投入される爺である。しかも太い。

これはごく個人的な性嗜好の話であり、当記事をお読みくださっている皆様におかれましては理解が及ばぬことと十分に承知はしているのだが、私は!!こういう爺を!!待っていたんです!!サービス開始から!!ずっと!!

これまでのSR神器レイドももちろん十全に完走してきた私だが、今回は特に気合を入れて、念入りに、一切の悔いを残さぬよう、全力で走り抜けていく所存である。

だって爺だから。だって……爺だから……!!

……我儘を言えばジジケモだけでなくヒトジジも欲しいのですが、まぁそれは追々叶うことだろうと信じて待ちます。もっと増えろ爺。ガチャに投入されても回すぞ俺は。

 

といったところで、今週のクレサガ備忘録は以上となります。

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。ヤツカミズさんの実装ありがとうございますクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

(終)

画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:今回もリンクは全年齢版なので、『X』版のプレイは「R-18版はこちら」のボタンからどうぞ

*2:一週間たったこの期に及んで前回記事の推しキャラ紹介もあまり進められていないほどである

*3:Extra+でのみドロップするもので、Extra以下の難易度で落ちるアイテムとは別物

*4:キャンペーン中限定。100個集めるとチャンクと交換できる『チャンクの欠片』もあり、こちらはおそらく恒常的にドロップするものと思われる

*5:全体への睡眠付与や、魂友一人の現HPの99%を一気に奪い去る攻撃など、厄介な特殊行動が非常に多いことが原因

*6:限定ミッション達成のために必要な撃破数。さらに、ゲーム中称号を獲得するには期間中に100体もの撃破数を要求される。もっとも称号はあくまでもただの飾りであり、興味がなければ入手しなくてもゲーム内での強さに関わりないのは救いだが

*7:毎月開催される降臨戦のレイドExtra+と異なり、参加人数の上限は普段と変わらず20名のままである

*8:救援報酬では御魂の解放チャンクおよびチャンクの欠片はドロップしない仕様である

*9:開催中のイベント『盛夏!!潮騒のサバイバルアイランド』での出来事。これまでのイベントもそうだが、クレサガのメイン外シナリオはその時点で最新の時系列に合わせたタイムリー(すぎる)物語展開が多い

*10:おおむね救援10回ほどで達成できる量であり、ほかの交換対象に比べるとはるかに良心的な価格ではある

*11:一部では『火水のレイドスフィアを配りたくなかったからでは?』との邪推もある

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい3

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい。(3回目)

crave-saga.jp *1

場末のブログの戯言でも楽しんでくれる人がいるのなら、こんなに嬉しいことはない(率直な感想)

現在に至るまで多くの方にご愛顧いただいている前回記事『クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい2』から早3カ月。

syumitoka.hatenablog.com

その間私は相変わらずクレサガ*2を遊び続けていたが、5月末開催の某イベント出展に向けての執筆作業の兼ね合いで、当ブログおよび前回記事の推しキャラ紹介については長らく更新を停止していた。更新停止中のクレサガの動向が良くも悪くも安定していた(後述)こともあり、わざわざ構想や執筆の時間を削ってまでブログを書き綴ろうと思えなかったのも正直なところである。大した影響力のない場末のブログ記事とはいえ、世に出すからには最低限情報の正確性と筋道の立った理論は必須となる。それをわざわざ練るだけのエネルギーを、当ブログに振り分ける余裕がなかったのだ。

www.pixiv.net

↑イベント向け新刊。現在は通販・DL販売中なので、よろしければぜひ。(宣伝)

そうして迎えたイベント当日。

苦労して脱稿した新刊はおかげさまで多くの方の手に届き、様々な同好の繋がりを楽しむことができて非常に満足したのだが、もう一つ喜ばしい出来事があった。なんとわざわざサークルブースを訪れてまで、当ブログのクレサガ記事の感想を寄せてくださる方がいらっしゃったのである。

もともとクレサガに寄せていた期待と、実際にお出しされたものとのギャップから生じた激しい情動を世界に叩きつけたいという独りよがりな願いのために執筆した記事ではあったが、想定以上の範囲に広まり、多くの方の共感を得られたことはとても嬉しい。まして、作者に直接思いを伝えに行きたくなるほどの文章を綴れたことは、文書きの端くれを自負している私にとって大きな自信につながる出来事である。

いやホントマジでありがとうございます。心が救われます。

今回はその場で伝えていただいた次回作への期待と、先日新たに公開されたメインストーリー第6章が思いのほか面白かったことへの喜びを原動力に、第3弾となるクレサガブログをお送りする。なお、その後いろいろあってだいぶモチベが減退したせいで結局脱稿が大幅に遅れたことは密に、密に……

 

なお、今回の記事はメインストーリープロローグ~第6章開催終了済みのイベントおよび各キャラクターの寝室イベントなどのネタバレを含む。特に第6章についてはストーリー後半の内容含め細かく触れていくので、気になる方はご注意いただきたい。

リリース100日を過ぎ早くも倦怠期突入

私がサボっていた間ブログを更新せずにいた間も、クレサガX自体はいつも通り週一のペースで新イベントを開催し続けており、先述の通り良くも悪くも安定した運営が続いていた。各回ごとに細かいゲームシステムの改良や難易度の調整はあれど、『第一週~第二週にストーリー付きイベント⇒第二週に周回応援系イベント⇒第三週~第四週にSR神器レイド⇒第四週にスコアアタック』の流れはここ3ヶ月の間全く変わっていない。あまりに変化がなさ過ぎて、サービス開始半年に満たない時期にして早くもマンネリの様相を呈し始めているほどである。

また、ストーリー付きイベントのシナリオ面についても安定傾向にあり、前回ブログでも紹介した初のストーリー付きイベントである『愛を込めて!Sweets Contest』で見られた手堅い構成が一貫されている。強いて言うならば4月頭の『花咲かせRock!カラオケ大作戦』のみ少々シナリオの質が劣っている*3面が見られたが、以降は持ち直しており、現在開催中の『盛夏!!潮騒のサバイバルアイランド』に至るまで安定した傾向が続いている。限定ガチャのキャラ・神器や配布キャラの魅力を引き出しつつ、いつものパーティメンバーや既存のガチャ産キャラと交流させて物語を転がす、という基本的なフォーマットはすでに確立されており、定められた枠組みの範疇の『面白さ』は最早担保されたも同然と見ていいだろう。

しかし、どれだけイベントを繰り返したところで、本作の物語の中心たるメインストーリーは一向に前に進まない。イベントで描かれる物語はあくまでもメインストーリーの外伝、いわゆる『寄り道』であり、展開の規模やスケール感という点においてはどうしても小さくならざるを得ない。

雨天が続く村に晴れ間をもたらす、という目標があった『雨よやめ!晴天のトレジャーハント』やあるトラブルからの脱出が主題の『サバイバルアイランド』以外のイベントストーリーの中心がいずれも個人の問題*4に終始していたことからもわかるように、本作のイベントはあくまでもキャラクターの掘り下げに寄与する面が強く、本筋に関わる重大な事実が明かされるようなことはほとんどないのである。

いくら本作が致命的なレベルのキャラ描写不足にあえいでいるとはいえ、小規模なストーリー展開でただキャラの魅力を深堀するばかりではダイナミズムに欠ける――などと考えていたところに投入されたのが、メインストーリー第6章である。

傲慢かもしれないが「やればできるじゃん」と思わざるを得なかった

正直な話、私のメインストーリー第6章への期待値はさして高いものではなかった。

先述の通り、イベントのストーリーはそれなりに安定傾向を示してきている。しかし、それはあくまでも『それなり』の範疇における安定である。クレサガの中ではよくできた方、というだけで、他のゲームのシナリオや別ジャンルの物語と比べてしまうと、どうしても劣る面が見受けられる。

これまでも幾度となく指摘している『描写の不足』はもちろんのこと、場当たり的な展開の唐突さ、人類存亡をかけた戦いに臨んでいるとはとても思えない主人公一行の緊張感のなさノルマ消化の如く行われるセッ結界張りなど、論っていけばキリがない。加えてこれまで指摘してきたような誤字・脱字改行の不行き届きなどが重なり、物語を読ませるにあたって最重要課題ともいえる没入感も削ぎに削がれる始末。これらの諸問題が解決されないことには、本作に未来はないとまで思えてしまうほどだ。

そうした数々の欠点を抱えたメインストーリーの続きとして公開された第6章は、必ずしも他のゲームのそれに追随するほど素晴らしい物語というわけではなかった。しかし、それでもなお私が第6章に感銘を受けたのは、ひとえにその内容・体裁からより良くしていこうという志を感じ取ることができたからである。これまで私が指摘してきた物語上の不備やUIの行き届きの悪さが、確かに改善されていたのだ。

ここがすごいよメイン第6章!

誤字・脱字・気持ち悪い改行、ほぼ撲滅

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↑鍵カッコの途中で改行しない……だと……!?

 

まず第一に評価したいのが、再三にわたって指摘してきた『誤字・脱字』や『不適切な改行』がほぼなくなっていることである。特に誤字・脱字についてはこれまでのアップデートで改善の兆しがまるで見られなかったこともあり、「ようやくか……!」と思わず拳を握ってしまった。

これまでのメンテナンスで何度か誤字・脱字の修正がアナウンスされた際は、わざわざその真偽を確かめるためにメインストーリーを読み返すことまでしたのだが、早い段階で重大な誤字*5に行き当たってしまい大いに萎えた思い出がある。最初のブログで取り上げた「ありがとうござます」も全く直っておらず、思わずやる気あんのかこの運営は、とスマホを投げたくなってしまったほどだ。

それがどうだ。今回更新されたメインストーリー第6章には、目立つ誤字・脱字*6はほとんどない。それどころか、「連続した三点リーダの途中で改行」「鍵括弧の途中の二、三文字で無駄に改行」といった気持ち悪い改行の数々が一切ない。神経質なほどに細かい改行を連発してまで、そうした生理的に不快な改行をことごとく回避しているのである。

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↑一応、このようにちょっと引っかかる改行が見られる場面もあるので、100%撲滅されたというわけではないのだが、それでも頻度は激減している

 

誤字・脱字はともかく、改行については気になる人が気にするだけのほんのちょっとした点ではあるのだが、この点への改善がもたらす効果は存外に大きい。何の引っ掛かりもなく、一行一行をしっかりと噛み締めながら文章を読み進められるというだけで、物語への没入度は段違いに上昇する

この時点ですでに、第6章はこれまでのどのストーリーよりも優れていると言い切ってしまっても過言ではない。それほどまでに、第6章の文章の体裁はきれいに整っていたのである。

主人公、ついにスケベ以外の選択肢を覚える

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↑粗探しのつもりで漁ってみても、ここの上の選択肢がややセクハラに見える程度である

 

続いての評価点は、これまでのストーリーでは『お約束』や『天丼』を通り越してもはや恒例行事と化しつつあった主人公の色ボケ選択肢が消滅したことである。

これまではあらゆる初対面の男に対し即座に品定めを行い、相手がガチムチの大男であろうと淑やかなショタっ子であろうと情け容赦なく性的魅力を見出しては鼻の下を伸ばしていた主人公だが、今回は一味違う。色ボケ選択肢そのものが全くと言っていいほど出現しなくなったのだ。

これまでの主人公であれば、初めて出会うキャラクターを一目見ただけで『カッコイイ』『カワイイ』『好き』などと目をハートにして*7口走っていたはずだが、第6章における主人公はそういった言動は一切行わない。物語の最後にはお約束としてウィールとの結界張りが行われる上、冒頭で『昨晩はシュミエルと一夜を過ごした』とオルトーに暴露されたりはするものの、これまでのように行く先々で股間を膨らます万年発情期の男たらしとしての一面はまったくといっていいほど見られない。露骨すぎるレベルの方向転換である。

この変更点は、現時点ではあくまでも第6章にのみ適用されているものであるため、これまで主人公がしでかしてきた下半身本位の言動のすべてがなかったことになるわけではない。しかしたとえ途中からであっても、主人公の異常な人格の発露が食い止められたことは、本作の大きな問題である『主人公の人格の不安定性』『言動と評価の乖離』に歯止めをかける策としては有効と思われる。エロゲーの主人公である以上、寝室での言動はどうにか割り切れる*8にしても、せめてメインストーリーの間くらいは『世界を救うために遣わされた神絆の導師』としての振る舞いを見せてほしいものである。

舞台設定を生かした展開・描写、一行の会話劇にもたらされた変化

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↑クラップスはこの時諸事情で金に目が眩みきっており、本来の彼の人格に比べてやや思考が邪になってしまっているのだが、それでもウォレフの人々の基本的な価値基準・行動指針の第一が『富』にあることは確かである

 

本作の舞台となる都市・ウォレフは、ヴェストリア南部の商業都市国家群に数えられる都市の一つである。乾いた風が吹き荒れる砂漠の中に位置するウォレフは、巨大なカジノが立ち並ぶギャンブル都市であり、関西弁のような訛りで話す住民たちが商魂たくましく賭け事や商売で生計を立てている。

こうした背景設定の反映はモブの一人一人に至るまで徹底されている。一行への情報提供を渋っていた酒場の主人はステーキの追加注文であっさりと掌を返し、若者たちは入国手続き待ちの観光客たちに高値で飲食物を売りつけようと群がる。また、市長を務める元ギャンブラーのクラップスや、一行と行動を共にするディーラーのウィールといった面々も、いかにも金と欲で回る街の住人らしい言動を見せる。

これらのキャラクターの一挙手一投足からは、これまでのシナリオではあまり焦点が当てられてこなかったヴェストリアの経済面を垣間見ることもでき、なかなかに興味深い。巨額の入国料を要求するウォレフのカジノに入り浸ることができるような富裕層の存在を考えると、これまで明確には描かれてこなかった国ごと・階層ごとの格差などもなんとなく透けて見えてくる。『カジノ都市』という設定が単に目を引くだけのものに終わらず、ディテールが作り込まれた『世界の一部』として描写されていることは、第6章の評価点の一つとして挙げるに十分な要素であろう。

 


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↑口を開けば天丼ギャグか導師の取り合いをするばかりだったパーティメンバーだが、今回は土地柄に合わせた世間話や互いの心配事、今後の課題などを話し合う場面が多い。

 

もう一つの要素である『砂漠』の描写も丁寧だ。冒頭から昼夜の寒暖差が激しいことに触れ、いざ砂漠に出ればエクスが厚い毛皮をまとったハクマやガブの体温を心配し、さらに進むと揺らめく蜃気楼や立ち昇る砂嵐に翻弄され――と、砂漠で発生しそうなシチュエーションやイベントはほぼほぼ押さえられている。

ウィールを加えた一行のやり取りも全体的にテンポがよく、その内容も第5章までのように天丼ネタ一辺倒にはなっていない。先述のエクスがハクマを心配する、という場面ひとつとっても、第5章で描かれたエクスとハクマの大喧嘩と仲直りを反映したものになっており、シナリオの連続性をしっかり描写できている。もちろんお約束としてエクス・ハクマによる導師の取り合いはあるが、今回はそこにシュミエルが加わったことで、これまでとはまた違う風味を醸し出している。


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↑第5章で仲間になってからまだ日が浅いシュミエルは、堕天して翼を失ったことへの感想を述べるなど、しっかり前章の内容を引き継いだ会話をする。恋敵にあたるハクマやエクスとの距離の取り方も絶妙だ

 

導師への好意を隠さず常軌を逸した猛アタックを続けるエクス。そんなエクスにツッコミを入れつつ自身も導師への慕情を隠せないハクマ。そして二人のやり取りを元天使らしくやや上から目線で傍観しつつ、導師と結ばれるのは自分であると信じて疑わないシュミエル――と、三者三様の想いが交錯するさまは、これまでの平板な会話劇にちょうどよい変化をもたらしている。無論、この三すくみも工夫なく繰り返せばただのルーティーンに堕してしまう危険性は否めないが、それでもこれまでの退屈な道中劇に一石を投じてくれたのは事実である。今後、彼ら三人をはじめパーティメンバーの関係性にさらなる化学反応が起こることを期待したい。

敵の残虐性がもたらす緊張感とカタルシス

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↑本作に登場する悪魔の中でも屈指の猟奇性を露にするフォカロル。相手の殺害を平然とほのめかし、導師一行すら自らの玩具としか見ていないその姿は、まさしく六柱の一角に相応しい凶悪さである

第6章で一行の前に立ちはだかる敵は、悪魔の中でも特に強力な『六柱*9』のフォカロルである。可愛らしい少年*10のような容姿をしている彼だが、その本性はそんじょそこらの悪魔も裸足で逃げ出す残虐非道の輩であり、口を開けば「殺しちゃうぞ☆」とのたまう猟奇的なショタっ子である。後述する通り、この手のファンタジーの強敵枠にいがちなステレオタイプの悪役ではあるのだが、下手にひねらず鉄板のキャラ造形に忠実に描写されたその人格は、読者に強烈な印象をもたらす。

作中での言動も悪辣そのものだ。クラップスの悩みに付け込んで騙し、安寧を約束すると見せかけて謀略を巡らせ、ウォレフとそこに住まう者すべてを己の遊び道具とする卑劣かつ身勝手な企みを実行に移す。間接的にとはいえ、彼の企みが原因でゲストキャラの身内に死人が出ているという点もインパクトが大きい。第2章でテサロニア兵が悪魔に蹴散らされる場面など、これまでも明らかに死者が出ている描写はあったが、今回は「主人公たちを誘い出すためだけに人質が一人ずつ嬲り殺しにされる」「再会も叶わないまま身内が死ぬ」と、精神を抉るような死に様が多く、翻ってフォカロルをはじめとする敵陣営の残虐性をより引き立てている。

また、終盤で露呈する『細かい部分を疎かにしたせいで敗北につながる隙を晒す』という弱点も見逃せない。己の快楽を何より優先し、癇癪のままに他人をいたぶって働かせるような輩のやることには、必ず相応の杜撰さが表れる――窮地からの大逆転にあたってのロジックが、そのままフォカロルの人物像を裏打ちする補強になっているというのは、かなり巧い構成である。

導師最大の危機、浮き彫りにされる心の弱さ

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↑オルトー不在、他の仲間は罠で全滅、残るはクラップスとウィールのみ……と、極限まで追い詰められる主人公。善意一つだけであらゆる困難を乗り越えてきた彼らしからぬ失意と絶望が、彼にとっての『アキレス腱』を明らかにする

これまでの本作のシナリオにおいて、主人公たる導師は基本的に『強く、正しい』存在であった。シュミエルに矢を突き付けられても一切怯まず*11、手痛い敗北を喫せば素直に力不足を認めて鍛錬に励み*12、『世界を守りたい』という意志だけでボロボロの身体を立ち上がらせる*13……など、『元一般人である』というプロフィールを逸脱した活躍の例を挙げていけば枚挙に暇がない。第5章までの主人公は(どうしようもないスケベぶりを除けば)基本的に『称えられる英雄』であり、多少心中に不安を抱えることがあっても、それがドラマの中で大きくクローズアップされることは皆無に等しかった。

しかし第6章では、フォカロルの罠にかけられてパーティメンバーが一時全滅するという未曽有の危機に際し、主人公がこれまでにないほど弱気な姿を見せる。一人、また一人と消えてゆく仲間を前に涙を流し、ついには「自分も仲間の元に逝った方がよいのでは」とまで思い詰める主人公の姿は、これまでの物語にはない悲壮感と緊迫感をもたらしてくれた。従来はやれ危機だなんだと急き立てられていても『結局導師サマがどうにかしちゃうんでしょ?』とタカをくくってしまうところがあったが、今回はその導師が思いっきり絶望して頭を抱えているので、(最後はハッピーエンドに終わるのが目に見えているとしても)思いのほかハラハラさせられてしまったのだ。

これまで(男と見ればすぐに抱いて抱かれる尻軽さを除けば)完全無欠にも近い描かれ方をしていた主人公が見せた、初めてといっていい『心の弱さ』。どんなに好意的な描かれ方をしていたとしても、一切の陰りのない存在は嘘くさく、薄っぺらく見えてしまうものである。今回初めて露になった主人公の弱点――『仲間への依存心』こそ、これまで散々な言われようをされてきた主人公というキャラクターの好感度向上のカギとなるのではないだろうか。今後、この点を活かしたストーリー展開が行われることに期待したい。

ここがちょっとなメイン第6章!

