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クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい3

クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい。(3回目)

crave-saga.jp *1

場末のブログの戯言でも楽しんでくれる人がいるのなら、こんなに嬉しいことはない(率直な感想)

現在に至るまで多くの方にご愛顧いただいている前回記事『クレイヴ・サーガXの話をさせてほしい2』から早3カ月。

syumitoka.hatenablog.com

その間私は相変わらずクレサガ*2を遊び続けていたが、5月末開催の某イベント出展に向けての執筆作業の兼ね合いで、当ブログおよび前回記事の推しキャラ紹介については長らく更新を停止していた。更新停止中のクレサガの動向が良くも悪くも安定していた(後述)こともあり、わざわざ構想や執筆の時間を削ってまでブログを書き綴ろうと思えなかったのも正直なところである。大した影響力のない場末のブログ記事とはいえ、世に出すからには最低限情報の正確性と筋道の立った理論は必須となる。それをわざわざ練るだけのエネルギーを、当ブログに振り分ける余裕がなかったのだ。

www.pixiv.net

↑イベント向け新刊。現在は通販・DL販売中なので、よろしければぜひ。(宣伝)

そうして迎えたイベント当日。

苦労して脱稿した新刊はおかげさまで多くの方の手に届き、様々な同好の繋がりを楽しむことができて非常に満足したのだが、もう一つ喜ばしい出来事があった。なんとわざわざサークルブースを訪れてまで、当ブログのクレサガ記事の感想を寄せてくださる方がいらっしゃったのである。

もともとクレサガに寄せていた期待と、実際にお出しされたものとのギャップから生じた激しい情動を世界に叩きつけたいという独りよがりな願いのために執筆した記事ではあったが、想定以上の範囲に広まり、多くの方の共感を得られたことはとても嬉しい。まして、作者に直接思いを伝えに行きたくなるほどの文章を綴れたことは、文書きの端くれを自負している私にとって大きな自信につながる出来事である。

いやホントマジでありがとうございます。心が救われます。

今回はその場で伝えていただいた次回作への期待と、先日新たに公開されたメインストーリー第6章が思いのほか面白かったことへの喜びを原動力に、第3弾となるクレサガブログをお送りする。なお、その後いろいろあってだいぶモチベが減退したせいで結局脱稿が大幅に遅れたことは密に、密に……

 

なお、今回の記事はメインストーリープロローグ~第6章開催終了済みのイベントおよび各キャラクターの寝室イベントなどのネタバレを含む。特に第6章についてはストーリー後半の内容含め細かく触れていくので、気になる方はご注意いただきたい。

リリース100日を過ぎ早くも倦怠期突入

私がサボっていた間ブログを更新せずにいた間も、クレサガX自体はいつも通り週一のペースで新イベントを開催し続けており、先述の通り良くも悪くも安定した運営が続いていた。各回ごとに細かいゲームシステムの改良や難易度の調整はあれど、『第一週~第二週にストーリー付きイベント⇒第二週に周回応援系イベント⇒第三週~第四週にSR神器レイド⇒第四週にスコアアタック』の流れはここ3ヶ月の間全く変わっていない。あまりに変化がなさ過ぎて、サービス開始半年に満たない時期にして早くもマンネリの様相を呈し始めているほどである。

また、ストーリー付きイベントのシナリオ面についても安定傾向にあり、前回ブログでも紹介した初のストーリー付きイベントである『愛を込めて!Sweets Contest』で見られた手堅い構成が一貫されている。強いて言うならば4月頭の『花咲かせRock!カラオケ大作戦』のみ少々シナリオの質が劣っている*3面が見られたが、以降は持ち直しており、現在開催中の『盛夏!!潮騒のサバイバルアイランド』に至るまで安定した傾向が続いている。限定ガチャのキャラ・神器や配布キャラの魅力を引き出しつつ、いつものパーティメンバーや既存のガチャ産キャラと交流させて物語を転がす、という基本的なフォーマットはすでに確立されており、定められた枠組みの範疇の『面白さ』は最早担保されたも同然と見ていいだろう。

しかし、どれだけイベントを繰り返したところで、本作の物語の中心たるメインストーリーは一向に前に進まない。イベントで描かれる物語はあくまでもメインストーリーの外伝、いわゆる『寄り道』であり、展開の規模やスケール感という点においてはどうしても小さくならざるを得ない。

雨天が続く村に晴れ間をもたらす、という目標があった『雨よやめ!晴天のトレジャーハント』やあるトラブルからの脱出が主題の『サバイバルアイランド』以外のイベントストーリーの中心がいずれも個人の問題*4に終始していたことからもわかるように、本作のイベントはあくまでもキャラクターの掘り下げに寄与する面が強く、本筋に関わる重大な事実が明かされるようなことはほとんどないのである。

いくら本作が致命的なレベルのキャラ描写不足にあえいでいるとはいえ、小規模なストーリー展開でただキャラの魅力を深堀するばかりではダイナミズムに欠ける――などと考えていたところに投入されたのが、メインストーリー第6章である。

傲慢かもしれないが「やればできるじゃん」と思わざるを得なかった

正直な話、私のメインストーリー第6章への期待値はさして高いものではなかった。

先述の通り、イベントのストーリーはそれなりに安定傾向を示してきている。しかし、それはあくまでも『それなり』の範疇における安定である。クレサガの中ではよくできた方、というだけで、他のゲームのシナリオや別ジャンルの物語と比べてしまうと、どうしても劣る面が見受けられる。

これまでも幾度となく指摘している『描写の不足』はもちろんのこと、場当たり的な展開の唐突さ、人類存亡をかけた戦いに臨んでいるとはとても思えない主人公一行の緊張感のなさノルマ消化の如く行われるセッ結界張りなど、論っていけばキリがない。加えてこれまで指摘してきたような誤字・脱字改行の不行き届きなどが重なり、物語を読ませるにあたって最重要課題ともいえる没入感も削ぎに削がれる始末。これらの諸問題が解決されないことには、本作に未来はないとまで思えてしまうほどだ。

そうした数々の欠点を抱えたメインストーリーの続きとして公開された第6章は、必ずしも他のゲームのそれに追随するほど素晴らしい物語というわけではなかった。しかし、それでもなお私が第6章に感銘を受けたのは、ひとえにその内容・体裁からより良くしていこうという志を感じ取ることができたからである。これまで私が指摘してきた物語上の不備やUIの行き届きの悪さが、確かに改善されていたのだ。

ここがすごいよメイン第6章!

