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映画の話:燃えて消す、それが流儀だ。(『プロメア』ネタバレなしレビュー)

どうも、あいるです。

5月末とは思えない異常な暑さの中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

滴る汗、乾く喉、ただ家でゴロゴロしてても不快なのにこんな中出勤までしてる人もおられるかと思います。フラストレーション、溜まりますよね?

 

そんな胸につかえてとれない日々のモヤモヤ、やり場のない感情をまるごと燃やし尽くしてくれる最高のエンタテイメント超大作が昨日公開されました。

その名もプロメア』!
promare-movie.com

 

昨年『アニメで特撮を撮る』という大いなる矛盾に全力で挑んだ『SSSS.GRIDMAN』でアニメファンのみならず特撮ファンの心まで熱く燃やしてくれたあのTRIGGER制作、しかも監督×脚本は『天元突破グレンラガン』『キルラキル』の今石洋之さんと中島かずきさん、というある種の人たちにとっては『絶対外さない』コンビ。

声優陣は主要3キャラクターに松山ケンイチさん、早乙女太一さん、堺雅人さんと豪華俳優を起用し、その脇にはTRIGGER作品常連かつTRIGGER作品をこよなく愛する声優・稲田徹さんをはじめとするいつものTRIGGER組(新谷真弓さん、檜山修之さんほか)が名前を連ねる……と、もうこれらの名前を聞いてるだけでワクワクが止まらなくなってくる個人的大・期待作だったわけですが。

 

結果、期待通りどころか期待をはるかに凌駕して太陽系を焼き尽くす勢いでした。

 

喜び、楽しみ、悲しみ、怒り、感情の全部

笑い、興奮、涙、ハラハラ、カタルシス物語の全部

躍動する肉体、唸りを上げるメカ、舞い踊る炎、アニメーションの全部

1時間50分の上映時間の中にその全部、全部がギッシリと詰め込まれた大・大・大傑作!!

見てほしい。切実に。この作品を観られる環境にある人すべてにぜひとも見てほしい、そんな思いでネタバレなしの簡単なレビューを書きます。

題して『プロメアここすきポイント5選』!!

映画プロメアの個人的な「ここすき」な(きっとみんなも「ここすき」であろう)ポイントを勢いのままに5つほど挙げていこうと思います。

5つのうちひとつでも「ここすき」あるいは「ここすきそう」と思ったポイントがあればぜひ劇場へ!損はさせません!

 

 

プロメアここすきポイントその1:キャラがすき

まずはなんといってもキャラクター!

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主人公は『燃えて消す』が流儀の超熱血火消しガロ・ティモス(CV:松山ケンイチ)。

対するライバルは、炎を操る新人類「バーニッシュ」の過激派「マッドバーニッシュ」を率いる少年リオ・フォーティア(CV:早乙女太一)。

そして物語の鍵を握るのは、大都市プロメポリスの司政官クレイ・フォーサイト(CV:堺雅人)。

とにかく、この3人がいい。決して長くはない尺の中で3人それぞれの関係、心の動き、ぶつかりあいが繊細かつ豪快に描かれます。流行りの言葉で言うならとってもエモい

 

かつて自分を救ったクレイを『ダンナ』と慕い、彼に恥じない生き方をするために火消しとして魂を燃やすガロ。

追い立てられ、虐げられるバーニッシュの運命に苛まれながらも、確固たる信念のもとに誇りをもって活動を続けるリオ。

そしてガロを英雄として祀り上げる一方でリオたちバーニッシュを迫害し、人格者の仮面の裏に壮大な陰謀を隠し持つクレイ。

三者三様、並び立つほどに対照性が鮮やかに浮かび出る見事なキャラ配置がなされています。また、詳しくはネタバレになるので省きますが各自見た目によらない「ギャップ」が随所で見られ、それがまた彼らへの愛着を深めてくれます。

 

そんな彼らのデザインも、非常に示唆的です。

誰もが『グレンラガン』の名キャラクター・カミナを想起するであろう青いツンツン頭に半裸のガロ、全体はハードなレザーで決めながら首元にはスカーフ、顔は中性的な金髪の美少年・リオ、そしてスーパーヒーローのように極端な体型に威圧的なまでの微笑みをたたえたクレイ。

それぞれの人格がそのまま形になったような姿は、短い映画体験の中でキャラクターを即座に理解し、没入していくための道標になってくれます。

 

そして、特筆すべきは3人の声。

俳優として実績がある人でも声の演技はどうなの?と不安に思ってしまう向きもあると思いますが、そのような心配は杞憂です。

最初から最後まで完全燃焼、叫びに叫びに叫びまくる松山ケンイチさんの圧巻の演技はまさにガロ・ティモスそのもの。

最初はリオの見た目から想像される声よりもやや野太いように思える早乙女太一さんの声も、過酷な運命に翻弄され怒りと憎しみに染まっていくリオの生きざまにはピッタリ。

そしてクレイ、堺雅人さん……これについては後述します。とにかくすごいので

単なる話題作りのための俳優起用などでは絶対にない、『キャラクターに魂を吹き込める人を選んだら俳優だった』というべきキャスティングの妙には、ただただ脱帽するばかりです。

 

もちろん、3人以外のキャラクターもいいとてもいい

本作では尺の都合上3人以外のキャラはあくまでサブ、活躍や掘り下げにはやや物足りない部分もありますが、それを補って余りある声優陣の熱演と秀逸なデザイン!