王道と言えば聞こえはいいけれど

本作が王道のファンタジーを志向していることは既知の事実だが、第6章の重要なファクターである金がすべてのカジノ都市猟奇的なショタ一人ずつ離脱していく仲間*14などはいかにもありきたりな要素であり、それらを用いて練り上げた物語が手垢のついた既視感の強いものに見えてしまうことはどうしても否めない。もっとも、以前のブログでも述べたように、たとえ筋書きが凡庸であっても魅せ方次第で物語は十分に面白くなるものである。どうせならとことんベタなお話を貫き通し、綿密な描写とそこから生まれるキャラの魅力で面白さを作り出すというのも一つの手ではないだろうか。

活かされない能力、肩透かしのキャラクターデザイン

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↑なまじ超常的な力を宿しているがために『なんで使わないの?』というツッコミ潰しのために役立たずにならざるを得ないジンくんの気持ちにもなってあげてください。

 

大筋のストーリーは手堅くまとまっている第6章だが、それでも一部活かしきれていない設定や『これ必要だった?』と首を傾げざるを得ない要素は存在する。特に、新キャラクターのうちでも以下に挙げる二人については、イマイチ活躍しきれなかった印象が拭えない。
一人目は、第6章中盤で仲間入りする神器・ジン。いわゆる『ランプの魔人』をもとにしたキャラクターであり、手を触れずに物体を転送する特殊能力『アポート』を用いるという設定だが、このアポートは『特殊な結界が張られている』だの『そんなもの使わせるわけないだろ』などという理由で物語中2回も封じられてしまいほとんど役に立たない。仮にアポートが封じられずに使用できた場合、第6章終盤の展開が成り立たなくなるので、封じなければならない都合があることはわかるのだが……

そもそも、せっかくランプの魔人モチーフなのだから、能力をアポートのみに限定せず『3回だけどんな願いでも叶えられるが、限度がある上一度使い切るとしばらく動けない』などとすれば、(お約束の展開ではあるが)『くだらない願いをはずみで叶えてしまったせいで肝心な時に役に立たない』といった風に、より説得力のある理由で戦力から外すことができたのではないだろうか。

そしてもう一人、第6章中盤で一行の前に立ちはだかるハシサラームの幹部・ジー思わず目を見張るような股間の膨らみが特徴的だが、特に性豪であるとか、捕らえた相手を陵辱して楽しんでいるとか、そうした描写はない。そもそも『フォカロルの配下である』以上のパーソナリティが存在しない薄いキャラであることも問題なのだが、せっかくの尖ったキャラクターデザインが作中描写に生かされないのは少々残念である。そのクソデカチ〇ポは飾りか。

せっかくの美食なのだから、もっとたくさん味わいたい

第6章のシナリオ量はほかの章と大差なく、普段通りのボリュームで始まり終わってしまう。もう少し膨らませそうなところがあるにもかかわらず、消化不良気味の点を残して完結してしまうのはあまりにも惜しい。敵キャラクターも一度きりの出番では惜しいので、『実は生きていた』『蘇生させられた』などの理由付けを以て再登場を期待したい。もっとも、陳腐にならないような工夫は必要と思われるが……

今後もますますクレイヴ・サーガXを応援したい件

導師の旅路は再び東へ

第6章を経て、導師一行は四大国*15とクサンを巡り終え、広大なヴェストリアの大地を一通り踏破した。もちろん、それで物語が終わるわけではない。第4~6章で続々倒してきた悪魔六柱もまだ三体は残っており、加えて未だ明確な動きを見せない天界の動向も気にかかる。原神王アルケーが垣間見せる意味深な言動の理由、今のところ明らかになる気配を見せない『旅の最終目的*16、そして最後の審判』に晒されたヴェストリアの未来――まだまだ膨らませられそうな要素は無数に残されている。

第6章ラスト、一行は東を目指して再び旅に出る。果たして、その先に待っているのはどのような冒険なのか。これまで巡ってきた国で新たな事件が巻き起こるのか、それとも新たな舞台が待ち構えているのか。なんにせよ楽しみである。

……とか言っていたら、第6章終了直後であろうイベント『サバイバルアイランド』の冒頭で一行はいきなり南に向かっている。好意的に解釈すれば「最終的に東に向かうにあたって南向きの道筋を辿っている」のかもしれないが、水着イベントを行うにあたってメタ的な事情で南に向かわされている可能性も否めない。導師一行も話の都合には勝てないのか……まぁ元々だいぶご都合主義な話ですけどコレ

さらなる描写の充実を

ここまで散々語ってきた通り、第6章の面白さに寄与していた要素の多くは『描写の充実』にこそあったと考える。豊かな情景描写、キャラクターの内面を掘り下げる心情表現、そしてこれまでのストーリーを継承する連続性の描写――たとえ本作における『物語』が『ゲームのおまけ』あるいは『エロスチルのフレーバー』程度としか見られていない代物なのだとしても、最低限押さえておくべき描写を外してしまっては、『その程度』の役割すら果たせなくなるのだ。今後実装されるであろう第7章以降のストーリーだけでなく、新キャラクターの酒場や寝室*17にも、さらなる描写の充実を望みたいところである。

 

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。もっとお前の話を聞かせてくれクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

(終)

 

余談:導師の扱いに関するちょっとした恨み節

この項では、上でも少し触れた「いろいろあってモチベが減退した」の「いろいろあって」について軽く記そうと思ったのだが、そのためにはSSR魂友『コタロー』の寝室イベントの内容に深く触れねばならず、あまりにもネタバレが過ぎる。よってここでは、伏字でTwitterにつぶやけるサービス「ふせったー」を利用して書き記した当時の感想へのリンクを貼るだけにとどめておく。当ブログをお読みの諸兄においては、どうかネタバレまみれであること及び怨恨に満ちた殴り書きであることを了解の上で、伏字のリンクを開いていただきたい。

……この件については何を書こうとしても口汚くなってしまうので、最低限の筋道を立てた分析を行おうと試みている当ブログにそのまま書き記すのがはばかられたから、というのも理由である。

ともあれ、この場で私が言えるのはたった一つ。「お前らが生み出したキャラクターなんだから、責任を持って筋を通せ」という憤懣やる方ない思いだけである。第6章で示された未来への可能性が、今後あらゆる文芸面に反映されてゆくことを、切に願う。

そろそろいい加減にした方がいいんじゃないでしょうか。まだ続けるんですよね?このゲーム。

 

おまけ:イカれた推しキャラを紹介するぜ!3 ネタ切れ編

今回も推しキャラ紹介、いきます!

正直な話、おおむね紹介したいキャラは紹介しきってしまい、続々実装される新キャラもすべてを入手出来ているわけではないのでネタ切れの感は否めないのだが、それでもどうにか絞り出した『好き』の断片を可能な限り紹介していくことにする。

随時更新予定。

キンタ -こいのぼり 眺む男(おのこ)の 赤褌(ふどし)-

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5月初頭のイベント『親子の絆!どすこい武者修行』のメインキャラクターであり、期間限定ガチャの目玉でもあったキンタ。名前や容姿、そして何より5月頭のイベントの主役であることから、金太郎をモチーフにしたと思しき魂友である。

山姥の子ともいわれる金太郎よろしく、彼もまた出身地不明の怪童として描かれる。無二の怪力でヴェストリア中の猛者を倒して回っていた彼が、辺境の村オヤマーンの鍋料理屋・アッシュに敗北し、彼との再戦のために同居生活を始めるところから物語は始まる。強さとは他者に力で勝ることである、という自分本位の考えにとらわれていたキンタが、守るべきもののために力を奮うアッシュの背に『真の強さ』の在り方を悟るまでを丁寧に描いたイベントストーリーは、本作のエピソードの中でも出色といえるだろう*18

勇ましくも愛らしい『へ』の字の太眉、怪力無双の割に筋肉の隆起が乏しくむっちりとした腕脚豊富な表情差分で表現される喜怒哀楽の大きさ、後述するアッシュとの疑似親子関係など、魅力を語りだせばキリのない彼だが、成人向け作品らしいちょっとぶっ飛んだ性嗜好も持ち合わせている。なんと彼にとっては取っ組み合っての力比べこそが至上の快楽であり、戦いの最中に勃起し射精することすらあるのだという。いやいやそうはならんやろ、と突っ込みたくなる向きもあるが、まぁ命の危機に子孫を残そうとする本能が――なんて話はよく聞くし、そういうものだと思えば……いややっぱりそうはならんやろ。なっちゃってるので仕方ないんですが。

まぁそんなことはさておき、彼を語る上で欠かせないのはなんといっても赤褌であろう。寝室イベントで下着の描写が行われないキャラクターも多い本作だが、キンタは寝室2種いずれにおいても赤い六尺褌を着用していることが明確に示されており、褌フェチ*19にはたまらないキャラクターとなっている。特に寝室2では褌をずらしての自慰という思わず快哉を叫んでしまうような描写が克明に行われており、個人的にはこの一点のみにおいても彼を入手できた甲斐はあったと言い切れる*20

画角の関係上、褌をずらしているとわかる部分はほんのわずかしかないのだが、そのわずかな箇所にこだわりを込めて描写を加えてくださったことにはただただ感謝である。担当イラストレーターの雄大*21には頭が上がりません……ありがとうございます……

アッシュ -疑似親子、てぇてぇ-

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辺境の村・オヤマーンで名物『おやちゃん鍋*22』の店を営む中年・アッシュ。キンタすら打ち負かす無類の怪力の持ち主でありながら、気が利く人格者でもあり、村の人々からも大いに慕われている。かつてはやんちゃ者だった*23が、先代の店主に救われて改心し店を継いだ――というエピソードもあり、設定面においては総じてギャップ萌えに富んだキャラクターといえるだろう。

彼を語る上で欠かせないのは、なんといっても先に軽く触れたキンタとの疑似親子関係である。オヤマーンで暴れ回るキンタを真っ向から打ち負かしたアッシュは、再戦を望む彼に店の手伝いをさせ、同居生活を送ることになる。有り余る力の強さに心が伴っていないキンタを厳しく𠮟りつつ、胸の内では心配してもいるアッシュの温かい心情は、さながら実の父親のよう。一方のキンタも、悪態をついたり家出したりしつつもアッシュを『オヤジ』と呼んで慕っており、二人の間にイベントタイトル通りの『親子の絆』が育まれていることを窺わせる。

個人的にこの手の疑似親子、ひいてはそれ以上の関係に発展しうる歳の離れた関係には弱いので、アッシュとキンタの疑似親子関係にもすっかり夢中になってしまった。ゲーム中においても二人は同じ水属性・物理タイプの魂友としてシナジーがあるので、同じ部隊に編成して活躍させやすいのも嬉しいところである。

細目・髭面・角刈りと決して特徴のない顔貌というわけではないのに、しっかり『普通のおじさん』感を醸し出すことに成功しているキャラクターデザインもお見事。いわゆる乳袋よろしく布地の皺で殊更に強調された逞しい大胸筋も見逃せない。シャツの隙間から覗く豊かな胸毛に思い切りダイブして甘えたいと思うのは、きっと私だけではないはずだ。

ポング -結局マッスルん何号なの!?-

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ラフなタンクトップに覆われた太鼓腹がトレードマークの狸獣人・ポングは、伝説の鉱石ミスリルを求めて旅する傍ら自慢の発明で人助けをしている、自称『世界一の発明家』。親しみやすい関西風の訛り*24陽気な笑顔、発明品を無償で配って回る気前の良さはとても魅力的だ。わざわざ『よその国で習った』という注釈を入れてまで下着を六尺褌にするこだわりも見逃せない。確かにこの容姿なら六尺がよく似合う(断言)。艶めかしい六尺姿の彼が、恥も外聞も投げ捨てて涎を垂れ流す寝室イベントは必見である。

また、他キャラクターのウェポンクエストで取得できる特異武器*25や、イベント配布の武器*26の中には彼の手によるものと明言されているものが複数存在している。竜をかたどった弓矢羽に熊のぬいぐるみがついた矢からなる弓矢、なぜか力を爆増させる機能の付いた鍋掴み(というか手甲)、自動防御機能付き分福茶釜キャノンなど、奇妙奇天烈な見た目の武器があればだいたいポング作と考えてよいレベルの活躍ぶりである。実は発明家じゃなくて武器職人だったりしません?

ところで、彼の寝室イベントのタイトルは『これがマッスルん3号!』なのだが、イベント内で披露される筋トレマシンの名称は『マッスルんⅣ号・改』である*27。あまりに多くの発明をしてきたせいでナンバリングすらあやふやになっている、ということなのかもしれないが……果たして真相が明かされる日は来るのだろうか。いや案外いつかのアプデでしれっと修正されてるかもしれませんけど。

ネルフェン -いやマジでどうなってるんですかこの世界の治安-

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闇夜に溶ける黒衣を纏い、影となって市街を駆ける謎の男・ネルフェン。その正体は数十年にわたり活躍している凄腕のスパイである。クロード*28ゲイリー*29といい、初期実装SR魂友にはどうしてこう犯罪者が多いのか……

今のところイベント等への登場が一切ないこともあり、彼のパーソナリティについては謎が多い。知らずに近付いてきた主人公さえ屠ろうとする冷徹さや、長年磨き上げた己の技術への信頼(と慢心)、そしてテサロニアの機密を狙って城に忍び込んでいることは語られているが、彼が一体誰の依頼で機密を盗もうとしているのか何を思って危険な諜報員稼業に明け暮れているのか、などは未だ秘密のヴェールに包まれたままである。そのあたりも含めたミステリアスさが、彼の魅力をより引き立てているのかもしれない。

スパイという仕事柄もあってか、当ゲームのキャラクターの中では露出度がかなり低いのも特徴の一つ。だからといって性的魅力に乏しいというわけではなく、黒衣越しにも輪郭を覗かせる逞しい筋肉質の肉体や、目を凝らしてみると浮かんでくるボリューミーな股座の膨らみは、いわゆる『隠すエロさ』の何たるかを見る者にこれでもかと語りかけてくる。静謐ながら意志の強さを伺わせる鋭い瞳艶やかなロマンスグレーの髭といった要素も、この手の渋い親父に目がないファンにとってはたまらないだろう。

自身の攻撃に徹底的に特化した性能によってSRながらもかなりの火力が出せるため、ゲーム内においても(特に戦力が整わないうちは)火属性の物理アタッカーとして頼りにしているプレイヤーは少なくない。今後のSSR化が待たれる魂友の一人である。

ベルガモンド -能天気なカリスマが抱えるトラウマ-

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メインストーリー4章にて登場するスティリア共和国の新大統領・ベルガモンド。彼が国家の危機を乗り越え新たな指導者となるまでの詳しい経緯についてはメインストーリーを参照してもらうとして、ここでは彼の抱えるトラウマとそれが醸し出す独特の魅力について語ることにする。

先の大統領・メイナールに付き従い、スティリア共和国の副大統領として働いていたベルガモンド。しかしある日、ベルガモンドは変身能力を持つ悪魔六柱・ダンタリオンがいつの間にかメイナールを殺害し、彼に成り代わっていることを知ってしまう。周囲に真実を訴えるベルガモンドだが証拠はなく、大統領暗殺の容疑で身柄を拘束された上、機械による性的な拷問を受ける。ベルガモンドの無実を信じるロトンらによって救出こそされたものの、この時の記憶は激しい屈辱と共に心の傷としてベルガモンドの精神に深く刻み付けられているのである*30

主人公の何気ない一言でこの記憶を思い起こした際、ベルガモンドはその場ではおどけて誤魔化してみせるが、その後人知れず涙を流している。作中では国民からの求心力が高い一方、能天気で少々頼りないリーダー*31として描写されている彼だが、その一方、苦しみや悲しみを一人抱えたまま、努めて明るく振る舞う芯の強さも描かれていることが、一筋縄ではいかない魅力を醸し出している。明るい性格故に5章以降のメインストーリーやイベントではギャグ要員のように扱われることも多いベルガモンドだが、その心の内に秘めたものを振り返る時、私は彼の背負わされた壮絶な運命に想いを馳せずにはいられないのである。

……もっとも、その不幸な前歴ゆえに、陵辱や尊厳の破壊がものすごく似合ってしまうのもまた彼の悲しい性なのだが……

(『闇獅子王 ベルガモンド』の紹介へ続く)

 

ウィール -残酷な出目に翻弄される砂漠狐-

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商業都市ウォレフのカジノで辣腕を振るうディーラーのウィール。劇中で明言はされていないが、高い耳からしておそらくフェネック*32獣人であろう彼は、メインストーリー6章に深くかかわるゲストキャラであり、6章クリア後に交換できる配布SR魂友でもある。

ウォレフ特有の関西風の訛りで陽気に話し、話術を駆使して巧みに客の射幸心を煽る名うてのディーラーである彼だが、孤児院で両親の顔も知らずに育ったという地味にヘビーな過去がある。後述のクラップスに憧れてギャンブラーを志すも上手くいかず、足りない賭け金の代償に身体を売る*33など、今日に至るまでの間に結構な紆余曲折を経ている苦労人だ。

しかもそんな彼に、運命は更なる残酷を課す。当記事の本文でも語った通り、6章メインストーリー内ではゲストキャラの身内に複数の死人が出ているのだが、そのゲストキャラというのが誰あろうこのウィールなのである。身寄りのない中で共に育ってきた友も、ようやく存在を知ることができた両親も、その死に目に会うことすら許されず無惨に殺されてしまう。無情な現実に幾度となく涙を流しながらも、己の使命を背負って悪魔の脅威に立ち向かうウィールの姿は、6章のシナリオ全編を覆う本作屈指のドス黒い悪意を断ち切る尊い輝きに満ちている。

なお、ウィールは担当イラストレーターが共通しているSSR魂友・アドザ*34の酒場・寝室イベントにも登場する。朴訥で善良ながらも一般常識に欠けるアドザと、彼の教育係をクラップスに押し付けられて奮闘するウィールの交流ぶりはほのぼのとしていてとても微笑ましいので、運良く入手できた方はぜひご堪能あれ。

クラップス -ヴェストリアの首脳陣、ポンコツしかいない説-

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商業都市ウォレフの市長*35を務めるクラップスは、先述のウィール共々6章のゲストキャラとして活躍するキャラクター。かつては大勝ちか大負けしかしない伝説のギャンブラーと謳われた熊獣人である。

豪奢な装飾品を身に着け、タイトな紫のズボンと金のローブを素肌に纏った品のない華美な出で立ちからも透けて見える通り、彼の行動原理の第一はずばり『金』だ。市長を引き受けたのも贅沢な暮らし目当てが半分*36。自室には無数の財宝をコレクションし、いかなる行動もまず損得勘定から考える――金と欲望で回るカジノ都市の首長には相応しいかもしれないが、商業都市国家群の中でも有数の規模を誇る一大都市の有力者としてはいささか俗っぽさが前に出過ぎる人物である。プライベートでも導師一行を相手にしたサイコロ遊びでイカサマを働こうとしたり*37遊び相手との逢瀬大事な会議うっかりバッティングさせる*38など、何かとトホホなエピソードが目立つこんな人が市長で大丈夫か、ウォレフ。

もっとも、彼以外のヴェストリア首脳陣にも問題はある。豪快・鷹揚がすぎて周囲を振り回すカラハ、本人は清廉で聡明だが年若く他の首長の勢いを御しきれないニネ、公務嫌いでしょっちゅう逃げ出すベルガモンド。唯一威厳と貫録を保っていたセルドアも、2023年7月末開催のイベント『わっしょい!熱気と絆の夏祭り』において内に秘めてきた祭り好きの本性が覚醒してしまい、視察と称して一人で奇祭を満喫しに行く*39など、『ヴェストリアの平和の要』と称される人物にしてはいささか迂闊すぎる行動を取るようになってしまった。もしかしなくてもヴェストリア首脳陣、全員ポンコツなのでは?