誤字・脱字・気持ち悪い改行、ほぼ撲滅

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↑鍵カッコの途中で改行しない……だと……!?

 

まず第一に評価したいのが、再三にわたって指摘してきた『誤字・脱字』や『不適切な改行』がほぼなくなっていることである。特に誤字・脱字についてはこれまでのアップデートで改善の兆しがまるで見られなかったこともあり、「ようやくか……!」と思わず拳を握ってしまった。

これまでのメンテナンスで何度か誤字・脱字の修正がアナウンスされた際は、わざわざその真偽を確かめるためにメインストーリーを読み返すことまでしたのだが、早い段階で重大な誤字*5に行き当たってしまい大いに萎えた思い出がある。最初のブログで取り上げた「ありがとうござます」も全く直っておらず、思わずやる気あんのかこの運営は、とスマホを投げたくなってしまったほどだ。

それがどうだ。今回更新されたメインストーリー第6章には、目立つ誤字・脱字*6はほとんどない。それどころか、「連続した三点リーダの途中で改行」「鍵括弧の途中の二、三文字で無駄に改行」といった気持ち悪い改行の数々が一切ない。神経質なほどに細かい改行を連発してまで、そうした生理的に不快な改行をことごとく回避しているのである。

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↑一応、このようにちょっと引っかかる改行が見られる場面もあるので、100%撲滅されたというわけではないのだが、それでも頻度は激減している

 

誤字・脱字はともかく、改行については気になる人が気にするだけのほんのちょっとした点ではあるのだが、この点への改善がもたらす効果は存外に大きい。何の引っ掛かりもなく、一行一行をしっかりと噛み締めながら文章を読み進められるというだけで、物語への没入度は段違いに上昇する

この時点ですでに、第6章はこれまでのどのストーリーよりも優れていると言い切ってしまっても過言ではない。それほどまでに、第6章の文章の体裁はきれいに整っていたのである。

主人公、ついにスケベ以外の選択肢を覚える

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↑粗探しのつもりで漁ってみても、ここの上の選択肢がややセクハラに見える程度である

 

続いての評価点は、これまでのストーリーでは『お約束』や『天丼』を通り越してもはや恒例行事と化しつつあった主人公の色ボケ選択肢が消滅したことである。

これまではあらゆる初対面の男に対し即座に品定めを行い、相手がガチムチの大男であろうと淑やかなショタっ子であろうと情け容赦なく性的魅力を見出しては鼻の下を伸ばしていた主人公だが、今回は一味違う。色ボケ選択肢そのものが全くと言っていいほど出現しなくなったのだ。

これまでの主人公であれば、初めて出会うキャラクターを一目見ただけで『カッコイイ』『カワイイ』『好き』などと目をハートにして*7口走っていたはずだが、第6章における主人公はそういった言動は一切行わない。物語の最後にはお約束としてウィールとの結界張りが行われる上、冒頭で『昨晩はシュミエルと一夜を過ごした』とオルトーに暴露されたりはするものの、これまでのように行く先々で股間を膨らます万年発情期の男たらしとしての一面はまったくといっていいほど見られない。露骨すぎるレベルの方向転換である。

この変更点は、現時点ではあくまでも第6章にのみ適用されているものであるため、これまで主人公がしでかしてきた下半身本位の言動のすべてがなかったことになるわけではない。しかしたとえ途中からであっても、主人公の異常な人格の発露が食い止められたことは、本作の大きな問題である『主人公の人格の不安定性』『言動と評価の乖離』に歯止めをかける策としては有効と思われる。エロゲーの主人公である以上、寝室での言動はどうにか割り切れる*8にしても、せめてメインストーリーの間くらいは『世界を救うために遣わされた神絆の導師』としての振る舞いを見せてほしいものである。

舞台設定を生かした展開・描写、一行の会話劇にもたらされた変化

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↑クラップスはこの時諸事情で金に目が眩みきっており、本来の彼の人格に比べてやや思考が邪になってしまっているのだが、それでもウォレフの人々の基本的な価値基準・行動指針の第一が『富』にあることは確かである

 

本作の舞台となる都市・ウォレフは、ヴェストリア南部の商業都市国家群に数えられる都市の一つである。乾いた風が吹き荒れる砂漠の中に位置するウォレフは、巨大なカジノが立ち並ぶギャンブル都市であり、関西弁のような訛りで話す住民たちが商魂たくましく賭け事や商売で生計を立てている。

こうした背景設定の反映はモブの一人一人に至るまで徹底されている。一行への情報提供を渋っていた酒場の主人はステーキの追加注文であっさりと掌を返し、若者たちは入国手続き待ちの観光客たちに高値で飲食物を売りつけようと群がる。また、市長を務める元ギャンブラーのクラップスや、一行と行動を共にするディーラーのウィールといった面々も、いかにも金と欲で回る街の住人らしい言動を見せる。

これらのキャラクターの一挙手一投足からは、これまでのシナリオではあまり焦点が当てられてこなかったヴェストリアの経済面を垣間見ることもでき、なかなかに興味深い。巨額の入国料を要求するウォレフのカジノに入り浸ることができるような富裕層の存在を考えると、これまで明確には描かれてこなかった国ごと・階層ごとの格差などもなんとなく透けて見えてくる。『カジノ都市』という設定が単に目を引くだけのものに終わらず、ディテールが作り込まれた『世界の一部』として描写されていることは、第6章の評価点の一つとして挙げるに十分な要素であろう。