ガロが所属する高機動救命消防隊バーニングレスキューの面々、リオと共に放火テロを巻き起こすマッドバーニッシュの幹部2人やそれ以外のバーニッシュたち、いずれも「もっと見たい、もっと知りたい」と思わせてくれる魅力的なキャラばかり。

個人的な推しはやはり稲田徹さん演じるバーニングレスキューのパワーファイターバリス・トラスデカくて強くて食いしん坊。そのシンプルさがいい……とてもすき。

 

プロメアここすきポイントその2:メカがすき

すでに出ているPV(ロングPVはネタバレだらけなので注意)を見ていただければわかるように、本作は結構なメカアクションアニメです。

バーニングレスキューが駆るレスキューモービルや、パワードスーツとして身に纏うレスキューギア(映画パンフには各機の名称や特徴が掲載されているので必見!) はまさに男のロマンを体現したようなメカニック。胸躍る発進・装着シーンに、否が応にもワクワクさせられます。

レスキューモービルの『高速走行可能な改造車(隊長機)』、『装備を運搬し射出する巨大はしご車』、『ペイロード多めの垂直離着陸機(ヒロイン機)』という構成にシビれるのです!わかってらっしゃる!こういうのやるときの流儀を!

加えてガロのレスキューギアは手にした巨大なまといと合体して『マトイテッカ―』なる純白の主人公機になるという……あーもー!お約束過ぎて!好き!!

 

一方のマッドバーニッシュも、自身の炎で生成したマシン・バーニッシュサイクルでスクリーン狭しと駆け巡ります。また、マッドバーニッシュは己の身体をも炎の鎧で覆っており、漆黒に各自のパートカラーが差し色として入ったクールなデザインに惚れ惚れ。

デザインしているのはバーニングレスキュー側、マッドバーニッシュ側共にキャラデザのコヤマシゲトさんなんですが、見ただけで両者が『異質のもの』であるとわかるのが凄い。

まさに近未来消防メカ VS 過剰武装暴走族の異種格闘技戦!!

訳の分からない構図ですが、それを納得させてしまうほどのパワーがあるのがこの映画。次の項で述べる映像のすばらしさが、メカの魅力をさらに引き出してくれています。

 

プロメアここすきポイントその3:映像がすき

本作は2D・3Dを併用して描かれていますが、正直な話どこからがどっちなのかはほとんど見分けがつきません

驚くほどシームレスに両者が入れ替わり、混然一体となって『プロメア』という世界を描き出します。

かたや2Dのキャラクターたちが表現する喜怒哀楽、手書きだからこそ表現できる『すご味』のある映像美。かたや圧巻の3DCGが実現する鮮やかで滑らかなアクション、酔いそうなほどのカメラワークで魅せるバトル。

ポリゴンのように展開するバーニッシュの炎、現実とはかけ離れたサイケデリックな色使いは少々目に痛いかもしれませんが、慣れればそれも作品世界への導入剤。目まぐるしく展開する物語との相乗効果で、半端ない没入感を味わうことができます。

その分見た後はどっと疲れること請け合いですが……きっと心地よい疲れでしょう。それこそ、完全燃焼と呼べるほどの。

 

プロメアここすきポイントその4:音楽がすき

本作の劇伴担当は『キルラキル』に引き続いての登板、澤野弘之さん。

壮大かつ情緒的なメロディが的確にシーンを盛り上げ、さらにおなじみの英語ボーカル挿入歌がなんと4曲も!

個人的には『Inferno』 がお気に入りです。ポップながらも熱さのある名曲で、ある種本作のメインテーマのような役割を果たしており、……くそう!使いどころを語りたいけどネタバレになっちゃうから語れない!!

また、主題歌『覚醒』『氷に閉じ込めて』はあのSuperflyが作詞・作曲・歌唱。

静かに、確実に燃え盛っていく炎のような『覚醒』と、相反する2人の切ないすれ違いを歌う『氷に閉じ込めて』。両曲の使いどころにもぜひ注目を。こちらも詳しく語れないのが残念なくらいピッタリな場面で流れるんですよ……聴いて……

 

プロメアここすきポイント その5:堺雅人がすき

さて、ここまでなんやかんやと語ってきた4つのポイントに匹敵する「すき」パワーをたった1人で出しちゃう人がいるんですよ。

いや堺雅人っていうんですけど。 

堺さんが演じるクレイについて詳しく語るとどこまでもネタバレになっちゃうのでもちろんそこは伏せますが、本作における堺さんの演技はとにかく凄まじい

テンションが。テンションがどんどん移り変わってくんですよ。たとえるなら『WOWOWのCM半沢直樹→古美門(リーガル・ハイ前人未到の領域』といった感じで。

天元突破グレンラガン』でもラスボス・アンチスパイラルを演じた上川隆也さんの演技が話題になりましたが、今回の堺さんもそれに匹敵、あるいは上回るほどの名演であると確信しています。

前人未到の領域に入った堺さん、本当にすごいですよ。口をついて出まくるのはドラゴンボールか何かかってくらいの雄叫び。まさか堺雅人があんなことを叫ぶなんて思いもよらないじゃないですか普通。あり得ない。

でもそれがあり得るのがプロメアなんです!!観て!!とにかく!!!

公開初週の今なら完全新作・限定短編アニメ『プロメア・ガロ編』配信コード付きキャラクターカード(全8種)も配布中なので!ぜひとも!!

 

 

以上、勢いで書いたのであんまりまとまってませんがこの辺で。

自分の拙い筆致でまったくもって伝わらないかもしれませんか、とにかく『プロメア』を観るべきだということだけはわかっていただきたい。明日にでも劇場へ!急げ!