とはいえ、欠点があるということはそれだけ身近に感じられ、親しみやすいということでもある。また、当然ながら各国首脳陣には欠点だけではなく美点もある。クラップスに限って列挙しても受けた恩を忘れない義理堅さ歴戦の博徒ならではの勝負強さ故郷への純粋な愛など様々な美徳が備わっており、決してマイナスポイントばかりが際立つような造形にはなっていない。考えてみれば、ポンコツに見えるということ自体が、そのキャラクターの多角的な掘り下げが行われていることの証明でもある。ともすれば近寄りがたく感じられてしまうような仰々しい地位にある人物が不意に見せる気の抜けた一面は、何かと登場機会の多い各国首脳陣ならではの魅力ともいえるだろう。

海風波乗り チャック -脱いでもかわいい砂達磨の君-

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以前*40紹介した雪山住まいの青年・チャック。その彼が故郷の砂浜に帰った際の姿がこの海風波乗り チャックである。2023年6月末開催のイベント『盛夏!!潮騒のサバイバルアイランド』の配布SR魂友であり、イベントに参加していれば誰でも入手することができた。また、2024年2月末より開設される『復刻交換所』にて固有チケットを使用する*41ことで過去の配布魂友・神器・武器を入手できるとアナウンスされているため、今後はイベントに参加しそびれたプレイヤーでも問題なく入手可能となる予定だ。

……無料でもらっちゃっていいんですか!?この小麦色むちぷにドスケベバデェを!?

元々防寒具の下に豊満な肢体を隠していることが明かされていたチャックだが、今回は真夏の砂浜に赴くにあたって分厚い着衣をすべて脱ぎ捨ててサーフパンツ一丁のラフにもほどがある姿に大・変・身。大胆に晒した柔肌は陽に灼けた健康的な色艶を纏い、快活な笑顔は照り付ける夏の日差しにもなお勝る眩しさ。上半身全体の蠱惑的な曲線もさることながら、大きく広げた股座のあからさまな膨らみと、担当イラストレーターの個性*42如実に表れたぶっっっっとい太腿は、今にも触れそうなほどの肉感を醸し出している。

はっきり言ってしまいましょう、ドスケベが過ぎる。なんだそのけしからんカラダは。

勿論、魅力的なのは見た目だけではない。以前の記事で書いた『活かせば光りそうな一面』はイベント及び酒場・寝室イベントにおいて存分に発揮されており、未知の島に遭難しても明るく振る舞う快活さはプレイヤーの心を大いに和ませた。謎のペーストで生臭い料理*43を作り、食べてもらえないと円らな瞳に涙を浮かべる面倒臭いいじらしい一面も相変わらずだ。

考えてみれば、防寒着をあれだけ着込んでいてなお可愛いのだから、脱いでも可愛いことはもはや自明の理。約束された勝利の太腿、荒波を圧倒的セクシーで乗りこなす真夏の小麦色王子、それが水着チャックなのである。

……まあ、ここまで熱を入れて語れる私でも流石にあの寝室*44はどうかと思うんですけど。

(今度こそ終)

画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:今回もリンクは全年齢版なので、『X』版のプレイは「R-18版はこちら」のボタンからどうぞ

*2:毎回『X』を入れるのが面倒になったので、今回から略称は『クレサガ』で統一する

*3:同イベントはストーリーに関連する要素の相互関係が非常に弱く、『花見』『カラオケ』『新キャラ』で無理矢理作った三題噺の様相を呈していた

*4:『スイーツ』では料理人として成長するマゲイロの姿、『Rock』では音痴を克服せんとするガブの奮闘、『親子の絆』ではキンタが『真の強さ』を知るまでの過程……と、それぞれ個人の成長譚が物語の根幹に置かれていた

*5:メッセージウィンドウのキャラ名誤り、次期ならぬ「時期」族長など

*6:少なくとも自分が気付いた範囲には存在しない、はず

*7:そういえば今回、主人公が目をハートにする描写も大幅に減少していたような……

*8:割り切れる……割り切れ……割り切れないかも……

*9:第4章の敵・ダンタリオンや第5章の敵・ヴァレフォルも六柱の一体である。後者については自分から得意分野をバラして高笑いするようなマヌケなので、上級悪魔よりさらに格の高い悪魔とはとても思えないが……

*10:ただし、よく見ると股間は結構立派である

*11:第1章より。転生してからものの一週間も経っていないうちからこの度胸、いくらなんでも胆力が凄まじすぎる

*12:第2章より。パーティの中で一番冷静に戦況分析をしているのが主人公、という時点ですでにさすマス案件なのだが

*13:ケーリュケイオンのレイドバトル前後イベントを参照のこと

*14:いわゆる『俺に任せて先に行け』のパターンである

*15:テサロニア、ラピマニア、スティリア、商業都市国家群を指す。中立国家であるからなのか、クサンは四大国には含まれない模様

*16:まさかヴェストリア全土を結界で覆ったらそれで世界が救われる、というわけではあるまい

*17:本音を言えばこれまでに実装されたキャラクターの酒場や寝室もリニューアルしていただきたいところだが、さすがに費用対効果を考えると実現は難しいと思われる

*18:個人の感想です。イベント内で比べると『スイーツ≧親子の絆>盛夏>雨>花』くらいの順

*19:主に私とか

*20:キンタは恒常開催のガチャに追加されない期間限定魂友のため、かなりレアなキャラクターである。また、現状再入手(いわゆる復刻)の機会はない

*21:ちなみに当コーナーではキンタの紹介を以て、雄大氏が手掛けた魂友・神器をすべて紹介しきったことになる。ぶっちゃけ好きです。すごく好きです

*22:「おっちゃん鍋」や「おいちゃん鍋」ではないところに、本作の奇矯なネーミングセンスの炸裂ぶりが見て取れる

*23:酒場イベントで語ったところによると、なんと元マフィアだそうな。……「やんちゃ」で済ませていいことか?

*24:現状ポングの出身地について語られたことはないが、商業都市ウォレフの人々も同様に関西風の訛りで話すので、ひょっとしたらポングの出身はウォレフかその近辺かもしれない

*25:セブンの特異武器・クレイジーイエロー、キンタの特異武器・キンタ印の特製鍋掴みなど

*26:『グリダヴォル降臨戦』の配布武器・チャガダヴォル、『錦秋刀湯』の配布武器・朱葉爆裂砲など

*27:いつも通りの誤記とも思われるが、サービス開始1年が経過した今もなお修正されていないため、本当に何かしらの意図があってこのような名称にしている可能性も否定できない

*28:『クレサガの話2』にて紹介済みの悪徳医師。なお、ここで名前を挙げた中では彼のみ後にSSR昇格を果たしている

*29:風属性の初期実装SR魂友。幼少期から盗みで生計を立てているスリであり、イベント『雨よやめ!晴天のトレジャーハント』や、ゲイボルグ上位レイドの追加エピソードにも登場する

*30:なお、身柄を拘束されるところまではメインストーリーでも語られているが、拷問とそれにまつわるトラウマについてはベルガモンドの寝室1を閲覧しなければ判明しない

*31:公務や書類仕事を嫌ってしょっちゅう大統領府を抜け出し、副大統領のデフレヒトに叱られる姿が印象的

*32:フェネックギツネとも。砂漠に生息するキツネの一種

*33:ウィールの寝室イベント参照

*34:『クレサガの話4』にて紹介予定

*35:イベント『わっしょい!熱気と絆の夏祭り』以降は商業都市国家群全体の代表も兼任

*36:もう半分は純粋なウォレフへの愛着から

*37:クラップス酒場イベント参照。なお、イカサマのタネは『ポングに作ってもらったサイコロ型ロボット』である。またお前か。

*38:クラップス寝室イベント1参照

*39:『疾風怒濤祭男 セルドア』寝室イベント2参照。なお、この奇祭はもちろんえっちなやつである(セルドア自身は内容を知らなかった)

*40:『クレサガの話2』参照

*41:魂友・神器の固有キーを売却した際に入手できる「英雄の赤貨」で入手できる「復刻交換チケット」を使用する

*42:チャックの担当イラストレーターは太腿がムチムチした青少年に定評のあるぴょん氏。本作では他にエームア、ヴァジュラ、デックス、アスクレピオスなどを担当している

*43:雪山では鍋、砂浜ではカレーと料理の種類こそ異なるが、おそらく入れているペーストは同一のものなので生臭いことに変わりはない

*44:具体的にどんな内容なのかは君の手で確かみてみろ。思わず「そうはならんやろ」と漏らしてしまうこと請け合いである。なっとるやろがい!

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい2

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい。(2回目)

crave-saga.jp *1

身内にだけわかればいいと思って書いた記事が公式イラストレーターさんに届いてた(戦慄)

おかげさまでちょびっとだけバズり一部制作に関わっている方々にまで届いてしまい執筆者自身の心胆を寒からしめた前回記事『クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい』から早1ヶ月余り。

syumitoka.hatenablog.com

『今後に期待したい』と書いた手前の義務感も手伝ってのこととはいえ、その間私はログインを一日たりとも欠かさずにクレサガXを遊び続けた。所有する全キャラの寝室をほぼ全て読み終え、早くも連発されるイベントを十全に走り切り、困難な初心者ミッションもなんやかんやで完遂した挙句、課金額もちょびっと増やしてしまったそんなお金もないのに。

今回の記事では、その1ヶ月のうちに展開された様々なイベントやガチャについて、また遊び続けて見えてきた本作の新たな課題・問題点について語ってみようと思う。前回同様、あくまでも個人の感想ではあるが、読んでくださる皆様にとって、少しでも本作の『今』を捉える参考になればと思う次第である。

なお、今回の記事は開催終了済みのイベント『愛を込めて!Sweets contest』および各キャラクターの寝室イベント、レイドバトルの導入イベントなどの軽度なネタバレを含む。例によって核心に触れる内容は伏せるが、気になる方はご注意いただきたい。

転生者のリーマン、救世主になる~まだリリースから1ヶ月しか経っていないゲームなのに、連発されるイベントが俺を放ってくれない件~

『愛を込めて!Sweets contest』

いいんですかこんなに遊びやすくて

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↑大丈夫、我々も全然このゲームに慣れません。

 

『クレイヴ・サーガX』リリースからおよそ2週間後、2023年3月1日。本作初となるイベント『愛を込めて!Sweets contest』が開催された。

本作のとっつきにくい遊び応えにプレイヤーが各々四苦八苦する中、詳細な遊び方や仕様も明かされないまま唐突に告知された当イベントは、同時に期間限定キャラ・神器が投入されたガチャが開催されるとの情報も相俟って、必ずしもすべてのプレイヤーから諸手を上げて歓迎されたわけではなかった。

みっちりと育成した特定属性のパーティがなければ遊びきれないのではないか』『特効対象となる期間限定キャラを引いていなければ話にならない難易度なのではないか』――先行する様々なゲームに準えた数多の疑念が脳裏をよぎる中、迎えたイベント当日。我々を迎えたのは、そのタイトルに恥じないとっても甘々なイベントであった。

イベントの形式としては、中編ストーリーを含むイベントクエストを攻略し、得られたイベント固有のドロップアイテムを用いて様々な景品を交換する、というごくありふれたものであった。景品にはキャラの育成や武器の強化に必要な希少アイテムが多数含まれ、遊んでいるだけで自然にパーティを強化する算段が整う――という具合である。

このような形式のイベントにおいてまず気になるのはクエストの難易度であるが、意外にも当イベントのクエストは簡単であった。最難関のクエストでも要求戦力が40000に満たない*2易しさで、特効キャラや優位属性*3のキャラがおらずともクリア・周回は十分に可能であった。

イベントクエストの初回クリア時にドロップアイテムが多数獲得できることもあり、周回要求数自体もそう多くはなかった。ボスクエス*4を毎日消化し続けることが前提とはいえ、平常時のレイドバトルのような途方もなさは感じられず、日程内に全アイテムを交換することも夢ではなかった。加えて、ドロップアイテムとAP*5が軽いレートで交換できたため、AP交換が尽きるまでは延々と遊び続けられたのも大きい。テメエが俺に殴られてアイテム落として!俺がアイテムでAPを回復……!永久機関が完成しちまったなアア~!!(してません)

また、特効キャラを持っていればドロップアイテム数が増加し、周回要求数はさらに減少する。この特効キャラには期間限定のSSRキャラ・神器に限らず、恒常的にガチャから登場するSR・SSRのキャラ・神器や、イベントに参加すれば誰でも入手可能なSRキャラも含まれており、限定ガチャを回さずとも、所持しているキャラだけで十分にドロップアイテムの増加を狙うことができた。仮にただの一度もガチャを回していないとしても、最低1人は特効キャラを入れた状態で遊べたわけである。

そうそう、こういうのでいいんだよこういうので

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↑マゲイロくんの爽やかな成長ぶりに、思わず遊んでるこっちも襟を正してしまった。

 

先述した通り、イベントを進行させると土属性のSRキャラ・マゲイロを入手することができた。マゲイロは当イベントのストーリーパートの主役も務めており、ヴェストリアにその名を轟かす名料理人・ガイの愛弟子として登場する。

自信に欠ける臆病な料理人であったマゲイロは、ガイの厳しくも優しい薫陶を受けつつ、スイーツコンテストへの参戦を通して己の中の壁を乗り越えてゆく。一部に首をひねるような展開もあったが、総じて全体の流れは真っ当で、まさしく王道の成長物語として、何かと文芸面で残念な本作においては珍しく十分に読み応えのあるシナリオであった。

また、主人公とエクスカリバー以外のメンバーがほぼ留守番のため、前回記事で指摘した主人公パーティの変わり映えのしないやり取り大幅に削減されていることも大きい。もちろん、ライバルが多少減ろうがエクスカリバーの主人公への惚れ込みぶりは据え置きなのだが、逆を返すとエクスのアイデンティティはほぼその一点にしか存在しない(個人の感想です)ので、ここは致し方のない点と言えるだろう。エクス一人が騒いでいる分には、受け流すのはそう難しくない。

その他にも、ガイやクロード、パトロッシなど、ストーリークエストに登場していないガチャ産キャラの人となりを垣間見ることができたことも、キャラへの愛着をより強める評価すべき点であろう。本作におけるガチャ産キャラは、人物像や言動を垣間見られる場面が大した文章量のない酒場イベント強引に抜きどころを作る寝室イベントしかないため、愛着を見出す機会に乏しいという構造上の欠陥がある。出会ったばかりの相手とさしたる交流もないままにいきなり艶事に及ぶハッテン場のごとき風情のなさを解消するうえで、当イベントのような活躍の場が設けられることは非常に効果的だ。今後も当イベントのようにガチャ産キャラが活躍する番外編的なシナリオを読む機会があれば、性能面や外見以外の動機――キャラへの愛着によってキャラ入手を喚起でき、運営にとっても喜ばしいのではなかろうか。何が理由であるにせよ、ガチャが回るに越したことはないのだから。

今後に繋げてほしい良イベント

ストーリーに一定の読みごたえがあり、遊びやすく、素材も美味しい。三拍子揃った当イベントは、総じて『遊ぶ喜び』を教えてくれる良質なイベントであった。

ほどほどにイベントを遊ぶだけで育成リソースが溜まり、それを試しに使ってみることでパーティが強くなり、やがてシステムへの理解も深まっていく。日毎のミッション消化もあり、決して終了間際までサボっていても良いようなイベントではなかったが、その分遊び応えと見返りは十分。このイベントを通じて初めて本作の楽しみ方を見出したプレイヤー(主に私とか)も少なくないのではなかろうか。

シナリオや配布SRキャラなど事前に用意すべき事物が多く、配布アイテムの量やキャラの強さなどの調整も要求されるであろうこのような形式のイベントは、なかなか連続して開催することは難しいだろう。それでも本作の世界を広げ、プレイヤーの満足度を高める当イベントのような催しが、今後再び開催されることを期待したい。

 

『グラム挑戦応援キャンペーン』

グラムフルボッコ週間

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↑全国のプレイヤーの皆様から1週間にわたってボコられ続けたかわいそうなグラムくん。

 

そんな『愛を込めて!Sweets contest』開始から1週間後、イベント終了までまだ1週間を残す中、並行して開催されたのが『グラム挑戦応援キャンペーン』である。

その内容はいたってシンプル。風属性の神器・たたき棒魔剣グラムとのレイドバトルにおいて、ドロップアイテム数が2倍になるというものであった。あまりにも単純明快だが、前回記事で述べた通りレイドバトルの周回要求が半端ではない本作において、周回数が1/2になることは想像以上にモチベーションの上昇に寄与する。途方もない苦行のように思えていたレイドバトルの周回も、ゴールが近く見えるようになるだけでこんなにもやる気が湧くものかと、自分でも驚いたほどだ。

また、難易度HARD・EXTRAを自発*6するために必要なアイテムのドロップ量も倍加するため、一定時間ごとの回数制限を迎えるまでは高難易度のレイドバトルを連続して発生させることが可能であった。基本的には難易度が高ければ高いほどドロップアイテムも豪華かつ大量になるため、HARD・EXTRAのレイドバトルを連発できれば、周回効率はさらに上昇する。

私もこの機会に何としても周回を完遂せんと奮い立ち、最終的にはグラムを入手した上で上限(4回)までの限界突破*7を行い、さらに土属性の神器・ミョルニルの入手*8まで達成することができた。いっそ常設してもらえればいいのに、とまで思ったが、流石にそれでは商売上がったりなのだろう。期間が限られているからこそ出るやる気というものもある。同人誌とか出す時は特に。

誰も!助けに来ないのである!!