 


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↑口を開けば天丼ギャグか導師の取り合いをするばかりだったパーティメンバーだが、今回は土地柄に合わせた世間話や互いの心配事、今後の課題などを話し合う場面が多い。

 

もう一つの要素である『砂漠』の描写も丁寧だ。冒頭から昼夜の寒暖差が激しいことに触れ、いざ砂漠に出ればエクスが厚い毛皮をまとったハクマやガブの体温を心配し、さらに進むと揺らめく蜃気楼や立ち昇る砂嵐に翻弄され――と、砂漠で発生しそうなシチュエーションやイベントはほぼほぼ押さえられている。

ウィールを加えた一行のやり取りも全体的にテンポがよく、その内容も第5章までのように天丼ネタ一辺倒にはなっていない。先述のエクスがハクマを心配する、という場面ひとつとっても、第5章で描かれたエクスとハクマの大喧嘩と仲直りを反映したものになっており、シナリオの連続性をしっかり描写できている。もちろんお約束としてエクス・ハクマによる導師の取り合いはあるが、今回はそこにシュミエルが加わったことで、これまでとはまた違う風味を醸し出している。


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↑第5章で仲間になってからまだ日が浅いシュミエルは、堕天して翼を失ったことへの感想を述べるなど、しっかり前章の内容を引き継いだ会話をする。恋敵にあたるハクマやエクスとの距離の取り方も絶妙だ

 

導師への好意を隠さず常軌を逸した猛アタックを続けるエクス。そんなエクスにツッコミを入れつつ自身も導師への慕情を隠せないハクマ。そして二人のやり取りを元天使らしくやや上から目線で傍観しつつ、導師と結ばれるのは自分であると信じて疑わないシュミエル――と、三者三様の想いが交錯するさまは、これまでの平板な会話劇にちょうどよい変化をもたらしている。無論、この三すくみも工夫なく繰り返せばただのルーティーンに堕してしまう危険性は否めないが、それでもこれまでの退屈な道中劇に一石を投じてくれたのは事実である。今後、彼ら三人をはじめパーティメンバーの関係性にさらなる化学反応が起こることを期待したい。

敵の残虐性がもたらす緊張感とカタルシス

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↑本作に登場する悪魔の中でも屈指の猟奇性を露にするフォカロル。相手の殺害を平然とほのめかし、導師一行すら自らの玩具としか見ていないその姿は、まさしく六柱の一角に相応しい凶悪さである

第6章で一行の前に立ちはだかる敵は、悪魔の中でも特に強力な『六柱*9』のフォカロルである。可愛らしい少年*10のような容姿をしている彼だが、その本性はそんじょそこらの悪魔も裸足で逃げ出す残虐非道の輩であり、口を開けば「殺しちゃうぞ☆」とのたまう猟奇的なショタっ子である。後述する通り、この手のファンタジーの強敵枠にいがちなステレオタイプの悪役ではあるのだが、下手にひねらず鉄板のキャラ造形に忠実に描写されたその人格は、読者に強烈な印象をもたらす。

作中での言動も悪辣そのものだ。クラップスの悩みに付け込んで騙し、安寧を約束すると見せかけて謀略を巡らせ、ウォレフとそこに住まう者すべてを己の遊び道具とする卑劣かつ身勝手な企みを実行に移す。間接的にとはいえ、彼の企みが原因でゲストキャラの身内に死人が出ているという点もインパクトが大きい。第2章でテサロニア兵が悪魔に蹴散らされる場面など、これまでも明らかに死者が出ている描写はあったが、今回は「主人公たちを誘い出すためだけに人質が一人ずつ嬲り殺しにされる」「再会も叶わないまま身内が死ぬ」と、精神を抉るような死に様が多く、翻ってフォカロルをはじめとする敵陣営の残虐性をより引き立てている。

また、終盤で露呈する『細かい部分を疎かにしたせいで敗北につながる隙を晒す』という弱点も見逃せない。己の快楽を何より優先し、癇癪のままに他人をいたぶって働かせるような輩のやることには、必ず相応の杜撰さが表れる――窮地からの大逆転にあたってのロジックが、そのままフォカロルの人物像を裏打ちする補強になっているというのは、かなり巧い構成である。

導師最大の危機、浮き彫りにされる心の弱さ

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↑オルトー不在、他の仲間は罠で全滅、残るはクラップスとウィールのみ……と、極限まで追い詰められる主人公。善意一つだけであらゆる困難を乗り越えてきた彼らしからぬ失意と絶望が、彼にとっての『アキレス腱』を明らかにする

これまでの本作のシナリオにおいて、主人公たる導師は基本的に『強く、正しい』存在であった。シュミエルに矢を突き付けられても一切怯まず*11、手痛い敗北を喫せば素直に力不足を認めて鍛錬に励み*12、『世界を守りたい』という意志だけでボロボロの身体を立ち上がらせる*13……など、『元一般人である』というプロフィールを逸脱した活躍の例を挙げていけば枚挙に暇がない。第5章までの主人公は(どうしようもないスケベぶりを除けば)基本的に『称えられる英雄』であり、多少心中に不安を抱えることがあっても、それがドラマの中で大きくクローズアップされることは皆無に等しかった。

しかし第6章では、フォカロルの罠にかけられてパーティメンバーが一時全滅するという未曽有の危機に際し、主人公がこれまでにないほど弱気な姿を見せる。一人、また一人と消えてゆく仲間を前に涙を流し、ついには「自分も仲間の元に逝った方がよいのでは」とまで思い詰める主人公の姿は、これまでの物語にはない悲壮感と緊迫感をもたらしてくれた。従来はやれ危機だなんだと急き立てられていても『結局導師サマがどうにかしちゃうんでしょ?』とタカをくくってしまうところがあったが、今回はその導師が思いっきり絶望して頭を抱えているので、(最後はハッピーエンドに終わるのが目に見えているとしても)思いのほかハラハラさせられてしまったのだ。

これまで(男と見ればすぐに抱いて抱かれる尻軽さを除けば)完全無欠にも近い描かれ方をしていた主人公が見せた、初めてといっていい『心の弱さ』。どんなに好意的な描かれ方をしていたとしても、一切の陰りのない存在は嘘くさく、薄っぺらく見えてしまうものである。今回初めて露になった主人公の弱点――『仲間への依存心』こそ、これまで散々な言われようをされてきた主人公というキャラクターの好感度向上のカギとなるのではないだろうか。今後、この点を活かしたストーリー展開が行われることに期待したい。

ここがちょっとなメイン第6章!

王道と言えば聞こえはいいけれど

本作が王道のファンタジーを志向していることは既知の事実だが、第6章の重要なファクターである金がすべてのカジノ都市猟奇的なショタ一人ずつ離脱していく仲間*14などはいかにもありきたりな要素であり、それらを用いて練り上げた物語が手垢のついた既視感の強いものに見えてしまうことはどうしても否めない。もっとも、以前のブログでも述べたように、たとえ筋書きが凡庸であっても魅せ方次第で物語は十分に面白くなるものである。どうせならとことんベタなお話を貫き通し、綿密な描写とそこから生まれるキャラの魅力で面白さを作り出すというのも一つの手ではないだろうか。

活かされない能力、肩透かしのキャラクターデザイン

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↑なまじ超常的な力を宿しているがために『なんで使わないの?』というツッコミ潰しのために役立たずにならざるを得ないジンくんの気持ちにもなってあげてください。

 

大筋のストーリーは手堅くまとまっている第6章だが、それでも一部活かしきれていない設定や『これ必要だった?』と首を傾げざるを得ない要素は存在する。特に、新キャラクターのうちでも以下に挙げる二人については、イマイチ活躍しきれなかった印象が拭えない。
一人目は、第6章中盤で仲間入りする神器・ジン。いわゆる『ランプの魔人』をもとにしたキャラクターであり、手を触れずに物体を転送する特殊能力『アポート』を用いるという設定だが、このアポートは『特殊な結界が張られている』だの『そんなもの使わせるわけないだろ』などという理由で物語中2回も封じられてしまいほとんど役に立たない。仮にアポートが封じられずに使用できた場合、第6章終盤の展開が成り立たなくなるので、封じなければならない都合があることはわかるのだが……

そもそも、せっかくランプの魔人モチーフなのだから、能力をアポートのみに限定せず『3回だけどんな願いでも叶えられるが、限度がある上一度使い切るとしばらく動けない』などとすれば、(お約束の展開ではあるが)『くだらない願いをはずみで叶えてしまったせいで肝心な時に役に立たない』といった風に、より説得力のある理由で戦力から外すことができたのではないだろうか。

そしてもう一人、第6章中盤で一行の前に立ちはだかるハシサラームの幹部・ジー思わず目を見張るような股間の膨らみが特徴的だが、特に性豪であるとか、捕らえた相手を陵辱して楽しんでいるとか、そうした描写はない。そもそも『フォカロルの配下である』以上のパーソナリティが存在しない薄いキャラであることも問題なのだが、せっかくの尖ったキャラクターデザインが作中描写に生かされないのは少々残念である。そのクソデカチ〇ポは飾りか。

せっかくの美食なのだから、もっとたくさん味わいたい

第6章のシナリオ量はほかの章と大差なく、普段通りのボリュームで始まり終わってしまう。もう少し膨らませそうなところがあるにもかかわらず、消化不良気味の点を残して完結してしまうのはあまりにも惜しい。敵キャラクターも一度きりの出番では惜しいので、『実は生きていた』『蘇生させられた』などの理由付けを以て再登場を期待したい。もっとも、陳腐にならないような工夫は必要と思われるが……

今後もますますクレイヴ・サーガXを応援したい件

導師の旅路は再び東へ

第6章を経て、導師一行は四大国*15とクサンを巡り終え、広大なヴェストリアの大地を一通り踏破した。もちろん、それで物語が終わるわけではない。第4~6章で続々倒してきた悪魔六柱もまだ三体は残っており、加えて未だ明確な動きを見せない天界の動向も気にかかる。原神王アルケーが垣間見せる意味深な言動の理由、今のところ明らかになる気配を見せない『旅の最終目的*16、そして最後の審判』に晒されたヴェストリアの未来――まだまだ膨らませられそうな要素は無数に残されている。

第6章ラスト、一行は東を目指して再び旅に出る。果たして、その先に待っているのはどのような冒険なのか。これまで巡ってきた国で新たな事件が巻き起こるのか、それとも新たな舞台が待ち構えているのか。なんにせよ楽しみである。

……とか言っていたら、第6章終了直後であろうイベント『サバイバルアイランド』の冒頭で一行はいきなり南に向かっている。好意的に解釈すれば「最終的に東に向かうにあたって南向きの道筋を辿っている」のかもしれないが、水着イベントを行うにあたってメタ的な事情で南に向かわされている可能性も否めない。導師一行も話の都合には勝てないのか……まぁ元々だいぶご都合主義な話ですけどコレ

さらなる描写の充実を

ここまで散々語ってきた通り、第6章の面白さに寄与していた要素の多くは『描写の充実』にこそあったと考える。豊かな情景描写、キャラクターの内面を掘り下げる心情表現、そしてこれまでのストーリーを継承する連続性の描写――たとえ本作における『物語』が『ゲームのおまけ』あるいは『エロスチルのフレーバー』程度としか見られていない代物なのだとしても、最低限押さえておくべき描写を外してしまっては、『その程度』の役割すら果たせなくなるのだ。今後実装されるであろう第7章以降のストーリーだけでなく、新キャラクターの酒場や寝室*17にも、さらなる描写の充実を望みたいところである。

 

頑張れ負けるなクレイヴ・サーガX。もっとお前の話を聞かせてくれクレイヴ・サーガX。

ロトンさんのSSRを実装してくれクレイヴ・サーガX。

(終)