一方、当キャンペーンによって浮き彫りになった課題もある。それは、レイドバトルを十全に遊びつくすために求められる要求戦力の高さである。

レイドバトルは多人数で同時に共通の敵に挑むことで、たとえ戦力が整っておらずとも強力な敵を倒し、報酬を手にできるのが魅力の一つのはずだ。しかし、当キャンペーン中のレイドバトルの救援は、ピークタイムに遊んでも滅多に来ない場合があった。原因としては救援に必要なRPの重さ*9や、救援要請のクールタイムの長さ*10などが考えられるが、理由がどうあれ救援が来ないのであればレイドバトルを自発するメリットは半減するただでさえ救援が来ないうえ、少ない救援も儲けのよいEXTRAに集中するので、難易度NORMALやHARDは孤立無援になる。そのEXTRAでさえも、運が悪ければ一人で戦うことになりかねない状況であった。

仮に一人で戦い続けて全滅したとしても、リタイアさえしなければ制限時間いっぱいは救援要請が可能であり、その間に他のプレイヤーがレイドボスを撃破してくれれば報酬は入手できる。しかし、それまでの間は一切レイドバトルを自発できないし、制限時間が過ぎてしまえばレイド自発は水泡に帰。せっかく自発用アイテムが枯渇しづらい状況なのだから、時間が許す限り連続で自発を続けたいものだが、そうは問屋が卸さないというわけである。

こうした状況が重なった結果、誰かが救援に来るまで難易度EXTRAを戦い抜ける程度の戦力がなければ当キャンペーンを最大限に生かすことはできなかったことは否めない。多少戦力に不安のあるプレイヤーでも『みんなで倒す』レイドの醍醐味をしっかりと味わえるよう、救援に必要なRPの軽減、もしくはレイドドリンクの潤沢な配布を行う必要があったのではないだろうか。

 

『ヤールングレイプル降臨戦』

本タイトルに登場するキャラクターはすべて、18歳以上です(迫真)

 

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↑本当に?本当に18歳以上?

 

『グラム挑戦応援キャンペーン』終了直後の3月16日、新たなレイドバトル系イベント『ヤールングレイプル降臨戦』がスタートした。当イベントは『グラム挑戦~』における問題点を考慮してか、通常のレイドバトルからいくつか変更された点がある。

まず一つは、専用レイドドリンクの実装である。後述のボックスガチャをはじめとするイベント報酬として入手できるこのアイテムは、制約*11はあれどイベント終了まで通常のレイドドリンク同様に使用可能である。配布量も潤沢かつ、ボックスガチャから入手できるため、よほど熱心に周回しない限り枯渇することはない。このアイテムによって、レイド救援におけるRP不足問題は解決され、救援率も大幅に上がった――というより、ほとんど入れ食い状態となった。ひとたびレイドが自発されれば、口を開いて餌を待つ鯉のようにプレイヤーが群がる。EXTRA自発から1分もしないうちに参戦者が10人を上回ることもザラである。ちょっと極端すぎる気もするが、戦力に不安のあるプレイヤーからすれば大助かりであろう。

次に、難易度の低下・新難易度の追加である。当イベントの報酬である神器・ヤールングレイプル*12がSRの神器であるためか、当イベントのレイドバトルはSSR神器の獲得を目的とした通常のレイドバトルよりも難易度がやや低めに設定されている。また、通常のレイドバトルの最低難易度であるNORMALよりもさらに簡単な難易度EASYも初実装。仮にゲームをはじめたばかりでも、最低限の周回は行えるようになった。

そして何よりの変更点は、報酬としてボックスガチャの抽選券が得られることである。ボックスガチャにはリセット対象となる目玉アイテムとしてヤールングレイプルのキーはもちろん、ガチャキャラのキー*13汎用キー、そのほか不足しやすい武器の限界突破素材、専用武器の強化素材などがたっぷり詰まっている。抽選券1枚で1回、というシンプルなレートで回しやすく、開ける箱の数に制限もない。31箱目からは箱の中身は全て共通となるが、ガチャチケット・武器ガチャチケット・AP回復薬(小)のいずれかからリセット対象を選択できるので、どれを選んでも回せば回すだけオイシイ素敵な仕組みになっている。

加えてイベントミッションをこなせば、ヤールングレイプルだけでなく光・闇属性の限定武器も入手できるので、両属性の戦力不足の補填にピッタリ。極め付けに、なんと光闇レイドスフィアまでもらえるので、エクスカリバーやアダマスと戦わずとも交換アイテムがもらえるようになっている。こと報酬の豪華さについては、『Sweets contest』から今回まで高い水準をキープできていると言えるだろう。

RP(あちら)を立てれば自発(こちら)が立たぬ

『ヤールングレイプル降臨戦』は全体的に『グラム挑戦〜』におけるレイドバトル周りの課題をほぼ解消し、豪華な報酬も備えた良イベントであると言えるが、問題点が皆無というわけでもない。特に大きな問題としては、難易度EXTRAを自発するために必要な専用アイテム(鏡)のドロップ率がかなり低い*14ことであろう。そのせいで、時間ごとのレイド自発可能回数が通常のレイドの2倍になっているにも関わらず、回数を使い切ることなく次の時間に移行してしまうことも少なくない。鏡がボロボロ落ち、回数制限まで自発に困ることがなかった『グラム挑戦〜』とは正反対である。レイドイベなのだから、救援だけでなく自発も行われないと根本的に成り立たないと思うのだが……

また、ヤールングレイプルの限界突破・スキル強化に必要な鍵をこのイベントだけで集め切ることができないのも難点。『愛を込めて!Sweets contest』の配布キャラであったマゲイロは、イベント配布の鍵だけで限界突破・スキル強化を完遂できたのだが、今回は限界突破すらままならない有様である。キャラの強化完遂は許しても、神器の強化完遂は許さないという方針なのだろうか。

よりにもよってSR神器の限界突破・スキル強化に必要な『神器のカギ』他の鍵に比べて入手手段に乏しい*15ので、ヤールングレイプルを100%の力で運用するには相応の期間が必要となる。もちろん、ガチャ産の他のSR神器との競合にも悩まされることになる。ただでさえ鍵が足りないゲームと言われている中で、配布神器にまでこの仕打ちはなかなかにしんどいものがある。鍵を……鍵をくれ……(切実)

 

僕はついてゆけるだろうか。タガの外れたこのゲームのスピードに

……と、ここまで読んでいただければわかると思うが、本作は開始わずか1ヶ月余りにして途切れることなくイベントが3つも開催されるスロットル吹かしっぱなしのハイペースで走り続けている。今回は詳しく触れていないが、『ヤールングレイプル降臨戦』半ばにしてすでに『武技研鑽競技会*16という第4のイベントまで開催されており、ほぼ毎週何かしらの新要素を放り込まれている状況である。挙げ句の果てには『降臨戦』終了直後から『花咲かせROCK!!!〜カラオケ大作戦〜』*17なる第5のイベントまで開催されることが決定した。こうなるともう週刊誌である。週刊『男ハーレムをつくる』創刊。デ○ゴスティー

週に一度は何か新しいイベントが開催される、という配信ペースはこの手の基本無料ゲームには珍しくないように思われるが、『ついていけない』という意見も散見される。コンテンツ飽和が叫ばれて久しい時代、ゲーム一つとってもこのタイトルだけを熱心に遊びこんでいるユーザーばかりとも限らない。たとえ『虚無期間』の誹りを受けるとしても、イベントを連続させずにクールタイムを置いたり、それが叶わないにしてもせめてイベント中に別のイベントを始めるのは控えた方がよいように思われる。

また、『ついていけない』という意見はイベントのみならず、ガチャの追加ペースに対しても挙げられている。というのも、イベントに伴って新規キャラクターを追加したガチャが登場するだけでなく、様々なテーマで括られた*18既存キャラのピックアップガチャも間髪入れずに連発されているのである。こうしたガチャ過多の傾向は、イベントを遊ぶたびにいちいちポップアップする課金アイテム割引の知らせも相俟って『課金圧が高い』などと揶揄されることもある。

もちろん商売なので、コンスタントに稼ぎがなければ続けられないことは理解できる。旨味のあるイベントを連発し、魅力的な新キャラクターを続々登場させることで、それを目当てに始める新規参入者を増やしたいという魂胆もあるのだろう。しかし、だからといってイベントやガチャの追加ペースを早めるばかりでは、イベントを十全に遊びきれない無念さ延々と周回を続けることへの疲れ・飽き終わりの見えない課金への倦みなど、マイナスな感情ばかりをプレイヤーにもたらしてしまうのではないだろうか。イベント・ガチャの追加については、運営に支障の出ない範囲でもう少し手心を加えていただきたいところである。

もっとも、ガチャについてはプレイヤー側にも『引かない自由』というものがある。熱に浮かされて金を注ぎ込んだ後に悔いることがないか考え、己の懐と相談した上で付き合い方を考える必要があるだろう。どんな遊びであれ、程よい距離を保って節度ある付き合い方をしなければ、楽しむどころではなくなってしまうのだから。

……などとご高説ぶっている私自身も、この間サカマタさん欲しさに天*19しちゃっているわけなのだが。反省します、反省しました……

 

Re:ゼロからやりなおしてほしいシナリオ執筆


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↑シュミエルくんは『オレ』なんて言わない。

 

流石に一人称は間違えないでください

さて、一通りのイベントについて語り終えたところで、ここからは前回記事で触れなかったストーリー以外のシナリオ部分について語っていこう。

ぶっちゃけてしまうと、ストーリー以外のシナリオについても、端々の拙さや違和感を拭えない描写、全体的な『行き届きの悪さ』はストーリーと大差ない。キャラクターの一人称が場面によって異なる*20寝室イベントのスチルと文章が矛盾する*21など、この手の作品で大切にすべき『細かな部分』致命的な誤りが見られ、誤字脱字を上回るダメージ量を容易に叩き出してくる。また、おそらく複数のライターを採用しているであろう寝室イベントの文章にはかなり傾向のバラつきがあり、終始喘ぎや叫びの応酬が続くばかりの文章から、キャラに似つかわしくないほど耽美で饒舌な地の文・台詞が連発される文章まで実に多種多様である。これについては個人の好みや感じ方に依拠するものであり、一概に問題点として取り上げるべきか悩ましいところではあるが、せっかく期待に胸と股間を膨らませて開いた寝室イベントが淡々と消化試合のように終わってしまう光景はどうにも切ないものがある。せめて実用に堪えるだけのクオリティを保ってはいただけないものだろうか。

乳首が弱すぎる男たちと鬼畜攻め様主人公

寝室イベントにおける展開のパターン化も、一部では問題視されている。前回記事ではバラエティに富んだ内容と称したが、現時点ですでに100を超える寝室イベントが実装されているとなれば、どうしてもバリエーションに限界が出てくるのはやむを得ない。しかし、それにしても乳首責めが多すぎるだの、やはり主人公のオラつきが不快だの、主人公のタチウケ比率がタチに寄り過ぎている*22だのと不満は湧出してくる。

特に主人公のオラつき、さらに言えばエロ展開に持ち込むための常軌を逸した行動流石に看過できないレベルに達している。入手した惚れ薬をたまたま通りがかった知り合いに「ちょうどいいや」とばかりに盛る、性に疎い相手の尻にバイブレータを仕込んだまま半日放置する、転んだ相手を助け起こすこともせず悪戯しまくった末に犯す……などなど、書き並べているだけでも『お人好し』という作中での評が粉々に砕け散るような所業ばかりである。こうなるともはや主人公をプレイヤーの分身として見ることは到底叶わず、せいぜい顔が見えているだけのモブ竿役とでも考えた方がしっくりくる。『主人公』という唯一無二の個性を与えられた存在の扱いがモブ同然とは、本末転倒と言わざるを得ない。

イベントシナリオだけが救い

ただし、先述の通りイベント『愛を込めて!Sweets contest』のストーリーについては例外的にそれなりの水準を保っており、一部に妙だったり唐突な展開はあっても概ね穏当にまとまっていた。誤字脱字もほぼなく相変わらずの主人公のお気楽お人好しぶりに目をつぶれば十分読める類のものであった。

イベントシナリオはガチャ産キャラの人となりを知る貴重な機会でもあるので、今後も下手に誰かを悪く描いたり貶したりせず、ほどよくキャラクターの魅力を引き出すような良質な物語を紡いでいっていただきたいものである。

 

それでもまだまだクレイヴ・サーガXを応援したい件

……と、今回も多少厳しめに評価してしまったが、それでも自分はまだまだ本作に期待している。前回記事で『心から楽しみにしている』と言った気持ちは一カ月以上経った今も変わらないし、やり込みの深いゲーム部分には手を焼かされつつもなんだかんだ楽しく遊べている。SNSでのトレンドインがもはや風物詩と化したり、有志による攻略動画がYouTubeにアップされるなど、ファンの熱量も未だ冷めやらぬどころか更に上がっているように見受けられる。

良くも悪くも話題が尽きない本作。生まれたての割に生き急いでいる感は否めないが、まずは今掴んだユーザーを大切に、より楽しく、より長く遊んでいけるようなゲームとして成長していってほしい

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。プレイヤーの声に耳を傾けてくれクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

 

(終)

おまけ:イカれた推しキャラを紹介するぜ!2 SSRも結構引けたよ編

さて、ここからは前回に引き続き推しキャラ紹介のコーナー。幸いにもあのあといくらかSSRのキャラ・神器も入手できたので、主にSSRのキャラ・神器を紹介していくことにする。(随時追記・修正予定)

セルドア -待ってましたの大本命-

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ヴェストリアの中央に位置し、各国の緩衝材として中立を貫く都市国家・クサン。その政を一手に引き受ける『司(つかさ)』を務めるのがセルドアである。立派な髭を蓄えた厳峻な顔貌に、鮮やかなタトゥーと生い茂る体毛に彩られた屈強な肉体。漫画家・イラストレーターの藤本郷*23の手による雄好みのツボを突いた秀逸なキャラクターデザインに、私も情報公開当時から注目しており、ピックアップ*24の折には彼を目当てにガチャを回したほどであった。

先代導師ヴァルナに仕えた初代の司・リヴァイアの血を継ぐ彼は、ストーリー第5章の中心人物として登場した後、カラハやニネ、ベルガモンドらと共に『各国首脳』という役どころとして導師たる主人公の行動を見守る立場に落ち着く。……といっても、今のところ彼らが首脳陣として活躍したのは『Sweets contest』でスイーツ品評会の審査員を行った時くらいだが。司の仕事はどうしたんですか

『自他に厳格で恋愛には奥手』との設定がある一方で、クサン名物のボートレースで腕前を披露したり、侍従のガーディオン*25からの憧憬の強さにちょっと辟易したりと、お堅いばかりではない人間味が見て取れるのも彼の魅力である。『Sweets contest』でもマゲイロのスイーツに的確な指摘を行い、彼に更なる飛躍を誓わせるきっかけになるなど、本作に登場するお偉方の中では屈指の人格者*26といえる。何かと細部に拘りが足りず、全体的に浮ついた本作のシナリオをギュッ*27と引き締めてくれる、まさに六尺褌のような存在――それがセルドア様なのである。

……え?推しキャラを下着に例えるなって?いやでもセルドア様も六(以下略

ガイ -やっぱり出番って大事。素直にそう思った-

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ヴェストリアにその名を轟かす名料理人・ガイ。捲った袖から覗くさながらポパイの如き剛腕に、意志の強さを感じさせる太眉がなんとも逞しい。

他のキャラクターたちが武器を構えてカッコいいエフェクトを出す中、逆巻く水飛沫にフライパン一丁を構えて立つその姿はやたらインパクトが強い。さらに戦闘時のSDグラフィックもフライパンを構えており、愛用武器もフライパンである。料理人の魂で敵を殴るのはどうかと思うが、まぁそこはツッコまないでおこう。

ガイといえば『Sweets contest』でマゲイロの師匠として登場したことが記憶に新しいが、前述の通りイベント発のキャラではなく、初期から実装されていたSSRキャラである。酒場や寝室だけではせいぜい『凄腕の料理人』『主人公の筋の良さを認めて人当たりよく接する』『誘われれば風呂屋のサウナでサカることもある』くらいの情報しか読み取れないが、『Sweets contest』への出演によって、真に認め成長を促したい相手にはむしろ厳しく接することや、新キャラ・パトロッシとの古くからの縁など、彼のキャラクター性を掘り下げる描写が多く追加された。本作のストーリー未登場ガチャ産キャラの中でもここまで掘り下げが行われたキャラは他に例がなく、まさに異例の大躍進といえるだろう。

かくいう私も割と早い段階でガイを入手していたものの、前回紹介した推しキャラ達ほどの想いを注げずにいたのだが、イベントでの活躍を見てからは彼に対する思い入れがグっと増し、今では水属性パーティの主力として育成計画を立て始めている。やはり、適切な活躍の場を設けてキャラクターを立てることが、プレイヤーによるキャラへの愛着の形成を促し、プレイ意欲を高めることに繋がるのである。

愛です、愛ですよ運営。何故そこで愛ッ!?

チャック -なまらめんこい雪達磨の君-

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スティリア共和国のはずれにある雪山で山小屋の管理人をしている青年・チャック。北海道・東北の訛りによく似た『だべ』口調*28で話す様子はいかにも北国育ちのようだが、こう見えて南国の生まれで、雪に憧れて訪れた北国を気に入ってそのまま居着いたという経歴がある。

やたら布地が少なかったり体のラインを強調するような服装の者が多い本作において、北国住まいらしくモコモコの防寒具を着込んだ彼のようなキャラクターはなかなか珍しい。さながら雪達磨のような丸っこいシルエットは、ともすれば着膨れでは?と疑ってしまうが、寝室イベントで披露する裸体も非常にむちむちしており、ふとましい殿方がお好みの方にはたまらない肉感的な艶姿を披露してくれる。まさに着ても脱いでもまんまるかわいい雪達磨の君、というわけである。

今のところメイン・イベント共にストーリーへの出演はなく、キャラクターの掘り下げはまだ浅い彼だが、酒場・寝室の乏しい情報だけでも『糸目の下にあるつぶらな瞳』『やけに生臭い鍋料理を振る舞いたがる』『色事においては押しに弱い』と、活かせば光りそうな一面を複数備えていることが伺える。最近*29のストーリー付きイベントではメインストーリー未出演のガチャ産キャラにも魅力的な活躍の場が用意されるのが定例となってきているので、そのうちチャックくんにも活躍の機会が巡ってくることに期待したい。

ちなみに彼、本作の事前登録特典のうちの一つである毎日引き直し可能なガチャに投入されていたSSRの一人でもあるので、サービス開始当初から彼と共に冒険を始めていたプレイヤー諸兄も少なくないことだろう。かくいう私もその一人である。だって可愛いんだもん。

クロード -なぜか憎めないマッドドクター-

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ヴェストリアで広く名の知れた名医・クロード。立派な熊髭を蓄え、常ににこやかな表情を崩さない様子はいかにも人格者のようだが、実はかなりの悪徳医師であり、気に入った患者に適当な病をでっち上げては『治療』と称した性暴行に及ぶガチの犯罪者である。物知りのガブでさえ彼の裏の顔については噂の一つすら耳にしたことがないようなので、犯罪の隠蔽にもかなり長けていると思われる。こんな奴が野放しにされているヴェストリアの治安はいったいどうなっているのだろうか*30

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↑ウッワーワルイカオ!