 

余談:導師の扱いに関するちょっとした恨み節

この項では、上でも少し触れた「いろいろあってモチベが減退した」の「いろいろあって」について軽く記そうと思ったのだが、そのためにはSSR魂友『コタロー』の寝室イベントの内容に深く触れねばならず、あまりにもネタバレが過ぎる。よってここでは、伏字でTwitterにつぶやけるサービス「ふせったー」を利用して書き記した当時の感想へのリンクを貼るだけにとどめておく。当ブログをお読みの諸兄においては、どうかネタバレまみれであること及び怨恨に満ちた殴り書きであることを了解の上で、伏字のリンクを開いていただきたい。

……この件については何を書こうとしても口汚くなってしまうので、最低限の筋道を立てた分析を行おうと試みている当ブログにそのまま書き記すのがはばかられたから、というのも理由である。

ともあれ、この場で私が言えるのはたった一つ。「お前らが生み出したキャラクターなんだから、責任を持って筋を通せ」という憤懣やる方ない思いだけである。第6章で示された未来への可能性が、今後あらゆる文芸面に反映されてゆくことを、切に願う。

そろそろいい加減にした方がいいんじゃないでしょうか。まだ続けるんですよね?このゲーム。

 

おまけ:イカれた推しキャラを紹介するぜ!3 ネタ切れ編

今回も推しキャラ紹介、いきます!

正直な話、おおむね紹介したいキャラは紹介しきってしまい、続々実装される新キャラもすべてを入手出来ているわけではないのでネタ切れの感は否めないのだが、それでもどうにか絞り出した『好き』の断片を可能な限り紹介していくことにする。

随時更新予定。

キンタ -こいのぼり 眺む男(おのこ)の 赤褌(ふどし)-

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5月初頭のイベント『親子の絆!どすこい武者修行』のメインキャラクターであり、期間限定ガチャの目玉でもあったキンタ。名前や容姿、そして何より5月頭のイベントの主役であることから、金太郎をモチーフにしたと思しき魂友である。

山姥の子ともいわれる金太郎よろしく、彼もまた出身地不明の怪童として描かれる。無二の怪力でヴェストリア中の猛者を倒して回っていた彼が、辺境の村オヤマーンの鍋料理屋・アッシュに敗北し、彼との再戦のために同居生活を始めるところから物語は始まる。強さとは他者に力で勝ることである、という自分本位の考えにとらわれていたキンタが、守るべきもののために力を奮うアッシュの背に『真の強さ』の在り方を悟るまでを丁寧に描いたイベントストーリーは、本作のエピソードの中でも出色といえるだろう*18

勇ましくも愛らしい『へ』の字の太眉、怪力無双の割に筋肉の隆起が乏しくむっちりとした腕脚豊富な表情差分で表現される喜怒哀楽の大きさ、後述するアッシュとの疑似親子関係など、魅力を語りだせばキリのない彼だが、成人向け作品らしいちょっとぶっ飛んだ性嗜好も持ち合わせている。なんと彼にとっては取っ組み合っての力比べこそが至上の快楽であり、戦いの最中に勃起し射精することすらあるのだという。いやいやそうはならんやろ、と突っ込みたくなる向きもあるが、まぁ命の危機に子孫を残そうとする本能が――なんて話はよく聞くし、そういうものだと思えば……いややっぱりそうはならんやろ。なっちゃってるので仕方ないんですが。

まぁそんなことはさておき、彼を語る上で欠かせないのはなんといっても赤褌であろう。寝室イベントで下着の描写が行われないキャラクターも多い本作だが、キンタは寝室2種いずれにおいても赤い六尺褌を着用していることが明確に示されており、褌フェチ*19にはたまらないキャラクターとなっている。特に寝室2では褌をずらしての自慰という思わず快哉を叫んでしまうような描写が克明に行われており、個人的にはこの一点のみにおいても彼を入手できた甲斐はあったと言い切れる*20

画角の関係上、褌をずらしているとわかる部分はほんのわずかしかないのだが、そのわずかな箇所にこだわりを込めて描写を加えてくださったことにはただただ感謝である。担当イラストレーターの雄大*21には頭が上がりません……ありがとうございます……

アッシュ -疑似親子、てぇてぇ-

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辺境の村・オヤマーンで名物『おやちゃん鍋*22』の店を営む中年・アッシュ。キンタすら打ち負かす無類の怪力の持ち主でありながら、気が利く人格者でもあり、村の人々からも大いに慕われている。かつてはやんちゃ者だった*23が、先代の店主に救われて改心し店を継いだ――というエピソードもあり、設定面においては総じてギャップ萌えに富んだキャラクターといえるだろう。

彼を語る上で欠かせないのは、なんといっても先に軽く触れたキンタとの疑似親子関係である。オヤマーンで暴れ回るキンタを真っ向から打ち負かしたアッシュは、再戦を望む彼に店の手伝いをさせ、同居生活を送ることになる。有り余る力の強さに心が伴っていないキンタを厳しく𠮟りつつ、胸の内では心配してもいるアッシュの温かい心情は、さながら実の父親のよう。一方のキンタも、悪態をついたり家出したりしつつもアッシュを『オヤジ』と呼んで慕っており、二人の間にイベントタイトル通りの『親子の絆』が育まれていることを窺わせる。

個人的にこの手の疑似親子、ひいてはそれ以上の関係に発展しうる歳の離れた関係には弱いので、アッシュとキンタの疑似親子関係にもすっかり夢中になってしまった。ゲーム中においても二人は同じ水属性・物理タイプの魂友としてシナジーがあるので、同じ部隊に編成して活躍させやすいのも嬉しいところである。

細目・髭面・角刈りと決して特徴のない顔貌というわけではないのに、しっかり『普通のおじさん』感を醸し出すことに成功しているキャラクターデザインもお見事。いわゆる乳袋よろしく布地の皺で殊更に強調された逞しい大胸筋も見逃せない。シャツの隙間から覗く豊かな胸毛に思い切りダイブして甘えたいと思うのは、きっと私だけではないはずだ。