普段の穏やかそうな表情から一変、悪事に及ぶ際はつぶらな瞳が細まり、邪悪な笑みを浮かべるのが彼の最大の特徴である。戦闘中に入るカットインやSDキャラの勝利モーションでさえ件の『悪い顔』をしているのだから、そのギャップの演出たるやとことん徹底している。ワイシャツ越しに垣間見える逞しい筋肉や、腰に提げたガンベルトのような薬品ホルダーによって強調された股間など、本作のキャラクターらしい雄としての魅力もしっかり備えているあたりがなおタチが悪い。

やらかしている所業だけを考えればぶっちゃけ主人公の仲間にしてはいけないレベルのやべー奴なのだが、それでもどうも憎めないのは、彼のように明確な『悪』として描かれていないにもかかわらずほぼ同等の行為に及ぶ主人公の存在ゆえであろうか。下手にお人好しの皮を被って犯罪スレスレの行為に及ばれるよりは、自覚を持ってあくどい治療を行うクロードの方がいっそ潔いとさえ思える。

また、クロードはイベント『Sweets contest』への出演時には過労で倒れたガイに適切な診断と処置を施しており、『名医』と評されるだけの腕前と、医師としての最低限の良心を備えていることがうかがえる。一概に邪悪なだけとも言い切れない多面的な人格を持ち合わせていることも、クロードの憎めない魅力の一つであろう。

サカマタ -バ火力エクストリームドM博徒鯱-

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獣人を嗜好するいわゆる『ケモナー』の間で人気の種族といえば、人間に身近なイヌやネコ、逞しいイメージのあるトラやクマなどが思い浮かぶが、クジラやシャチ、イルカといった海生哺乳類系の種族にもコアな人気がある。サカマタはその名*31が示す通りシャチの獣人で、元ギャングの総長*32にして、現在は凄腕の博徒という強烈過ぎるパーソナリティの持ち主でもある。

筋肉の固さと脂肪の柔らかさが程よくマリアージュされた固太りの肉体を飾るのは、鮮血のような色合いをした花吹雪の紋々(刺青)。大きく開いた股からは純白の褌の前垂れが覗き、歌舞伎役者や往年の時代劇スターを思わせる。総じて『和』の色合いが強く、見た目は非常に魅力的なデザインをしているのだが、彼の個性は見てくれだけで語れるようなものではない。

前述の通り元ギャングである彼だが、その前歴は想像以上に凄まじいものであったようで、彼のウェポンクエストで入手できる武器『殺鯨切裂*33』の解説にはなんと『ギャング時代に斬った何千人もの血がサカマタの刺青模様のようにボディに染み込んでいる』との記述がある。これを鵜呑みにするならば、彼はギャング時代に四桁台の数の人間を死傷させていることになる。戦争状態でもそれだけの数の人間を殺害するには銃火器などが必須と考えられるのに、近距離用の得物だけでそれを成す彼の凄まじい戦闘能力には思わず舌を巻いてしまうが、それ以上にそもそもこんな大量殺人者仮にも主人公の味方になり得るポジションについていることが恐ろしすぎるこんな奴が野放しにされているヴェストリアの治安(以下略)。

そんな苛烈な殺戮者としての一面を反映してか、その他の要素もなかなかに強烈だ。彼のステータスは清々しいほどのMATK*34偏重型であり、最大レベル時のMATKだけなら最大レベルのザルク*35に匹敵する。SSRとSRは最大レベルに差があり、最終的なステータスにはどうしても差が生じてしまうにもかかわらず、である。闇属性SSRのうちMATKが最高レベルのセルドアと比較してもその差は僅かなものであり、彼の火力がいかに凄まじいものであるかが伺える。ありあまる破壊力と引き換えに、MATK以外のステータスは低いものの、条件さえそろえば平然とダメージ限界値を叩き出すその姿はまさにバ火力と称して遜色ない。

また、酒場や寝室から垣間見える彼の人格は元ギャングらしく傍若無人そのもの。たまたま酒場に居合わせた主人公を賭け事に巻き込んで振り回し、無理矢理勝負を挑んで勝利すると『バツゲーム』と称して常軌を逸したプレイ*36に巻き込む。正直大迷惑な御仁なのだが、被害に遭っているのがあの主人公なので、ちょっとだけ胸がすく思いをしてしまうのがなんというか、クレサガらしいというか……

ともあれ、SRキャラかつメイン・イベントいずれにも未登場のキャラクターであるにもかかわらずとんでもない個性を持ち合わせている彼。初登場時は特定のガチャからしか排出されなかったが、現在は通常のガチャからも排出されるようになっているので、運よく出会えた方はその癖の強すぎる人となりを味わってみるのも一興ではないだろうか。

ミョルニル -その陥没乳首は飾りか?-

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ラピマニア聖国に安置されていた神器・ミョルニル*37。メインストーリー3章に登場し、そのとぼけた人柄と病的なまでのオルトーへの溺愛でプレイヤーに強い印象を残した彼は、土属性のレイドバトルのボスでもあり、レイドバトルの報酬を一定量集めることで確定入手できる。

いたいけな顔立ちに、うっすら蓄えた顎髭がアクセントになった人懐っこい顔貌。どこをとっても太く短いふわふわの肢体はとても可愛らしく、特に常日頃から丸出しにしているキュートな陥没乳首は非常に魅力的だ。何よりも乳首を性感帯として第一に優先する本作において、他に類を見ない凹んだ乳首は唯一無二のアイデンティティであり、彼を彼たらしめる要素として最大限に活用されるべき魅惑のチャームポイント――で、あるはずなのだが。

こともあろうに!主人公は!!この陥没乳首を!!!一撫でさえもしないのである!!!!

一体誰のどのような差配によってこんなことになっているのかはいちプレイヤーたる私には到底知り得ないわけではあるが、それにしても乳首 is GODと言わんばかりにありとあらゆる男が乳首でたやすくアヘる本作において、よりにもよって一番弄るべきミョルニルの陥没乳首に指の先端さえも接触させないという判断はあまりにも謎過ぎる勃ち上がっていなければ乳首ではないとでも言いたいのであろうか。

流石に既存の神器に新しい寝室イベントが追加されるようなことはそうあるものではないと思われるので、こうなったら新バージョンのミョルニルをガチャに投入するなどして、ミョルニル最大の魅力である陥没乳首を思うさまいじくり回す新しいイベントを実装していただきたいものである。いやホントマジで。よろしくお願いします。ミョルニルの陥没乳首に救いの手を。

ヤサカニノマガタマ -魅惑のむちぷに弟くん-

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主人公が旅商人から買い取った勾玉が変じた神器・ヤサカニノマガタマ。カタカナで書かれるとわかりづらいし長いが、元ネタは日本神話における『三種の神器』の一角・八尺瓊勾玉である*38

主人公によって『八』の字を取って『ハチ』と呼ばれることになった彼は、活発な性格と大雑把な無計画さで一行を振り回すことも多い――と、プロフィールには記載があるのだが、残念ながら現状酒場と寝室以外に活躍の場がないため、その活発さと大雑把さを読み取ることができる機会はほとんど存在しない。エクスに『私は導師の右腕だ』とドヤられて『じゃあ俺は左腕だな』と明るく返せる気風の良さは素直に好感を持てるものであるし、独り寝の夜に寂しさを覚える様子は思わず庇護欲を掻き立てる愛らしさを醸し出しているのだが、あくまでもその場限りの描写であり、彼のより深い人格を知りたいという欲求を満たしてはくれない。

こうした『物語・描写の不足』は本作全般の難点ではあるが、ストーリーやレイドバトルの前説に登場していない限り酒場の内容が『発見の経緯⇒覚醒⇒簡単な性格の説明』に終始してしまう神器については、この問題が特に顕著である。魂友以上に個性豊かな容姿と、様々な国の伝承に基づいた趣深い設定・人格を持つ神器だけに、こうした構成上の不備によってキャラクターとしての滋味を味わい尽くせないのは非常に惜しい点といえる。

もっとも、そのあたりを勘案してもヤサカニノマガタマは魅力的なキャラクターである。浅く焼けた小麦色の肌、勾玉のような太眉にどんぐり眼、赤みがかった柔らかな頬に湛えたにこやかな笑み。水兵のようなコートをはだけた上半身は硬すぎず柔らかすぎない絶妙なむちぷに感を醸し出しており、思わず指でつつきたくなってしまうほどだ。分厚い胸板には胸毛の一つも生えていない一方、寝室で拝める下半身は案外毛深かったりするところも意外性があってそそられる。スチルの出来栄えも出色のもの*39であり、個人的には引いて損はないキャラクターであると考える。だってこんな……こんなむっちむちのかわいこちゃんに弟みたいに甘えられちゃあ……ねぇ?辛抱たまらんでしょうよ……

 

(今度こそ終)

画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:例によってリンクは全年齢版なので、『X』版のプレイは「R-18版はこちら」のボタンからどうぞ

*2:流石にストーリークエストの通常難易度(NORMAL)よりは難しいが、レイドバトルの中難易度(HARD)より低い難易度であり、遊びはじめたばかりでもない限り負けることはまずないレベル

*3:今回のイベントでは水属性の敵が出現するため、土属性のキャラが優位

*4:通常よりドロップアイテムが多く獲得できるが、一日にプレイできる回数が限られている

*5:エストプレイ時に必要なポイント。時間経過で回復するが、遊び続けたい場合は課金やアイテム交換で得られる回復薬の使用が必須

*6:救援に入るのではなく、自らAP・アイテムを消費してレイドバトルを発生させること

*7:合計250本の鍵(アイテム)を要求される。レイドバトルにおける鍵は確定ドロップではないうえ、基本1本ずつドロップするので、通常のレイド周回で250本を集めることは非常に困難である

*8:土属性と風属性のレイドスフィア(交換アイテム)は共用のため、グラムがドロップするレイド交換アイテムでミョルニルや関連の土属性武器まで交換できる

*9:最高難度(EXTRA)の救援に必要なRPは10、RPの上限は30なので、連続して3回までしか救援に入ることができない。また、RPが10回復するまでには1時間かかる

*10:救援要請を一度行うと、その後5分間救援要請ができなくなる

*11:通常のレイドドリンクと異なり1つあたりのRP回復量が10P、全滅時の復活に使用できない

*12:いかにもぽっちゃり系男児といった容姿でたいへん愛らしいが、本作にはあくまでも18歳以上のキャラクターしか登場しないため、彼もまた決して男『児』ではない。たぶん

*13:現時点での恒常SSRキャラの中からリセット対象として選んだいずれか一人のキーのみ

*14:EXTRAをクリアしても確定ドロップではなく、だいたい5、6回に1つ程度の感覚で1つドロップする。しかも通常のレイドと異なり、当イベントの難易度EXTRA自発には鏡が2枚必要となる

*15:SSR神器の鍵である『超神器のカギ』はガチャ産キャラ・神器の鍵を売却して得られるコインやレイド交換アイテムで交換可能だが、『神器のカギ』はなぜか交換不可である。『神器のカギ』を集めるには、ウィークリーミッションや常設ミッションをちまちまこなす他ない

*16:いわゆるスコアアタック式のイベント。周回は不要だが、全報酬回収に必要なスコアは相当高い

*17:2023/3/28『ナイモンチャンネル』での生放送によると、『Sweets contest』同様のストーリーつきイベントとのこと

*18:ケモノキャラを題材にした『モフモフ』はともかく、単に大人の男性をまとめたというだけで『ダンディ』、容姿が幼いキャラをまとめただけで『元気溌剌』など、括り方は正直雑である

*19:一定数ガチャを回すと、必ず目当てのキャラを入手できる仕組みのこと。本作ではガチャを回すとおまけでついてくる『カプセル』を一定量集めると、目当てのキャラ・神器と交換できる場合がある

*20:シュミエルの一人称はストーリー・イベントシナリオでは『私』だが、アダマスとのレイドバトルの導入イベントでのみ『オレ』となっている。ストーリー中でシュミエルが『私』と『オレ』を使い分けている場面は存在しないうえ、アダマス戦導入イベントでのシュミエルは一人称のみならず口調もどこかおかしいので、意図した演出ではないものと考えられる

*21:冒頭で『全裸』と明言しておきながらスチルは下着を着用しているマクシの寝室、途中で下着を脱がされる描写があるにも関わらずスチルの下着が脱げないセルドアの寝室2など

*22:ナイモンチャンネルでの生放送にもタチウケ比率に触れた質問が取り上げられていた

*23:本作では他にもノーチェ、アルケーを担当されている

*24:なお、セルドアを含むピックアップガチャは過去2度ほど展開されたが、うち初回の『ストーリー登場キャラピックアップ』の際にはものの見事に爆死した

*25:レアリティRのキャラとして実装済

*26:豪放磊落がすぎるカラハ、一大宗教の象徴だがまだ年若いニネ、カリスマはあるがいい加減なベルガモンドといった他国首脳陣に比べると、歳相応の威厳を身に付けたセルドアの存在感は非常に安定している

*27:医者が気合を入れるときに出る効果音ではない

*28:『なまら』、『したっけ』などのワードから、おそらくモデルは北海道弁である可能性が高い

*29:2023年6月初頭、ストーリー付きイベントが4回(スイーツ、花見、親子の絆、雨)開催された時点。

*30:ちなみに、ヴェストリアには他にも『犯罪者への拷問目当てで検挙に勤しむ保安官』や、『大国の機密を盗み出そうとする凄腕スパイ』、後述するサカマタなどかなり物騒なパーソナリティを備えたキャラクターが多い。一見優しそうなのに元マフィアのキャラクターもおり、裏社会の規模もなかなかに大きそうである

*31:『逆叉』『逆戟』はシャチの古くからの別称で、鋭い背びれが逆立てた鉾のように見えることにちなんだ名前

*32:キャラデザからして、イメージソースはどちらかというとヤクザなのではないかと思われるが

*33:何と読むのかすら不明だが、とにかく物騒な名前である

*34:魔法攻撃の攻撃力を決めるステータス。サカマタの攻撃タイプはこう見えて物理ではなく魔法なのだ。見た目と攻撃タイプの乖離は、このゲームではよくあることである

*35:闇属性のSSR。えっちなバニー姿の青年で、私が本作をプレイした際に一気に3体もダブらせたキャラクターでもある

*36:詳細は伏せるが、SMに耐性がない方はちょっとドン引くレベル。〇〇〇を叩かせるのはちょっと……

*37:北欧神話の神トールが振るったとされる必中の槌。トールハンマーと称されることもあり、某アメコミでは『ムジョルニア』と呼ばれる

*38:ちなみに本作にはサービスイン当初からヤサカニノマガタマ、ヤタノカガミ(八咫鏡)、クサナギ(草薙剣)が神器として実装済みである

*39:ヤサカニノマガタマを手掛けたイラストレーターの雄大氏は他にもガイ・シュミエル・キンタを担当されているが、寝室やメインストーリー内のエロイベントに単なる差分ではないポーズ変えが挟まれることが多く、力の入りぶりがうかがえる

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい。

crave-saga.jp*1

 

転生したらFANZA GAMESだった件

先日2月16日(木)よりFANZA GAMES*2にて配信開始されたブラウザゲームクレイヴ・サーガ 神絆の導師』のR-18版、それが『クレイヴ・サーガX』である。

男性しかいない(重要)異世界に転生した主人公が、出会った仲間たちと(いろんな意味で)絆を結び、天使と悪魔の最終戦争に曝された世界の危機に立ち向かっていく――という物語のあらすじからもわかるように、本作は男性同性愛者を中心にターゲット層を絞ったいわゆる『ゲイ向けゲーム』に分類される。

こうしたゲームが基本無料・アイテム課金制で展開されること自体は先例がないわけではない*3が、本作はなんといっても会員数3100万人*4を誇る「DMM GAMES」からリリースされるということで、発表当初から界隈の熱い注目を集めていた。

youtu.be

キャラクターイラストにはゲイ向け創作の分野で有名な漫画家・イラストレーターを多数起用するばかりでなく、わざわざプロモーション用に主題歌まで作成。さらに新宿2丁目のバーゲイ向けマッチングアプリとコラボするなど、通常のゲームとは異なるアプローチも駆使して積極的なプロモーションを行ってきた。

その姿勢からは、これまで(ゲイ向けに限らず)ゲームそのものを嗜んでこなかった潜在的なユーザー層、いわゆる『シャイニー*5なゲイにもアプローチしていこうという強い意志が感じ取れる。必ずしもブルーオーシャンとはいえないゲイ向け課金制ゲームの世界に挑むにあたり、少ないパイをできるだけ増やそうという腹積りだろうか。

genxy-net.com

youtu.be

プロデューサー自ら動画やインタビュー記事で宣伝に励んだ本作は、果たしてDMM/FANZA GAMES開始ランキング1位FANZA GAMES人気ランキングiOS1位Android3位という見事なスタートダッシュを切った。美少女ゲームが乱れ舞うDMM/FANZA GAMESのランキングに徹頭徹尾雄臭い本作がランクインしている光景は衝撃的なものであり、SNSでも話題を呼んだ。リリース初日からしばらくの間「クレサガ」がTwitterのトレンドに入る時間帯もしばしばあり、滑り出しは上々といえるだろう。

かくいう私もリリースを今や遅しと待ち望み、初日に諭吉と少しを注ぎ込んでSSRキャラ(あんまり好みじゃない)を3体ダブらせて咽び泣きつつも楽しくプレイを続けている身である。この記事では、私の本作に対するごく個人的な感想として、良い点・悪い点・期待する点をいくつかの節に分けて語らせていただきたい。

なお、記事には本作のプロローグ〜第5章および一部キャラクターに関するネタバレを含む。核心に触れる内容はなるべく伏せているが、気になる方はある程度プレイした後の閲覧を勧める。

 

概要ですが、なにか?

主人公と仲間たちの明るい王道ストーリー(プロデューサー談)

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↑その通りである。

 

本作は記事冒頭で述べたあらすじの通り、男だけの異世界『ヴェストリア』に転生した主人公が仲間と共に世界を救う――という、いたって一般的な冒険ファンタジーである。冒険にかこつけて男同士でいやらしい行為に及びまくることを除けば。

本作における主人公は『導師』と呼ばれ、神に選ばれた救世主として位置づけられている。ごく普通の(ゲイの)サラリーマンだった彼がいきなりそのような大役に祭り上げられ、世界を守ることになる。戸惑いながらも使命を果たしていくと、やがて彼を認める仲間たちが集まり、絆で結ばれた大きな力の連なりとなっていく。

あらすじだけを見るならば、懐かしのローファンタジー*6に、昨今流行りの(というよりもうすっかり定番ジャンルの一つになっている)異世界転生モノのテンプレートをはめこんだような、よく言えば『王道』、悪く言えば『ありきたり』な物語である。

しかし先述の通り、本作はゲイ向けゲームであり、登場人物は男性のみ。したがって、異性愛という概念そのものが存在しない異世界の住人たちは当然のこととして男同士で情を交わし、体を重ね、子を成す*7。この点に限って言えば、本作はある程度ユニークさをもったストーリーであるといえるだろう。

男だけの異世界で繰り広げられる、王道の冒険譚。ぶっ飛んだ基幹設定と、既視感上等のコテコテファンタジーが織りなすシナリオの出来映えについては、後述する。

理由(ワケ)あってもなくても、SEX!


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↑ロトンはR、チャックはSSRのキャラ。寝室イベントはどんなレアリティでも最低1つ用意されていることがわかる。

 

本作最大の特色は、なんといってもプレイアブルキャラクターすべてにR-18スチルを交えたエロイベントが用意されているということだろう。

ストーリー進行やアイテム交換で入手可能なキャラクターも、ガチャから排出されるキャラクターも、みな例外なく『寝室イベント』という性行為描写を含む短編イベントが用意されており、複数の差分を含んだスチルと共に各キャラクターの艶めかしい恥部がこれでもかと披露される。

この仕様のありがたいところとしては、レアリティの低いキャラクターにも分け隔てなくスチルが用意されており、ガチャ運に恵まれなくとも数多くのキャラクターの痴態を拝むことができるという点。もっとも、最高級レアリティであるSSRのキャラクター*8には寝室イベントが2種用意されているので、レアリティ差が皆無というわけではない。また、そもそもエロイベントが見たいキャラのレアリティが高い場合は……頑張ってくださいとしか言いようがない。

なお、寝室イベントは全年齢版の『クレイヴ・サーガ』にはもちろん存在しないが、全年齢版とR-18版はセーブデータを共有して切替可能であるため、全年齢版で遊び始めたプレイヤーであっても、『クレイヴ・サーガX』に切り替えれば問題なく寝室イベントを閲覧できる。

また、本編メインシナリオ中にもエロイベントが挿入されることがあり、こちらも寝室イベント同等のスチル・差分が用意されている。そのため、『クレイヴ・サーガX』についてはうっかり公共の場で遊ばないように気を付けたいなお、私は「さすがにプロローグからエロいことはせんやろ」とタカを括ってプロローグを電車内で遊び、酷い目に遭った。

ゲームシステムについて

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↑どうも既視感の拭えないUI。

 

本作のゲームシステムは、いわゆるコマンド制RPGである。キャラクター5人+神器*9を編成し、敵の配置や属性に合わせてそれぞれのアビリティを選択して攻撃する。神器は編成するだけでパーティー全体に強化効果をもたらす上、戦闘中に召喚することで敵全体に大きなダメージを与え、3ターンの間のみ戦闘に加わってくれる。

戦闘によって得たアイテムを使ってキャラクターとその装備武器、神器といった様々な要素を強化し、戦闘力を上げて更なる難易度へ臨む……といういわゆる『周回』要素の強いゲームであり、アイテムを得るために同じステージを何度も繰り返す行為がプレイ時間の多くを占める。これについては本作独自の特色ではなく、昨今の基本無料ゲームにおいてはごく一般的な方式である。拙文をお読みの諸兄においても、今日もどこかで特異点やら空の島やらを周回し続けている方はそう少なくはないだろう。もっとも、本作の『周回』はのっけから凄まじい修羅の道と化しているのだが……(後述)。

抜きイベントは骨付き肉とともに。

可愛い推しには肉を喰わせろ


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↑最低ランクの肉が『腸詰肉(ソーセージ)』というのも、何やら意味深である。

さて、上述した寝室イベントだが、「目玉要素なら見るのに多少手間がかかったりするんじゃないの?」とお思いの諸兄も多いことだろう。ところがどっこい、寝室イベント*10の閲覧条件は「レベル20(または15)までの育成」と、本作においてはさして難しくないものとなっている。

本作のレベルアップアイテムはズバリ「肉」なのだが、上述の条件は肉の中でも下から数えて二つ目のランクである「骨付き肉」約6個で容易く達成できる程度のものである。骨付き肉を振る舞うだけで推しが脱ぐ。なんと手軽な。本作において天使たちが危惧する『人間の愚かさ』も、このベッドインまでがあまりに早すぎる性の乱れに起因するものなのではないかと、勝手に心配したくなってしまうレベルのスピード感である。

とはいっても、プレイヤーとしては手間なくムフフな場面を楽しめて大助かりなのは確か。ガチャで引き当てた目当ての男にいち早く肉を喰わせて寝室に突っ込む流れは、本作のプレイヤーなら必ずといっていいほど通るド定番のパターンといえるだろう。肉食って、寝ろ(性的な意味で)

あんなプレイも、こんなプレイも

さて、肉を振る舞った先に待ち受けるエロイベントだが、その内容は実に多岐にわたる。主人公と対象キャラクターが絡むにしても、主人公がタチ*11ウケ*12どちらに回るかはキャラによって様々だ。

性行為の相手が主人公でない場合も多く、その内訳は秘密クラブのボーイであったり、裏路地の怪しげなマッサージ店の店員であったり、敵対する国の兵士であったり、はたまた一人遊びだったりとこちらも多種多彩。もちろん、シチュエーションやプレイもキャラごとにバリエーション豊かで、中にはかなりハードなもの*13も含まれる。

このように、キャラクターの個性と多様なプレイの掛け合わせによって、プレイヤーを飽きさせないさながら四十八手の如きセックス曼荼羅が展開されるのである。

……もっとも、「見た目が好みなのにポジションが希望と違ってたので萎えた」「主人公相手じゃないのでNTRに見えて嫌」「主人公と絡むので嫌」「小スカ*14地雷です」などなど、プレイ内容が一様でないからこその嘆きの声もそれなりに聞かれはするわけだが。万人のニーズに対応するのって、難しい。

聖剣の神器を名乗るポンコツ(と、その他ゆかいな仲間たち)

問おう。あなたがわたしのマスターか

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↑これにはアーサー王もびっくり。

 

大量の男性キャラクターが登場する本作だが、その中からあえてメインヒロイン(?)を選ぶとするならば、主人公の力によって覚醒した神器・エクスカリバー(通称エクス)であろう。突然異世界に放り出され、悪魔の襲撃を前になす術もなく窮地に立たされた主人公が初めて手にした神器であり、最初の仲間である。

エクスは誇り高く勇敢な騎士としての一面と、『マスター』こと主人公への強い恋愛感情を持ち合わせた、まさに正妻ポジションと言うべきキャラクター。煌びやかな鎧に身を包んだ筋骨隆々の英雄がことあるごとに「さすがですマスター」と主人公にかしずき、共に戦う仲間たちにさえ「私の方がマスターのお役に立ちます」と大人気なく張り合う姿は(見ようによっては)微笑ましい。

また、エクスカリバーはいわゆる配布キャラであり、ストーリーを進行させるだけで入手・育成が可能である。本作の戦闘に欠かせない『神器』、しかもSSR*15であるため、プレイヤーのほとんどは長らく彼のお世話になる。その活躍ぶりに、思わず愛着を覚えてしまうプレイヤーも少なくないのではないだろうか。

個性豊か(すぎる)仲間たち


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↑章ごとにゲストキャラが同行することもあるが、基本的にはオルトー・エクス・ハクマ・ガブが主人公パーティのメンバーである

主人公に同行する仲間はエクス以外にも存在する。

先代導師と共に旅をしたと豪語するぬいぐるみのような精霊オルトー、オオカミ族の次期族長として気を張る青年ハクマ、この世界を創造した原神王を崇拝するイザリオ教の修行僧ガブが、ストーリー進行と共に旅に加わってくれる。また、現時点で実装されている5章までのシナリオには各章ごとのゲストキャラがおり、多くはガチャから排出されるキャラクターだが、主人公と近しい一部のキャラクターはストーリークエストを周回して得られる素材と引き換えに獲得することができる。


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↑アーチェムとコンラットはストーリー素材で入手できるキャラクター。

 

偉大な先達を気取るも概ね役に立たず、何かとコミカルな役回りの目立つオルトー、強情な物言いとは裏腹に主人公に惹かれていくいわゆるツンデレのハクマ、そして持ち前の博識さで解説役として活躍するガブ。前述のエクスも加わって、主人公一行の旅は賑やかに続く――のだが、その賑やかさの描写にやや難があるのが困りどころ。詳しくは後述する。

天使も悪魔もみんな敵


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↑天使と悪魔の戦いのとばっちりを人類が盛大に受けまくるお話です。

 

本作の舞台となる異世界・ヴェストリアでは、空の果てにある『天界』に住まう天使と、地の底に広がる『冥界』に巣食う悪魔が相争っている。タチの悪いことに、彼らはどちらも人間*16を下等な存在と見下しており、人間を傀儡として操って代理戦争をさせるような非道も平気で行う。

「人間は愚か」と信じ込み、支配できないのなら殺しても構わないとさえ考える大天使ザラエル率いる天使たち。己の享楽を最優先し、地上の破壊と混乱を至上の快楽として楽しむ魔王トゥストラ率いる悪魔たち。彼らがヴェストリアで雌雄を決する「最後の審判」が始まってしまったために、人間たちの平穏は崩れ去り、導師たる主人公の力が必要となった――というのが、本作の物語の背景である。人の世を守るために戦う主人公にとっては、天使も悪魔もみな等しくぶっ飛ばすべき敵なのである。

ありふれたシナリオでプレイ感、どう?

……と、まぁここまで色々と説明してきたわけだが正直な話、本作のメインシナリオはそんなに出来が良くない

リリースされたばかりのゲームにあまり厳しい言葉をかけるのもどうかと思うのだが、なるべく優しい言葉を選んでもなお「出来が良くない」としか言いようがない。

概要の項でも語った通り、シナリオの筋そのものが良くも悪くも王道でありきたり、というのは確かだ。だが、世の中にはいわゆる『お約束』の域をはみ出すことなく、むしろそれに愚直なまでに従ったからこそ大衆に支持される物語が数多くある。王道だから、ありきたりだからといって、必ずしも面白くない物語であるとはいえない。

本作の出来の悪さは、シナリオの筋そのものにだけあるのではない。そのシナリオに付随する描写の拙さと、「文章を読む」という行為そのものへの気配りのなさにある。

お爺ちゃん、そのやりとりはさっきやったでしょ

主人公一行の個性については前述の通りだが、本作のメインシナリオにおいてはどうも前述した以外の人格の掘り下げや意外な一面の発露などがイマイチ蔑ろにされているきらいがある。というのも、本作のシナリオの半分程度は主人公一行の意味のないやり取りの繰り返しに終始するからだ。

エクスカリバー執拗な主人公持ち上げと「私が誰より一番」アピール、それに突っ込みつつ主人公への慕情を募らせるハクマ、終始役立たずかつ野暮天で皆に邪険にされるオルトー……といったパーティーメンバーの個性を表す描写が天丼ギャグの如く延々と繰り返される。個性を強調するため、またそうした和気藹々としたやり取りができるだけの絆が彼らの間に育っているということを描写したいのだろうが、いくらなんでもクド過ぎる

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↑いかなる状況においてもマスターへのヨイショを忘れない神器の鑑(皮肉)。

 

同じ言動を延々と繰り返すキャラクターを皮肉って「○○bot」と呼ぶことがあるが、その例に倣うならば本作のエクスカリバーはさながら「さすマス(さすがですマスター)bot」と呼べるだろう。仮にプレイヤーが主人公に自己投影できるのであれば、こうしてヨイショを繰り返してくれるパートナーが隣にいてくれることで多少気分がよくなる、という効能もあるかもしれないが、後述する通り本作の主人公はとても感情移入のしづらいキャラクターになってしまっており、自分に重ねて楽しむことは難しい。そうなると、このようなふざけた描写を繰り返す価値の在処は「クスリと笑えるか否か」に絞られるわけだが、残念ながら大した強度もないワンパターンなネタを何回繰り返されても、出てくるのは乾いた笑いばかりである。面白いというより、呆れてしまうのだ。

お人好しの元社会人の姿か?これが……

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↑原神王アルケーはぶっちゃけ本作におけるあらゆる戦乱と悲劇の元凶なのだが、異常にノリが軽い。本編でも主人公からその点を突っ込まれており、本人も何か思うところがあるようなのだが……

 

続いては、そんな「さすマス」の対象たる主人公が抱える問題について列挙する。

本作の主人公は子供を助けてトラックに轢かれ、異世界に転生するというあまりにも使い古された筋書きを辿り、ドスケベな格好のジジイ神軽いノリで与えられた力によって物語の中心に躍り出る。

この神授の力がとにかく強すぎる。本作の主な敵である天使・悪魔のいずれにも、主人公の力なしでは対抗することができないほどだ。したがって、本作のメインストーリーの中心で活躍するキャラ(とガチャで引いたキャラ)は皆、主人公と絆を結ぶことで分け与えられた力*17によって戦う。メインシナリオに登場しないキャラでも、個別シナリオで必ず主人公との出会い(キャラによっては性行為まで)が描かれ、なんらかの形で主人公と接点を持つことになる。

となると、多種多様なキャラクターと交流し、その全てに少なからず好印象を与えなければならない主人公の性格設定は自ずと定まってくる。そう、『お人好し』である。

悪事に消極的で、他者の善性を信じ、自身もまた他者に対して善行をなそうとする。善なるものには共感され、義に生きる者には認められ、悪なる者であってもそのひたむきさに襟を正す、典型的な『主人公』の人格。それがお人好し。

だが、本作はエロゲーである。お人好しの主人公が仲間に好かれつつ、さらに深いところ――性行為にまで(なるべくハイスピードで)及ぶシチュエーションが成立するようにしなければならない。

この無茶を通した結果、『スケベですぐ男に鼻の下を伸ばしなんなら即ヤリにまで及ぶのに皆に好かれ、讃えられる』というとても成立し難い人格が植え付けられたやべー奴が誕生するのである。


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↑これらはあくまでも一例であり、実際には新キャラに会うたびほぼ毎回こうした色ボケを繰り返す。これもまた天丼である。

 

一応転生前の彼は社会人であり、「営業回りで忙しく浮ついた遊びができなかった」だの、「親身に接してくれた社長に憧れていた」だのと思い出したように元社会人アピールを繰り返すのだが、その一方で異世界に転生してからの成り行きを(選択肢次第とはいえ)ゲームみたいで面白い」だの「軍学校なら鍛錬してる若い雄がいっぱいいるだろうな」だのと自分本位で楽しむ言動も目立つ。理不尽な戦乱に苦しむ人々を憂い、世界の危機に挑む真剣さがイマイチ伝わってこないのだ。ましてや、出会う男ほぼ全員に鼻の下を伸ばすようなドスケベならなおのことである。

にもかかわらず、本作においては彼の行動が世界の行く末を左右する。各国のトップとあれよあれよという間に仲良くなっていき、次々と力を分け与えていく様子は、惚れっぽいだの気が多いだのといった形容が似合う領域を遥かに通り越し、まさしく『節操がない』。このような共感し難い主人公が不自然かつ過剰に持ち上げられ、あらゆる事件の解決が残らず彼の手柄になってゆくさまを眉ひとつ動かさずに見届ける精神力のない方には、本作のシナリオを真面目に読むことはお勧めできない。

また、自分に自信が持てない若者に対し「ひたむきな努力が報われないはずがない」と何の屈託もなく言い切れる社畜根性悪い意味での根の明るさも、彼の人格をチグハグに見せている要因の一つであろう。激務の営業職に休む間もなく勤めていたのなら、どんなに努力しても報われないことの一つや二つくらいあるということを身に染みて理解していそうなものだが……

お前タチる時だけ急に饒舌になるよな(悪口)

さらに、主人公のマイナスポイントはメインシナリオでの言動だけに留まらない。本作最大のウリであるはずのエロイベント、とりわけ彼がタチを務めるシナリオにおける彼の口ぶりが、普段の彼とあまりにも乖離しているのだ。

例として、本作最初のエロイベントであるエクスカリバーとの絡みを挙げたい。主人公は「マスターともっと強い繋がりが欲しい」と性交を求めるエクスカリバーに当初は戸惑うが、割とすぐその気になって交合を始める。出会ったばかり、さらにいえば覚醒して意識を持ったばかり(≒生まれたて)のエクスカリバーに対して「どうして欲しいの?言ってごらん?」「エッチな体だなあ」と堂に入った言葉責めを行う姿は、まるでベッドの上でだけ*18人格が切り替わるスイッチでも用意してあるかのようだ。

その後も各章のクライマックスごとに他のキャラクターとの性交シーンが用意されているのだが、主人公はその多く*19においてタチを務め、またもいやらしい物言いを繰り返す。「一人でしたことあるだろ?どんな風にしてるのか見せてくれよ」「すげえ締め付け」「ふうん、そこ(乳首)が弱点なんだな」などなど、枚挙に暇がない。しつこいほどに『お人好し』を強調される本編の彼と比べ、どうにもオラつきがすぎる。キャラクター個別の寝室クエストでも、タチに回る際は決まってねちっこく相手を責め立てるような物言いに終始するため、やはりオラつきの感が否めない。むしろ、ストーリー内のエロイベントよりも悪化しているとさえいえる*20。相手がいい男と見るなりいきなり脳と下半身が直結されるような切り替えの早さは、共感や感情移入を誘うタイプのキャラクターとはかけ離れた、まるで異次元の生命体のように感じられることだろう。

ちなみに、本作のキャッチコピーは『共感できる「推し」が見つかるRPG』である。これだけキャラクターがいれば確かに共感できる「推し」の一人や二人は見つけられるかもしれないが、肝心の主人公が一番「共感しづらい」のはいかがなものであろうか

推敲、おぼえていますか

主人公の異次元思考に加えて本作への没入を妨げる要素、それは誤字脱字である。

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↑知略を巡らせるならまず『好機』をちゃんと窺ってくれ。

 

本作の地の文や台詞回しは多少古さや拙さを感じるくらいで、まぁストーリーにそこまで力を入れていないゲームならこれくらいだろうという妥協点を見出せるレベルのクオリティなのだが、話の筋や描写は別にしてとにかく誤字脱字が多い。上述のような変換ミスなのかそもそも間違えているのかわからないような誤字に出くわすと、えも言われぬいたたまれなさが胸に込み上げてくる。

 

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↑感動させるシーンにこの脱字はちょっと。

 

脱字もかなり深刻だ。どんなに感動を誘おうとするシナリオであっても、上掲のような拙すぎる脱字が視界に入ってきては台無しである。一部場面では、この手のゲームではおおよそあってはならないはずのキャラクター名の脱字まで豪快にブチかましており、没入感を削ぐ要因の一つとなっている。

また、エロイベント中のセリフなので抜粋は避けたが、「(キャラクター名)の尻」と書くべきところ「の」が抜けて「(キャラクター名)尻」となってしまい、さながら謎の造語のようになってしまっていた時は頭を抱えた。エロイベント中にこんな目立つ脱字をかまされてしまっては勃つものも勃たない。ズボンを下ろそうとしていたこっちの気持ちにもなってくれ。

そして、誤字脱字の嵐をどうにか乗り越えてシナリオを読み進めようにも、次なる難関が待ち構えている。

そんなフォントで大丈夫か?