ポング -結局マッスルん何号なの!?-

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ラフなタンクトップに覆われた太鼓腹がトレードマークの狸獣人・ポングは、伝説の鉱石ミスリルを求めて旅する傍ら自慢の発明で人助けをしている、自称『世界一の発明家』。親しみやすい関西風の訛り*24陽気な笑顔、発明品を無償で配って回る気前の良さはとても魅力的だ。わざわざ『よその国で習った』という注釈を入れてまで下着を六尺褌にするこだわりも見逃せない。確かにこの容姿なら六尺がよく似合う(断言)。艶めかしい六尺姿の彼が、恥も外聞も投げ捨てて涎を垂れ流す寝室イベントは必見である。

また、他キャラクターのウェポンクエストで取得できる特異武器*25や、イベント配布の武器*26の中には彼の手によるものと明言されているものが複数存在している。竜をかたどった弓矢羽に熊のぬいぐるみがついた矢からなる弓矢、なぜか力を爆増させる機能の付いた鍋掴み(というか手甲)、自動防御機能付き分福茶釜キャノンなど、奇妙奇天烈な見た目の武器があればだいたいポング作と考えてよいレベルの活躍ぶりである。実は発明家じゃなくて武器職人だったりしません?

ところで、彼の寝室イベントのタイトルは『これがマッスルん3号!』なのだが、イベント内で披露される筋トレマシンの名称は『マッスルんⅣ号・改』である*27。あまりに多くの発明をしてきたせいでナンバリングすらあやふやになっている、ということなのかもしれないが……果たして真相が明かされる日は来るのだろうか。いや案外いつかのアプデでしれっと修正されてるかもしれませんけど。

ネルフェン -いやマジでどうなってるんですかこの世界の治安-

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闇夜に溶ける黒衣を纏い、影となって市街を駆ける謎の男・ネルフェン。その正体は数十年にわたり活躍している凄腕のスパイである。クロード*28ゲイリー*29といい、初期実装SR魂友にはどうしてこう犯罪者が多いのか……

今のところイベント等への登場が一切ないこともあり、彼のパーソナリティについては謎が多い。知らずに近付いてきた主人公さえ屠ろうとする冷徹さや、長年磨き上げた己の技術への信頼(と慢心)、そしてテサロニアの機密を狙って城に忍び込んでいることは語られているが、彼が一体誰の依頼で機密を盗もうとしているのか何を思って危険な諜報員稼業に明け暮れているのか、などは未だ秘密のヴェールに包まれたままである。そのあたりも含めたミステリアスさが、彼の魅力をより引き立てているのかもしれない。

スパイという仕事柄もあってか、当ゲームのキャラクターの中では露出度がかなり低いのも特徴の一つ。だからといって性的魅力に乏しいというわけではなく、黒衣越しにも輪郭を覗かせる逞しい筋肉質の肉体や、目を凝らしてみると浮かんでくるボリューミーな股座の膨らみは、いわゆる『隠すエロさ』の何たるかを見る者にこれでもかと語りかけてくる。静謐ながら意志の強さを伺わせる鋭い瞳艶やかなロマンスグレーの髭といった要素も、この手の渋い親父に目がないファンにとってはたまらないだろう。

自身の攻撃に徹底的に特化した性能によってSRながらもかなりの火力が出せるため、ゲーム内においても(特に戦力が整わないうちは)火属性の物理アタッカーとして頼りにしているプレイヤーは少なくない。今後のSSR化が待たれる魂友の一人である。

ベルガモンド -能天気なカリスマが抱えるトラウマ-

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メインストーリー4章にて登場するスティリア共和国の新大統領・ベルガモンド。彼が国家の危機を乗り越え新たな指導者となるまでの詳しい経緯についてはメインストーリーを参照してもらうとして、ここでは彼の抱えるトラウマとそれが醸し出す独特の魅力について語ることにする。

先の大統領・メイナールに付き従い、スティリア共和国の副大統領として働いていたベルガモンド。しかしある日、ベルガモンドは変身能力を持つ悪魔六柱・ダンタリオンがいつの間にかメイナールを殺害し、彼に成り代わっていることを知ってしまう。周囲に真実を訴えるベルガモンドだが証拠はなく、大統領暗殺の容疑で身柄を拘束された上、機械による性的な拷問を受ける。ベルガモンドの無実を信じるロトンらによって救出こそされたものの、この時の記憶は激しい屈辱と共に心の傷としてベルガモンドの精神に深く刻み付けられているのである*30

主人公の何気ない一言でこの記憶を思い起こした際、ベルガモンドはその場ではおどけて誤魔化してみせるが、その後人知れず涙を流している。作中では国民からの求心力が高い一方、能天気で少々頼りないリーダー*31として描写されている彼だが、その一方、苦しみや悲しみを一人抱えたまま、努めて明るく振る舞う芯の強さも描かれていることが、一筋縄ではいかない魅力を醸し出している。明るい性格故に5章以降のメインストーリーやイベントではギャグ要員のように扱われることも多いベルガモンドだが、その心の内に秘めたものを振り返る時、私は彼の背負わされた壮絶な運命に想いを馳せずにはいられないのである。

……もっとも、その不幸な前歴ゆえに、陵辱や尊厳の破壊がものすごく似合ってしまうのもまた彼の悲しい性なのだが……

(『闇獅子王 ベルガモンド』の紹介へ続く)

 

ウィール -残酷な出目に翻弄される砂漠狐-

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商業都市ウォレフのカジノで辣腕を振るうディーラーのウィール。劇中で明言はされていないが、高い耳からしておそらくフェネック*32獣人であろう彼は、メインストーリー6章に深くかかわるゲストキャラであり、6章クリア後に交換できる配布SR魂友でもある。