大丈夫じゃない、問題だ。


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絶妙に気分が悪くなる改行の例。他にも『……』の途中で改行を入れたりするので、モヤモヤ感がどうにも拭えない。

 

本作のシナリオはエロシーンを除いて基本的にスマホ縦持ち用に最適化されているのだが、これまでご覧いただいたプレイ画面からもわかるように、なぜかテキストボックス内の文字が妙にデカい

ただでさえ狭いテキストボックス内にかんたんスマホの文字かと見紛うデカフォントを配置した結果、画面端の折り返しまでに詰め込める文字数はわずか15文字。そんなカッツカツのクソ狭空間の中であまつさえ(まるで横持ちゲームのような)改行など入れるものだから、上に挙げたような気持ち悪い改行が次々と襲いかかってくる。頻発する誤字脱字に加えてそもそもの文章が読みづらいとあれば、とてもまともに物語を読み進める気分になどなれないことだろう。

つまるところ、本作はスマホで遊ぶことを前提にしている割に、スマホで文章を読むことを前提に考えていないのである。テストプレイとか……していらっしゃらない?

 

周回要素が多すぎて、異世界のやつらにまるで太刀打ちできないんですが。

無心で回せ。回転数が全てだ。(至言)

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↑レイドを回り始めて気付く、絶望的な周回要求数。

 

さて、ここからは本作のもう一つの難点――周回について語る。

本作が基本無料RPGにありがちな「周回ゲー」であることは先に述べた通りだが、本作における周回要求コンテンツはあまりにも数が多い。レベルアップなどに必要な素材を得るためのデイリークエス、ガチャ産キャラに紐づいた武器を入手するためのウェポンクエス、限定のSSR神器やその限界突破素材を入手するためのレイドバトル、さらには一度クリアした後のストーリークエスも周回の対象となる。

さらに、要求される素材の量も凄まじい。特にレイドバトル限定のSSR神器を得るために必要な要求数をそろえようと思うと、どんなに多く素材が落ちる難易度で遊んだとしても150回以上の周回をこなす必要がある。現状交換可能な神器は5種あるので、単純計算でも要求される周回数はその5倍。加えて神器の限界突破やそのほかの交換素材を狙おうとすると、更に周回数は増加する。

レイドバトルだけでこれなのだから、他の周回要素もこなそうとすると凄まじい勢いで時間とお金が溶けていく。簡単にやり切れるようなコンテンツ量では飽きられてしまう、希少なSSRの神器をガチャ以外の手段でそう簡単に手に入れられては困る、など事情があるのは理解できるが、それにしてもハードルが高すぎやしないだろうか。テストプレイとか……していらっしゃr

 


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↑各キャラの育成要素もてんこもり。もちろん必要な素材は全て周回で集める必要がある。

 

また、本作はキャラクターの育成ステータスもやたら豊富だ。先述の肉やクエストクリアでもらえる経験値で上がる「レベル」だけでなく、レベル上限を上げる「限界突破」、装備武器とは別枠で装備できる「専用武器」の解放、さらに専用武器によるステータス強化の値を上げる「能力解放」やら通常攻撃の性能を向上させる「攻撃強化」……と、サービスイン直後のゲームにしてはどうもやることが多すぎる。本作のプロモーション方針からして、ゲームに慣れ親しんでいない人にも遊んでほしいという思惑があるだろうということは最初に推測した通りだが、それにしてはあまりに複雑すぎる。飽きずに、諦めずに遊び続けてもらうことを考えて作っているのだろうか。テストプr

凶悪な周回要求と、途方もないやり込み要素。それらをフルに遊びこまなければ初心者ミッションのパネルを全て開けられない*21という仕様も相俟って、残念ながら本作はゲーム初心者には勧めづらいタイトルとなってしまっている。単に推しをガチャで引きたい、エロイベントを見たいというだけであれば、初心者でも楽しめるかもしれないが。

それでもクレサガXを応援したい件

さて、ここまで少々批判的な内容を書きすぎてしまった気がするが、私は『クレイヴ・サーガX』の今後に大いに期待している。

そもそも『ゲイ向けのゲームが大衆に広く知られたプラットフォームからリリースされる』という時点で、前代未聞の大事件である。確かに、上に挙げたストーリーや周回要素、(基本無料ゲームそのものの問題であるため本稿では省いたが)課金要素などの難はある。しかし、サービス当初から多数の人気漫画家・イラストレーターを起用し、幅広い層に向けてアプローチしていくなりふり構わない『攻め』の姿勢には感じ入るものがある。ゲームシステムやストーリーに真新しい要素を用意できずとも、コンセプトとビジュアル、そして何より下半身に訴求するエロ要素のパワーで押し通ろうとする戦略は、いっそ潔いとまで思えるほどだ

なんだかんだと言ってみたところで、まだリリースから一週間も経っていないゲームである。本作が運営の財布プレイヤーの股間の両方にとって心地よい、Win-Winなゲームに成長していくことを、心から楽しみにしている。

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。まずは周回を緩和してくれクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

 

                                  (終)

おまけ:イカれた推しキャラを紹介するぜ!

――と、ここまで真面目ぶって論じてみた結果すこぶる疲れたので、ここからは私の推しキャラを軽く紹介していこうと思う。

残念ながら運に恵まれていないのでおおむねSR・Rキャラの紹介になるが、その分読者の皆様も手に入れやすいということで平にご容赦を。

デフレヒト -ゴツムチ白ゴリラの痴態でサティスファクション-

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筋肉はゴリラ!牙はゴリラ!燃える瞳は原始のゴリラ!


というわけで、デフレヒトは見ての通りゴリラ獣人である。コピート・デ・ニエベ*22もかくやの純白の体毛は清廉潔白を連想させるが、その実は立身出世に励む野心家だ。

企業グループの経営者から一国の副大統領の座にまで駆け上がり、目的のためならば疑念を呑み込み、時に非情に振る舞うことも厭わない……と書いてしまうと、悪辣な人物のようにも思われるが、メイン・個別シナリオを読み込むと心根は優しい人情家であり、出世や立場のために為すべきことと捨てきれぬ情との軋轢に苦しんでいる面が見えてくる。寝室イベントの内容も『ストレス発散のために秘密クラブに通う』というものであり、彼が日頃いかに苛烈な葛藤に晒されているかを想像させられる。

戦闘時に使用する武器が何もかもを吹き飛ばしそうなビームバズーカであるあたりからも、あちらこちらから絡みつく厄介ごとに辟易とする彼の内面が見て取れる……というのは、さすがに考えすぎかもしれないが。


……まぁそんなことはともかくとして寝室イベントがめちゃくちゃエロくて実用性高いんですけどね!!

地位も立場もあるめっちゃマッチョな白ゴリラが惜しげもなく純白の裸身を晒して白濁に塗れる!淫らなポーズで不敵にほくそ笑みながら精○を搾り取る!!うーん俺の股間にアンビシャスレーザー*23!!

最高のシチュエーションに応えるかのように、文章やスチルの出来栄えも本作屈指のレベルに仕上がっている。副大統領としての厳粛さは口調にのみ名残り、昂りのままに肉棒を強請るその有様はまさしくケダモノのそれ。鼻腔を満たす精の臭いに痴れ切った表情と、純白の体毛に鮮やかに映える黄味がかった○液の濃厚な色合いがひたすら印象的な一夜に仕上がっている。白って200色あんねん、という言葉の意味がわかった気がする。

SRなので容易いとまでは言わないが、SSRよりはまだ入手可能性の高いキャラクターである。運良く手に入れた方は、是非今晩のオカズに用いて満足(サティスファクション)していただきたい。ゴリラだけに*24

シュミエル -物語の神に愛された天使-

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本作の主な敵である天使のうち、最も主人公と深く関わるのがこのシュミエルである。天使の割にやけにイモっぽい顔貌がかわいい(個人の感想です)。

『愚かな人間を正しく導く』という天使の教義に愚直なまでに忠実な彼は、ことあるごとに主人公と出くわしては声高に使命を叫ぶ。そんな彼は、言わば本作における『天使』とはなんたるかを説明する役割を負わされた存在といえる。杓子定規に教えに従うことしかできない彼の有様と、彼に指令を出すザラエルの(おおよそ気が狂っているとしか思えない)無茶振りを目の当たりにして、プレイヤーは『天使』のヤバさをありありと思い知らされるのである。

彼を語る上で欠かせない要素といえば、なんといってもメインシナリオにおける描写の充実ぶりであろう。

本作のメインシナリオがいつものメンバーによる他愛もないやり取りに終始するという問題点は先に述べた通りだが、シュミエルに関してはその限りではない。導師再臨の報によりヴェストリアに派遣されたシュミエルは主人公と出会い、彼と仲間たちが力を合わせて困難を乗り越えてゆく様を目の当たりにする。『人間は天使が導かなければならない愚かしい存在』と教え込まれていた彼だが、主人公たちの活躍に人間の善き面を見出し、従わない人間は殺してもよいとまで言い切るザラエルの教えに疑問を抱いてゆく。

己の信条にそぐわない人々の姿にアイデンティティを揺るがされ、その元凶たる導師=主人公に愛憎入り混じった感情を抱くシュミエルの葛藤は、他のキャラクターとは比にならないほど克明に描写され、(本作のシナリオにしては珍しく)プレイヤーの心を揺さぶる。

もちろん、本作がベタベタの冒険譚である以上、苦悩の末にシュミエルが辿り着く結論にはなんとなく想像がつく。だとしても、それに至るまでの過程がしっかりと描き込まれているだけで、感情移入の度合いが大きく違ってくるのだ。

総じて描写面に恵まれない本作において、主人公でさえ敵わないほどの丁寧な描き込みを受ける、まさに物語の神に愛された天使。それがシュミエルなのである。

……まぁ、よりにもよって主人公に惚れちゃうあたり、いかに物語の神に愛されていようと結局不幸なのではと思ってしまうのだが……

ノーチェ -敬虔なる大司教に潜む野心と獣性-

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はためくローブや前垂れと、その合間から覗く厳めしい鎧と逞しい肉体(となんか褌みたいな股座回りが印象的なノーチェは、イザリオ教の少年教皇・ニネに仕える大司教である。大司教という響きから想像されるものとはまるで違うその剛毅な肉体は、かつて彼が都市防衛の要たる騎士団長であった経歴に由来しており、今でもニネの身辺警護という形でその剛腕を振るっている。

一方、彼の周囲には黒いうわさが絶えない。というのも、彼が騎士団長から大司教に転職したのは誰あろうニネの能力*25によるものであり、いわば彼はニネによって活躍の場を追われたも同然なのだ。更に彼は原神王を崇拝する現在のイザリオ教の教義とは異なり、イザリオ教発祥当時の教義――すなわち、天使崇拝の教えを守り続ける派閥に所属している。今でこそニネに忠実な片腕である彼だが、その胸のうちに野心を秘めていると勘繰られてもおかしくないほど、状況証拠が揃ってしまっているのである。

彼が本当に野心家なのかどうかはメインシナリオのネタバレとなるためここでは伏せるが、彼の寝室イベントを見るに、普段見せる敬虔な大司教としての顔の裏側に牙剥く狼の如き獣性が眠っていることだけは間違いない事実である。幸い彼のレアリティは最低のRであるため、ゲームを進めてガチャを回していればいずれ出会えることだろう。元騎士団長ならではの切れ味鋭い暴れっぷりを、是非ご賞味あれ。

ロトン -一人称わいの職人ドワーフ(出っ腹スパッツ)!勝ったッ!-

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ほっほっほ、ドワーフ好きかい?うん、大好きさ!オイラもだーいすきでゲス!

この手のファンタジーには欠かせない短躯小肥の髭もじゃ種族ドワーフ。本作の世界では人間も獣人も亜人も区別なく平然と共存しているため、殊更にドワーフという存在の特異性が強調されることはない。というか、そもそもドワーフ』という語句そのものが滅多に使用されない。その数少ない使用例が彼――ロトンである。

メインシナリオでも活躍する彼は、とある目的からレジスタンスに身をやつした恩人ベルガモンドの頼れる相棒にして凄腕の技術者。やや口は悪いが面倒見がよく、レジスタンスの仲間からも慕われるよき『おやっさん』である。

この手のドワーフの例にもれずジジイ口調で、一人称は『わい』。立ち上る炎を思わせる髭と髪型に、コロコロと変わる豊かな表情。寸詰まりの体格にミチミチに詰め込まれた筋肉の盛り上がりと、ラフなシャツからはみ出たチャーミングな出っ腹。さらには全身にくまなく茂った体毛、そして何よりスパッツ越しにもわかる股間の著しい膨らみ――こうして身体的特徴を列挙するだけで、何やら胸と股間に込み上げるものがある。ステレオタイプな鎧兜姿ではないにせよ、彼もまた好事家の心を満たす、立派なドワーフなのである。

そんな彼の技術者としての一面は、寝室イベントにおいても十二分に発揮される。本作の寝室イベントではなかなか珍しい展開であるが、抜群のアングルと表情、そして執拗なまでの○○ヒダの描き込みは、マニアックな需要にこれでもかとぶっ刺さる。

見た目と寝室イベントの質は間違いなく(ごく個人的な意見としては)SSR級の彼だが、幸か不幸かレアリティはまたしても最低のRである。入手しやすいのはいいが、一線を張るには心許なさすぎる性能はどうもいただけない。愛しいキャラだからこそ、最前線でバリバリ活躍させたいのが人情というものだろう。

だから先程願ったのです。ロトンさんのSSRを実装してくれ、と。

フブキ -世界観に抗う孤高のどすこい野郎-

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鍛え上げた肉体脂肪の鎧を纏い、廻し一丁の裸形で肉弾戦に挑む猛者たち――日本の国技たる相撲は、ゲイ向け創作の分野においても人気の題材の一つだ。しかし本作の舞台は異世界ヴェストリア。当然ながら相撲などという異界の闘技が伝わっていようはずもない。これには全国の好角家(意味深)も落胆しきり……と、思いきや。

ご安心めされよ、本作にはこともあろうにたった一人で相撲要素を一手に引き受ける漢がいる。ヴェストリアに狂い咲く、相撲ならぬ『フブキ流』創始にして唯一の使い手・フブキ。堂々の土俵入りであります

堂々たる突っ張りの構えからも察せられる通り、フブキは相撲……によく似た彼独自の格闘術『フブキ流』を編み出し、究めんとする求道者である。夢中になると周りが見えなくなるきらいはあるものの、基本的に礼儀正しい犬獣人である彼は、主人公経由で知った『スモウ』『ヨコヅナ』という称号に憧れ、一層の研鑽に励むことになる。

力士というより野武士のような髷状の髪型に、気は優しくて力持ちを地で行くような太眉細目。惜しげもなくさらしたムチムチの上半身に、目を引くピンク色の乳頭デブ専の気がある方なら一目でキュン、と来てしまう抜群のキャラクタービジュアルは、尖った個性を持つ者の多いレアリティRのキャラクターの中でも特に際立っている。

でも力士なのに下半身の露出がないじゃん!とお嘆きの貴方、ご安心あれ。寝室イベントでは『フブキ流の道着』と称して、まさかの六尺褌(のような何か)を持ち出してきてくれるのだ……ってそこは廻しじゃないんかーい!スケベなので良しとしますが!!

……余談だが、フブキの寝室イベントにおける主人公は本作のエロイベントの中でも屈指のオラつきと強引さを発揮するため、オラついた主人公が苦手な方は注意されたし。スチルだけ見るって選択肢もアリですよ。

ガルゴ -ドカタの下着は褌一択!基本だよね!-

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土木作業員、あるいは建築作業員の通称を『ドカタ*26』という。労働の中で自然に鍛えられた肉体が醸し出す独特の荒々しい色気や、男所帯の醸し出す雰囲気、職業そのものに漂う『汚れ』のイメージ*27から、ゲイ向け創作の世界ではドカタが憧憬の象徴として描かれることもしばしばある。

大工の棟梁として部下たちに檄を飛ばす熊獣人・ガルゴも、そんな憧れベースで最適化された『ドカタ』である。叩き上げで培った技術と的確な指示で建築や修繕をたちどころにこなし、仕事を終えたら気前よく打ち上げに花を咲かせる――まさに理想の上司。強固なテンプレートの元に構築された『お約束』なイメージの産物ではあるが、そうはいっても抗いがたい魅力を感じてしまうのは確かだ。『王道』が面白くないわけではないことは、先にも述べた通りである。

そして何より彼、下着が六尺褌なのである。(とても大事なので強調)

寝室イベントで判明するのだが、地の文にも『六尺褌』との明言があるため、おそらくフブキの『限りなく六尺褌に近い道着』ではなく本物の六尺褌なのであろう。詳しい内容は伏せるが、寝室イベント自体もドカタというイメージに憧れる人なら必ず「そうそうこれこれ!」ボルテージアゲアゲになること間違いなしのシチュエーションなので、気になる方はぜひ入手して見ていただきたい。例によって彼もレアリティRなので、そう時間をかけずとも出会えるはずだ。

ちなみに某キャラの酒場イベントでは、主人公が転生前の世界でのお祭りについて言及する場面があるのだが、そこで某キャラは『褌』について知らない素振りを見せている。たまたまそのキャラが知らなかっただけとも思えるが、先述のフブキの『道着』といい、そもそもヴェストリアに褌という着衣およびそれを身に纏う文化が存在しているのかどうかは、少々怪しい面がある。

ガルゴさん。あんたの六尺褌、いったいどこから来たんでしょうかね

ブランドー -校長先生の秘密どころじゃない秘密-

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ブランドーは、とある軍学校の校長を務める猪獣人である。その物腰は軍事関係者のそれとは思えないほど穏やかで鷹揚だが、人を見る目は確かで、才能を持て余し孤立していたアーチェムを見出し、成長を促す活躍を見せている。

朗らかな笑顔とシャツからはみ出たふくよかな腹、教育者の権威の具現たる教鞭を手にしながらも厳格さを感じさせない和やかな雰囲気。優しい描線が連ねられたイラストのタッチも相俟って、外見とメインシナリオでの活躍を眺める限りでは『やさしいお父さん』といった形容が似合うキャラクターといえるだろう。レアリティはRなので懐にもやさしい

――しかし、そんな生ぬるい印象は寝室イベントで跡形もなく木端微塵にされる

例によって詳細は伏せるが、ブランドーの寝室イベントはメインシナリオとの乖離がとにかく凄まじい。優しい先生が実は……というギャップを狙ったものであろうが、そのような意図を図り切ったうえでもなおのこと衝撃を禁じ得ない、人によっては見たことを後悔するかもしれないレベル信じられない秘密が、明かされてしまうのである。

ブランドーが登場するメインシナリオを先に読んだ方は、どうか覚悟して寝室イベントをご覧いただきたい。また、ネタバレを恐れずに先に寝室イベントを見るという方は、その後メインシナリオを読んだ際に何とも言えない心持ちになってしまうことをお覚悟いただきたい。この校長先生、いろんな意味でヤバいのだ。本当に。

グングニル -この槍、悲愴がすぎる-

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さて、ここからはエクスカリバーなどと同じく『神器』に分類されるキャラクターたちを紹介していこう。容姿を一瞥しただけでは世界を破壊し尽くさんとする魔王か何かにしか思えない彼の名前はグングニル。見た目のイカツさに反して大変礼儀正しく、マスターのためなら自己犠牲すら厭わない全身これ忠義の塊のような神器である。

ゴミ捨て場に打ち捨てられていたところを発見されたという経歴もあってか、彼は生まれながらにしてあまりに悲愴な運命を背負わされている。

まず、彼はしきりに『前の主』としてかの北欧神話最高神オーディンの名を持ち出すのだが、そもそも導師の力によって覚醒し意識を持ったばかりの彼に前の主』など存在するはずがない。主人公が持つ転生前の(ゲームの)知識に引きずられ、居もしない『前の主』の存在を記憶に刷り込まれてしまったのだ。そんなことなどつゆ知らず、さもオーディンが実在するかの如く振る舞う彼の姿は痛々しく、せつない。もし自分に『前の主』などいないと知ってしまったら、彼はどうなってしまうのだろうか。

さらに彼の不幸は続く。彼の寝室イベントは酒場イベントで主人公と出会って覚醒した直後の物語なのだが、そこで彼はあまりに酷な仕打ちを受けてしまうのである。ここで詳細を語ることはできないが、廃棄場の奥で悪臭に塗れ続けた末、ようやく主と出会い魂と生きる意味を得たばかりの彼に対する仕打ちとしては最低最悪である。

なぜ彼ばかり、このように惨たらしい目に遭い続けなければならないのだろうか。寝室イベントのスチルの質は高く、シチュエーションも好きな人は好きなのだろうが、そもそもの生い立ちが悲しい彼に対しここまでの残酷を叩きつけられてしまってはもう抜ける抜けないの騒ぎではない股間ではなく頭に血流が――いや、怒りが込み上げてくる。

救いたい……グングニルたんを救いたい……

っていうか救われろマジで……!!