ウォレフ特有の関西風の訛りで陽気に話し、話術を駆使して巧みに客の射幸心を煽る名うてのディーラーである彼だが、孤児院で両親の顔も知らずに育ったという地味にヘビーな過去がある。後述のクラップスに憧れてギャンブラーを志すも上手くいかず、足りない賭け金の代償に身体を売る*33など、今日に至るまでの間に結構な紆余曲折を経ている苦労人だ。

しかもそんな彼に、運命は更なる残酷を課す。当記事の本文でも語った通り、6章メインストーリー内ではゲストキャラの身内に複数の死人が出ているのだが、そのゲストキャラというのが誰あろうこのウィールなのである。身寄りのない中で共に育ってきた友も、ようやく存在を知ることができた両親も、その死に目に会うことすら許されず無惨に殺されてしまう。無情な現実に幾度となく涙を流しながらも、己の使命を背負って悪魔の脅威に立ち向かうウィールの姿は、6章のシナリオ全編を覆う本作屈指のドス黒い悪意を断ち切る尊い輝きに満ちている。

なお、ウィールは担当イラストレーターが共通しているSSR魂友・アドザ*34の酒場・寝室イベントにも登場する。朴訥で善良ながらも一般常識に欠けるアドザと、彼の教育係をクラップスに押し付けられて奮闘するウィールの交流ぶりはほのぼのとしていてとても微笑ましいので、運良く入手できた方はぜひご堪能あれ。

クラップス -ヴェストリアの首脳陣、ポンコツしかいない説-

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商業都市ウォレフの市長*35を務めるクラップスは、先述のウィール共々6章のゲストキャラとして活躍するキャラクター。かつては大勝ちか大負けしかしない伝説のギャンブラーと謳われた熊獣人である。

豪奢な装飾品を身に着け、タイトな紫のズボンと金のローブを素肌に纏った品のない華美な出で立ちからも透けて見える通り、彼の行動原理の第一はずばり『金』だ。市長を引き受けたのも贅沢な暮らし目当てが半分*36。自室には無数の財宝をコレクションし、いかなる行動もまず損得勘定から考える――金と欲望で回るカジノ都市の首長には相応しいかもしれないが、商業都市国家群の中でも有数の規模を誇る一大都市の有力者としてはいささか俗っぽさが前に出過ぎる人物である。プライベートでも導師一行を相手にしたサイコロ遊びでイカサマを働こうとしたり*37遊び相手との逢瀬大事な会議うっかりバッティングさせる*38など、何かとトホホなエピソードが目立つこんな人が市長で大丈夫か、ウォレフ。

もっとも、彼以外のヴェストリア首脳陣にも問題はある。豪快・鷹揚がすぎて周囲を振り回すカラハ、本人は清廉で聡明だが年若く他の首長の勢いを御しきれないニネ、公務嫌いでしょっちゅう逃げ出すベルガモンド。唯一威厳と貫録を保っていたセルドアも、2023年7月末開催のイベント『わっしょい!熱気と絆の夏祭り』において内に秘めてきた祭り好きの本性が覚醒してしまい、視察と称して一人で奇祭を満喫しに行く*39など、『ヴェストリアの平和の要』と称される人物にしてはいささか迂闊すぎる行動を取るようになってしまった。もしかしなくてもヴェストリア首脳陣、全員ポンコツなのでは?

とはいえ、欠点があるということはそれだけ身近に感じられ、親しみやすいということでもある。また、当然ながら各国首脳陣には欠点だけではなく美点もある。クラップスに限って列挙しても受けた恩を忘れない義理堅さ歴戦の博徒ならではの勝負強さ故郷への純粋な愛など様々な美徳が備わっており、決してマイナスポイントばかりが際立つような造形にはなっていない。考えてみれば、ポンコツに見えるということ自体が、そのキャラクターの多角的な掘り下げが行われていることの証明でもある。ともすれば近寄りがたく感じられてしまうような仰々しい地位にある人物が不意に見せる気の抜けた一面は、何かと登場機会の多い各国首脳陣ならではの魅力ともいえるだろう。

海風波乗り チャック -脱いでもかわいい砂達磨の君-

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以前*40紹介した雪山住まいの青年・チャック。その彼が故郷の砂浜に帰った際の姿がこの海風波乗り チャックである。2023年6月末開催のイベント『盛夏!!潮騒のサバイバルアイランド』の配布SR魂友であり、イベントに参加していれば誰でも入手することができた。また、2024年2月末より開設される『復刻交換所』にて固有チケットを使用する*41ことで過去の配布魂友・神器・武器を入手できるとアナウンスされているため、今後はイベントに参加しそびれたプレイヤーでも問題なく入手可能となる予定だ。

……無料でもらっちゃっていいんですか!?この小麦色むちぷにドスケベバデェを!?

元々防寒具の下に豊満な肢体を隠していることが明かされていたチャックだが、今回は真夏の砂浜に赴くにあたって分厚い着衣をすべて脱ぎ捨ててサーフパンツ一丁のラフにもほどがある姿に大・変・身。大胆に晒した柔肌は陽に灼けた健康的な色艶を纏い、快活な笑顔は照り付ける夏の日差しにもなお勝る眩しさ。上半身全体の蠱惑的な曲線もさることながら、大きく広げた股座のあからさまな膨らみと、担当イラストレーターの個性*42如実に表れたぶっっっっとい太腿は、今にも触れそうなほどの肉感を醸し出している。

はっきり言ってしまいましょう、ドスケベが過ぎる。なんだそのけしからんカラダは。

勿論、魅力的なのは見た目だけではない。以前の記事で書いた『活かせば光りそうな一面』はイベント及び酒場・寝室イベントにおいて存分に発揮されており、未知の島に遭難しても明るく振る舞う快活さはプレイヤーの心を大いに和ませた。謎のペーストで生臭い料理*43を作り、食べてもらえないと円らな瞳に涙を浮かべる面倒臭いいじらしい一面も相変わらずだ。

考えてみれば、防寒着をあれだけ着込んでいてなお可愛いのだから、脱いでも可愛いことはもはや自明の理。約束された勝利の太腿、荒波を圧倒的セクシーで乗りこなす真夏の小麦色王子、それが水着チャックなのである。

……まあ、ここまで熱を入れて語れる私でも流石にあの寝室*44はどうかと思うんですけど。

(今度こそ終)

画像出典:『クレイヴ・サーガX 神絆の導師』©️2022 EXNOA LLC

*1:今回もリンクは全年齢版なので、『X』版のプレイは「R-18版はこちら」のボタンからどうぞ

*2:毎回『X』を入れるのが面倒になったので、今回から略称は『クレサガ』で統一する

*3:同イベントはストーリーに関連する要素の相互関係が非常に弱く、『花見』『カラオケ』『新キャラ』で無理矢理作った三題噺の様相を呈していた

*4:『スイーツ』では料理人として成長するマゲイロの姿、『Rock』では音痴を克服せんとするガブの奮闘、『親子の絆』ではキンタが『真の強さ』を知るまでの過程……と、それぞれ個人の成長譚が物語の根幹に置かれていた

*5:メッセージウィンドウのキャラ名誤り、次期ならぬ「時期」族長など

*6:少なくとも自分が気付いた範囲には存在しない、はず

*7:そういえば今回、主人公が目をハートにする描写も大幅に減少していたような……

*8:割り切れる……割り切れ……割り切れないかも……

*9:第4章の敵・ダンタリオンや第5章の敵・ヴァレフォルも六柱の一体である。後者については自分から得意分野をバラして高笑いするようなマヌケなので、上級悪魔よりさらに格の高い悪魔とはとても思えないが……

*10:ただし、よく見ると股間は結構立派である

*11:第1章より。転生してからものの一週間も経っていないうちからこの度胸、いくらなんでも胆力が凄まじすぎる

*12:第2章より。パーティの中で一番冷静に戦況分析をしているのが主人公、という時点ですでにさすマス案件なのだが

*13:ケーリュケイオンのレイドバトル前後イベントを参照のこと

*14:いわゆる『俺に任せて先に行け』のパターンである

*15:テサロニア、ラピマニア、スティリア、商業都市国家群を指す。中立国家であるからなのか、クサンは四大国には含まれない模様

*16:まさかヴェストリア全土を結界で覆ったらそれで世界が救われる、というわけではあるまい

*17:本音を言えばこれまでに実装されたキャラクターの酒場や寝室もリニューアルしていただきたいところだが、さすがに費用対効果を考えると実現は難しいと思われる

*18:個人の感想です。イベント内で比べると『スイーツ≧親子の絆>盛夏>雨>花』くらいの順

*19:主に私とか

*20:キンタは恒常開催のガチャに追加されない期間限定魂友のため、かなりレアなキャラクターである。また、現状再入手(いわゆる復刻)の機会はない

*21:ちなみに当コーナーではキンタの紹介を以て、雄大氏が手掛けた魂友・神器をすべて紹介しきったことになる。ぶっちゃけ好きです。すごく好きです

*22:「おっちゃん鍋」や「おいちゃん鍋」ではないところに、本作の奇矯なネーミングセンスの炸裂ぶりが見て取れる

*23:酒場イベントで語ったところによると、なんと元マフィアだそうな。……「やんちゃ」で済ませていいことか?

*24:現状ポングの出身地について語られたことはないが、商業都市ウォレフの人々も同様に関西風の訛りで話すので、ひょっとしたらポングの出身はウォレフかその近辺かもしれない

*25:セブンの特異武器・クレイジーイエロー、キンタの特異武器・キンタ印の特製鍋掴みなど

*26:『グリダヴォル降臨戦』の配布武器・チャガダヴォル、『錦秋刀湯』の配布武器・朱葉爆裂砲など

*27:いつも通りの誤記とも思われるが、サービス開始1年が経過した今もなお修正されていないため、本当に何かしらの意図があってこのような名称にしている可能性も否定できない

*28:『クレサガの話2』にて紹介済みの悪徳医師。なお、ここで名前を挙げた中では彼のみ後にSSR昇格を果たしている

*29:風属性の初期実装SR魂友。幼少期から盗みで生計を立てているスリであり、イベント『雨よやめ!晴天のトレジャーハント』や、ゲイボルグ上位レイドの追加エピソードにも登場する

*30:なお、身柄を拘束されるところまではメインストーリーでも語られているが、拷問とそれにまつわるトラウマについてはベルガモンドの寝室1を閲覧しなければ判明しない

*31:公務や書類仕事を嫌ってしょっちゅう大統領府を抜け出し、副大統領のデフレヒトに叱られる姿が印象的

*32:フェネックギツネとも。砂漠に生息するキツネの一種

*33:ウィールの寝室イベント参照

*34:『クレサガの話4』にて紹介予定

*35:イベント『わっしょい!熱気と絆の夏祭り』以降は商業都市国家群全体の代表も兼任

*36:もう半分は純粋なウォレフへの愛着から

*37:クラップス酒場イベント参照。なお、イカサマのタネは『ポングに作ってもらったサイコロ型ロボット』である。またお前か。

*38:クラップス寝室イベント1参照

*39:『疾風怒濤祭男 セルドア』寝室イベント2参照。なお、この奇祭はもちろんえっちなやつである(セルドア自身は内容を知らなかった)

*40:『クレサガの話2』参照

*41:魂友・神器の固有キーを売却した際に入手できる「英雄の赤貨」で入手できる「復刻交換チケット」を使用する

*42:チャックの担当イラストレーターは太腿がムチムチした青少年に定評のあるぴょん氏。本作では他にエームア、ヴァジュラ、デックス、アスクレピオスなどを担当している

*43:雪山では鍋、砂浜ではカレーと料理の種類こそ異なるが、おそらく入れているペーストは同一のものなので生臭いことに変わりはない

*44:具体的にどんな内容なのかは君の手で確かみてみろ。思わず「そうはならんやろ」と漏らしてしまうこと請け合いである。なっとるやろがい!