ウゴウ -中華風おっさんの無知シチュにご興味はおありで?-

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ウゴウ、と聞いてピンとくる方は結構な神話好き、あるいは中国の歴史に詳しい方であろう。漢字では『烏号』と書くこの名が持つ意味は『むせび泣き』。中国五帝最初の帝・黄帝が持っていたとされる名弓であり、のちに黄帝が仙人に転じて昇天した際、部下が彼を射ち落としてでも止めようとしたが果たせず、弓を抱えてむせび泣いたことからこの名がついたといわれている。

本作に登場するウゴウも、その名の由来に違わず結構な感激家である。神器として覚醒したばかりということもあり何を見ても感動が先に来る彼は、導師が自分を目覚めさせてくれたことに感動して泣き、オルトーのかわいさにも泣き、挙句の果てに激しいハグをする一人称『予』の中華風おっさんが、まるで子供のように目に映るすべてに情動を揺さぶられる姿は、本作における神器の設定あってこその超特殊な萌えシチュであるといえるだろう。

寝室イベントも、そんな彼の無知シチュ*28適性を見事に活かしている。言われるがままに意外にも筋肉質な裸体を晒し、淫らな姿勢のまま初めての快楽を刻み込まれてゆくその姿が、立体的なアングルが秀逸なスチルと共に艶やかに描き出されている。本作の中ではストレートにゲイ受けする容姿ではない方の彼だが、噛めば噛むほど滋味が湧き出るさながらスルメのような御仁であるので、引き当てた方は是非念入りに愛でていただきたい。いいですよ。おっさんの無知シチュ。

フレイ -頭のてっぺんからつま先までゴン太の超兄貴-

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推しキャラ紹介のラストを飾るのは、黄金の短髪褐色肌がまぶしい灼熱の銃剣・フレイである。全身くまなくバイィィィン!!という擬音が似合うムッチムチでゴッリゴリの肉体、特にラグビーボールを二つ連ねたような大胸筋がたまらない。腹回りや左腕に刻まれた緑のトライバルタトゥーも、重なり合う筋肉の陰影に絡みつくようでなんともセクシーだ。一目惚れ上等、街に繰り出せばきっと誰もが振り向く歩く筋肉城塞、それがフレイなのである。

容姿だけでも思わず『兄貴』と呼びたくなってしまう男らしさを誇る彼だが、酒場イベントでもその兄貴ぶりを遺憾なく発揮。初対面の主人公に「あんちゃんもよく見るとかわいい顔してんなぁ」と大胆不敵にアプローチし、嫉妬するエクスカリバーに「盗りゃしないさ。な!」と主人公の肩を抱き寄せながら豪語してみせる、というマッチョイズム全開のムーブをこれでもかと見せつけてくる。覚醒したてにもかかわらずこの豪気さ、本作に登場する神器の中でも屈指の大物と言えるだろう。SRだけど。

そんな彼の寝室イベントはもちろん迫力・ド興奮のシロモノなのだが、フレイ兄貴につられるように何故か主人公まで大幅パンプアップを果たしているところは少し笑える。多数のイラストレーターを起用している本作において、主人公の容姿が担当者によって異なることくらいは日常茶飯事だが、フレイ兄貴の寝室イベントにおける主人公は特に普段とのギャップが大きい。幸運にもフレイ兄貴を入手できた方は、設定が同じだけのパラレルワールドの話では?とまで思えるほどの絵面の差異を楽しみつつ、肉と肉がはじける音まで聞こえてきそうなパワフルなまぐわいを堪能していただきたい。

 

                            (今度こそ終)

画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:X版の直リンは流石に憚られるのでリンク先は通常版の公式。『X』の詳細は『R-18版はこちら』のボタンからチェックだ

*2:DMM GAMESのR-18作品を扱うレーベル

*3:『サンクタス戦記-GYEE-』『龍脈のアナザーエイドスR』など。また、LGBT向けという名目ではあるが、ライフワンダーズが運営するゲーム(『東京放課後サモナーズ』『LIVE A HERO』)も男性キャラクターの比率が高く、ゲイ層から厚い支持を受けている

*4:https://dmmgames.co.jp/recruit/data/

*5:『キラキラした』生活を送るリア充なゲイを指す造語。揶揄や皮肉を含んで使われることも少なくない

*6:様々な意味で使用される語句だが、ここでは「現実世界とつながりのある異世界」を舞台としたファンタジーを指す語句として扱う

*7:どちらかが妊娠するというわけではなく、コウノトリよろしく神霊が運んできてくれるらしい

*8:神器は除く

*9:伝説の武器が化身した特別なキャラクター。エクスカリバーゲイボルグミョルニルなどが該当

*10:SSRの第2イベントを除く

*11:攻め役。モノを入れる方

*12:ネコとも。受け役。モノが入る方

*13:何をもってハードとするかは人の基準によると思うが

*14:「スカトロ(排泄物プレイ)」の一種。お小水(なるべくボカした言い方)が絡む性行為のこと

*15:本作のキャラ・神器・武器のレアリティはSSR>SR>R(>武器のみN)。もちろん、レアリティが高ければ高いほど強い

*16:ちなみに、本作では獣人やドワーフのような亜人も等しく「人間」と称され、特段人間同士で差別や偏見が持たれている気配はない

*17:厳密には『主人公から分け与えられた力』によって当人の潜在能力がフルに発揮され、力を得る。なんにせよ、主人公なしに天使や悪魔と戦えないのは確かである

*18:この時エクスとは野外でまぐわっているのだが

*19:一応、ウケに回るシーンもなくはない

*20:一方、個別寝室でウケに回る際はむしろしおらしいほどに快楽に素直になり、ことあるごとに嬌声を上げているくらいなのだが

*21:レイドバトルを幾度も周回しなければ達成できないエクスカリバーの2段階限界突破や、かなりの量の経験値アイテムを要する主人公の最大レベルまでの強化、先述のウェポンクエストによる武器の完成など、膨大な周回を要求するミッションが多い

*22:バルセロナ動物園の人気者として知られた、アルビノ(先天性色素欠乏)のニシローランドゴリラの名前

*23:デフレヒトの通常攻撃の名称

*24:何のことか見当のつかない方は『亜空大作戦のテーマ』でググっていただきたい

*25:不思議な力で魔物を寄せ付けないらしい

*26:蔑称として使われることもあるので、口にする際はTPOにご注意を

*27:ここにおける『汚れ』は敬遠されるものではなく、むしろ歓迎されるものである。流れる汗を拭いもしない男らしさの象徴として『汚れ』を好むゲイは少なくないのだ

*28:知識が乏しい相手に何らかの詐術をもって性的な行為を行うシチュエーションのこと。その性質上、対象はショタやロリが適することが多く、ウゴウのように中年男性が適性を持つのは稀

屋久島灯台の話をさせてほしい

屋久灯台の話をさせてほしい。

www.town.yakushima.kagoshima.jp

 

私は屋久島に行ったことがない。

(さらに言うと九州に降り立ったことがない)

よって当然、屋久灯台にも行ったことがない。

そもそも出不精の身なので、よほどのことがない限り灯台一つを目当てにして観光旅行になど行きはしない。

もしもたまたま通りがかったところに灯台があったなら「いいな」と思い写真の二、三枚は撮るだろうが、逆を返せば自分にとって灯台とはせいぜいその程度の思い入れしかない存在である。

それがなぜ、わざわざ休眠状態だったブログを動かしてまで、しかもわざわざ南の果ての孤島に立つ灯台の話をしようと思ったのか。

それを説明するにはまず、『燈の守り人』なる擬人化プロジェクトについて語らなければならない。

 

akarinomoribito.com

 

日本のサブカル文化に『擬人化』というジャンルが定着して久しいが、本作は日本全国の灯台を擬人化するありそうでなかった……いやなさそうでなかったプロジェクトである。その発想はなかった。

prtimes.jp

最終的には88基の灯台を擬人化する予定*1で、キャラクターの活用権はモデルとなった灯台が立つ各自治体に進呈され、町おこしへの活用が期待される。また、各キャラには声優がキャスティングされ、YouTube上でオーディオドラマや各灯台の音声ガイドが公開されている。

実際にYouTube上で検索してみればわかると思うが、キャストの豪華さに反比例して再生数は伸び悩んでおり、本プロジェクトの知名度のなさが窺える。もっとも、このあたりには本作のメディアミックスの柱になり得るであろうWebtoonの制作遅延*2や、この手の擬人化ものが飽和の末に下火……というか、玉石混淆になっている現状も影響していると思われるが。今時、ただ擬人化しただけでどうにかなるものではないのである。

 

まあ、そんな世知辛い事情は抜きにして。

とりあえず公式サイトのキャラクター紹介を見ていただきたい。

akarinomoribito.com

パッと見はいかにもこの手の擬人化ものらしいイケメンぞろいである。とはいえ、決して似たりよったりの有象無象にはなっていない。ページを開いて少し眺めてみるだけでも、生真面目そうなヤツ、ダウナーそうなヤツ、ちょっと幼げなヤツ、ちょっとゴツめのヤツなど、それなりに個性豊かなメンツが揃っている。

だが、いくら個性があるといっても、あくまでも『イケメンの範疇での』個性である。

いかに差別化を図ったとしても、結局のところ麗しい外見と認識される範囲から抜け出すことはできていない*3

まあ、この手の作品のメインターゲットが(おそらく)女性である以上、そちらに受けのいいキャラクターをそろえざるを得ないという事情は十分理解できるのだが――などと考えながらスクロールを進めていくと、『それ』は現れる。

まあこんな感じですよね

ん?

えっ

え???????????????

!!!!!!!!!!!!??????????

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????????????????????



なんか

すごい

ゴツムチ半裸髭おっさん(CV:塩屋浩三)が

急に

生えた。

 

 

 

急に!!!!!!!!

生えた!!!!!!!!!!!!

 

akarinomoribito.com

ここまでお読みの方はすでに察してくださっているものと思うが、今回語りたい『屋久灯台』は実在の建築物ではなく、こちらのプロレスラーみたいなぶっとい、ぶっっっっとい御仁である。イケメンの群れから急にこんなドタイプのおっさんが飛び出してきたもんだから心臓が止まるかと思った。

なんやかんや38基もの灯台を無難に手堅くキャラクター化してきた『燈の守り人』プロジェクト、突然のご乱心である。漂うのは、言葉で語るまでもない圧倒的違和感。素人考えにもすわ路線変更かと身構えてしまうほど、屋久灯台は他の灯台と『色』が違いすぎるのである。わかりづらいたとえをするならば、『刀(ピー)乱舞に殴り込みをかけるゲイ向け同人ゲーのファン人気第2位くらいのキャラ』といったところだろうか。にこやかに騎乗位で搾り取ってくるスチルがありそう。

一方、他のキャラとの親和性を抜きにしてしげしげと眺めてみれば、もちろん擬人化ものとして外してはいけない筋――すなわち、元になった事物にちなんだ意匠はしっかりと取り入れてある。

肩に担いだ大綱は、屋久島に伝わる十五夜祭りで綱引きや相撲の土俵に用いられる綱に由来し、形状は屋久島に数多く伝わる龍神伝説をモチーフにしている。また、左肩から胸にかけての紋様はさながら屋久杉の枝のようで、豊かな屋久島の森をその身をもって体現している。

その堂々たる体躯も、樹齢二千年の縄文杉にインスピレーションを得たと言われれば思わず首を縦に振ってしまうほどの迫力がある。なるほど確かに、屋久島に建つ灯台の化身としてはこれ以上ないほどふさわしい姿だ。

――いや、まあ、ふさわしいとは、思いますけども。

流石に乳頭は省略気味だが乳輪はしっかり描かれてます

 

それにしたってこの恵体はヤバいでしょうよ!!!!!!!!!!!!!

何この雄っぱい!?何この腹筋!?腕太゛ッッッッッと!!!!胸毛腕毛手の甲にも毛毛毛毛毛生え生え生えてるしもう何!!!!この!!!!!男性ホルモンの化身みてえな灯台は!!!!!何なの!!!!!!!!????????

しかも男性キャラすら乳首が省略される今日この頃にちゃんと乳首がある!!エス!!イエス乳首!!!!ノー乳首ノーライフ!!!!!!

 

顔が良い。ひたすらに。顔が。良い。

つい興奮して身体の話ばかりしてしまったが、当然そのご尊顔も体に引けを取らないレベルで素敵だ。デカっ鼻と笑顔から覗く八重歯太眉の下のつぶらな瞳ツンツンヘアーともみあげ一体型顎髭つまるところ、好きな要素全部盛りこんなにんじんを目の前にぶら下げられたらもう千里の道でも1000km/hで疾走できそう。

そして何より、このイケメン一辺倒のプロジェクトの天井をぶち破るかの如くこんな雄ッ気ムンムンゴツムチ半裸髭おっさんをお出ししてくるその気概に、もう完敗で乾杯なのである。根っこが天邪鬼なので、こういうことされると好きにならざるを得ない、応援せざるを得ないのです私。

 

youtu.be

ビジュアルも素晴らしいが、声優さんのチョイスも大変に良い。

ふくよかだったりひょうきんだったりするキャラの声を当てられることの多い塩屋浩三さんだが、屋久灯台としての演技は硬軟取り混ぜた変化球といった印象。冒頭でサルたちを一喝する野太い声と、人の営みを見守り彼らの日々の暮らしに一喜一憂する優しく柔らかな声の使い分けで、屋久灯台の持つ『巨木のような豪快さ』と『温かい包容力*4をいずれも豊かに表現している。

荒波に揉まれる補給船をただ見ていることしかできない歯がゆさを『情けない』と自嘲しつつ、それでも祈ることをやめない健気さには特に胸を打たれた。自然に翻弄されながらも強く生き抜く人間を愛し、その喜びを自分の幸せとして受容できる――なんてこころのうつくしい灯台なんだ。むしろ聴いてるこっちの方が情けなくなってくるぞ。私も屋久灯台さんを見習ってもっと広い心を持ちたい……

当人は『まさか灯台を演じるとは*5』と驚かれていたようだが、バッチリ合ってますよ灯台役。これ以上はないってほどしっくりきてる。たぶん声込みで抱かれたい灯台ナンバー1決定戦やったら勝てる。

youtu.be

ちなみに、同じく塩屋さんによる音声ガイドもある。こちらはあくまでも屋久灯台ではなく塩屋さんご本人のナレーションだが、仮にこれを屋久灯台さんが読んでいると考えると、あの巨体*6をアフレコブースに押し込めて一生懸命真面目なナレ読みをしている姿が容易に想像できてなんだか面白い。

いとおしい……いとおしすぎるぞ、この灯台……!!

 

とまぁ、ビジュアルとオーディオドラマ15分強しか供給がないようなキャラクターに、かくも私は惹かれ始めてしまっているのである。

どうしたらいい。どうしたらこの人を応援できる。

一人で延々と幻想夜話を聴き続ければいいのか?マジで屋久灯台聖地巡礼するしかないのか?何かグッズとかないのか?

燈の守り人3d-mall.y-artfactory.jp

 

……とか思っていたら、公式ショップで他のキャラのアクスタやデフォルメ頭部フィギュア(正直あんまりかわいくないが)が売っているらしいので、多分そのうち屋久灯台のグッズも売り出すだろう。とりあえずそれは買うことにする。

いやあ、どこから何の沼に落ちるかわからないものですね。みなさんも急な沼落ちにはくれぐれもご注意ください。特にそんなにメジャーじゃないジャンルの特段光の当たらなさそうなキャラクターへの沼落ちには、特に。

まぁ、そういうキャラだからこそ惹かれる性分なのかもしれませんけども。

 

(特にオチもなく終わり)

 

※02/07追記

公式からの唯一の供給を更に噛み締めるべく、幻想夜話の内容を書き起こしてみました。手元にテキストを置きながら聴きたい方や、忙しくてドラマを聴く余裕がない方にオヌヌメです。

でも忙しい人はそのうち忙しくない時にぜってぇ聴いてくれよな!!

https://privatter.net/p/9754967

 

*1:2023年2月現在擬人化済みの灯台は38基

*2:一部ニュースサイトでは『2022年3月(8月、11月とも)公開予定』の記述があるが、現在の公式サイトでは『2023年春公開』となっている

*3:思いっきりショタっ子に振り切った菅島灯台など、ごく一部に攻めの姿勢が見られはする

*4:公式Twitterでの形容。 https://twitter.com/akarinomoribito/status/1619621378432319488?s=20&t=EVfUutPs0QytwSEBC-eKNQ

*5:こちらも公式Twitterでのコメント。 https://twitter.com/akarinomoribito/status/1619259114982342656?s=20&t=EVfUutPs0QytwSEBC-eKNQ

*6:もっとも、屋久灯台は公式設定で身長170cmなので見た目のインパクトほど巨漢というわけではないのだが